テムズ川付近にバンクシーの新作が登場! 黒いヤギは人間による自然破壊への警告か
バンクシーの新しい壁画がロンドン南西部で発見された。壁には柱の上にたたずむヤギが描かれており、環境破壊による野生生物の生息地が減少していることをを非難しているのではないかと一部のファンは推測している。
ロンドン南西部に架けられたキュー橋の近くに、バンクシーによる新たな壁画が出現した。本人のInstagramにもキャプションなしで写真が投稿されたが、コメント欄ではすでに作品が意味することの推測合戦がヒートアップしている。
今回バンクシーが描いたのは、建物の壁を支える構造物にとまっているように見えるヤギのシルエット。近辺で使われている監視カメラが作品に向けられており、ヤギは滑落する寸前のようにも見える。
バンクシーのInstagramを見て作品の場所に駆けつけたファンは、人間が自然を破壊していることを揶揄しているのではないかと考えており、ロンドン在住のアンバー・ドフマンはザ・サン紙の取材に対して次のように語る。
「動物たちがどこで生活すればいいのかわからなくなるほど、私たちが環境を破壊してきたかを表現しているのだと思います。監視カメラは本来別の場所を向いていたのに、ヤギに向けられていましたよね。バンクシーは意図的にヤギに注意を向けさせたかったのではないでしょうか」
また、Instagramのコメント欄には、「ほかに行くところはない。落ちるのを待っているだけ」「スケープゴート」といったコメントや、「GOAT(*)が帰ってきた」とバンクシー作品に対する賛辞が残されている。
この黒いヤギの絵は、今年3月に発見された桜の朽ち木の後ろに緑の葉を描いた壁画に次ぐもの。他の作品と同様、バンクシーはこの作品が自身のものであることをInstagram上で公表し、ロンドン市議会はすぐに保護のためのアクリル樹脂で作品を覆う処置を施した。
依然として正体が明かされていないバンクシーは、芸術を介して時事問題に触れることが多いアーティストだ。BBC ラジオ4のポッドキャスト番組「The Banksy Story」のナビゲーターで、バンクシーのスーパーファンであるジェームズ・ピークは、今年の春先に桜の朽ち木を土台に作られた壁画についてこう語っている。
「自然破壊が進み危機的状況に陥った地球を回復させるのは私たちの役目だ。そんなメッセージがこの作品には明らかに込められています」(翻訳:編集部)
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