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デザインとアートはもっと接近していい──「DESIGNTIDE TOKYO」が12年ぶりに再始動

世界的デザイナーを輩出したデザインイベント「DESIGNTIDE TOKYO」が、12年ぶりに開催される(2024年11月27日から12月1日まで)。国内外の様々なデザイナーやアーティストが競演し、物販やトークプログラムも展開される本イベントの見どころとは?

「DESIGNTIDE TOKYO」は、東京のデザインシーンを世界に発信し、国内デザイン文化の発展に寄与するべく2005年から2012年まで毎年秋に開催されてきた。このイベントが、12年の月日を経て2024年秋に復活する。

共同創設者として「DESIGNTIDE TOKYO」を仕掛けるのは、東京・日本橋馬喰町のギャラリー「PARCEL」や10代のためのクリエイティブ教室「GAKU」、そして2023年にローンチしたオルタナティブなアートフェア「EASTEAST_TOKYO」のファウンダーである武田悠太。これまで主に現代アートを主戦場にしてきた武田がなぜ、デザインイベントを開催するのか。その目的を、武田はこう語る。

「デザインは往々にして、利便性や経済合理性が強く求められるがゆえにアートとは異なるものとして区別されます。しかしアートとデザインは、本来的に、ともに『美』を通じて『人間的意義』を追求する行為であるという点で共通しています。また、世界をより良くしていくためのデザインを考える上で、アートの問いの力は、常に大いなるインスピレーションとなってきました。アートの立場に立ってみても、それを社会に実装するためにはキュレーションや展示・空間設計といったデザイン行為が必要です。つまりデザインとアートはともに支え合い、共鳴し合い、価値を分かち合うもの。実際に若いデザイナーやアーティストの中には、そうした両者の共通点に気づき、境界を超えるような試みを展開している人たちも存在します。わたしたちは、今回のイベントを通じて、デザインとアートをもっと接近させ、その境界線を溶かしていくことを目指しています」

さて、そんな志とともに企画される今回の「DESIGNTIDE TOKYO」の中核をなすのが、デザインとアートの垣根を超えた展覧会「MAIN EXHIBITION」だ。公募審査と推薦により国内外から集められた、韓国、台湾、スウェーデン、イギリスを含む国内外の32組が作品を発表。その中には多数の新作が含まれる。出品作家は、AATISMO、Atelier matic / 外山翔、Carlie Humble-Thomas、Daiki Tado、二俣公一、氷室友里、岩元航大、Jin Kuramoto / JIN KURAMOTO STUDIOなど。

また、気鋭の若手デザイナー・アーティストの太田琢人をキュレーターに迎えた「SPECIAL EXHIBITION」では、人間社会と身体との接点に着目するアーティストの神楽岡久美や、金属素材のイメージを壊すような作品で「LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2024」のファイナリストに選ばれた外山和洋など、今後国際的な活躍が期待される若手作家8人が集結。「描像するサテライト」というテーマのもと、デザインのその先にある表現を通じて多様な可能性を示す。

会期中は、様々なジャンルのゲストを招いての公開収録型トークプログラム「TALKS」を計11回開催する。世界を代表する起業家でありテック・スタートアップに従事してきた孫泰蔵や、香港にオープンしたアジア初の世界的ビジュアル・カルチャー美術館「M+」のリードキュレーター横山いくこ、南青山の実験的スペースや渋谷PARCO 4Fなど都市の遊休施設を一時的に占有し解放する運動が話題の「SKWAT」中心メンバーである中村圭佑など、テック・ビジネス・アートなど各分野のエキスパートが多様な角度からデザインの可能性について意見交換を行う。

そのほか会場内の特設スペースには、出展作家による一点ものの作品やプロダクトが購入できる期間限定の「MARKET」がオープン。アートブック専門の「twelvebooks」がセレクトした書籍も並ぶ。

こうしたコンテンツをディレクションしたのは、「PARCEL」ディレクターの佐藤卓、家具やオブジェクトの企画開発などを手掛けるE&Yの取締役兼ディレクターの秋本裕史、デザインジャーナリストで『dezeen』エディトリアルディレクターのマックス・フレイザー、デザイン&アートメディア『Sight Unseen』共同創刊者のモニカ・ケムスロヴとジル・シンガー、そして、サウンドアーティスト/エクスペリエンスデザイナーのスズキユウリという、国際色豊かな先鋭たちだ。

また、「Under35 Architects Exhibition 2021」でゴールドメダルを受賞した注目の若手建築家、板坂留五と、東京藝術大学大学院に在籍しながら独自の視点で展示台座を研究する美術家・吉野俊太郎による会場構成も必見。

DESIGNTIDE TOKYO 2024(デザインタイド トーキョー 2024)
会期:11月27日(水)〜12月1日(日)
場所:日本橋三井ホール(東京都中央区日本橋室町 2-2-1)
時間:11月27日〜30日 11:00 〜20:00、12月1日 11:00 〜17:00

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