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いつまで続く!? バンクシーが動物シリーズ8作目を発表、「サイが車と交尾する姿」など奔放な解釈も

ロンドンで8月5日以来、毎日出現しているバンクシーの動物壁画。8月12日、その8作目が発表された。今回は、車に脚を掛けたサイだ。

8月12日(ロンドン時間)に確認されたバンクシーの最新作。Photo: Getty Images

8月5日から毎日インスタグラムで明かされるバンクシーの壁画が、現地ロンドンで大変な騒ぎになっている。そして最初の作品公開から1週間が経過した12日、8作目がロンドン南東部に現れた。今回は、後輪がパンクして放置されている故障車に脚を掛けるように壁にオスのサイが描かれている。中には、サイが車と交尾をしていると解釈した人々も多く、「自然は、産業界が自然を愚弄(Fuck)したように、今度は自然が産業界を愚弄(Fuck)しようとしている」「これはテクノロジーが自然に取って代わることの比喩に違いない」などというコメントがネットを賑わせている。

バンクシーがこれまで描いてきた壁画の共通項は「動物」。8月5日はヤギ、6日はゾウ、7日はサル、8日はオオカミを発表したが、オオカミは間もなく3人組により盗まれてしまった。9日には、2羽のペリカンがフィッシュ・アンド・チップス専門店の看板に現れた。

10日は、ロンドン北東部で放置されていた無地の木製看板に黒ネコが伸びをしている姿を描いた作品を発表。だがその数時間後、盗まれることを恐れた看板の管理業者によって撤去された。

11日には、ロンドン中心部のセントポール大聖堂近くの警察の見張り小屋を水槽に見立て、ピラニアのような魚が泳ぐ群れを描いた。ロンドン警視庁はこれを器物損壊にあたるという見解を示しており、当局により即日封鎖された。

作品が発表されるたびに、「ヤギの脚の隙間は、ガザの人々に残されたものの形を表しているのではないだろうか」というパレスチナ支援説や、「自然とのつながりを取り戻す必要を説いている」、「家族やコミュニティの大切さを表現している」など、その意味について人々は様々な解釈合戦を繰り広げている。だがそれらについてガーディアン紙は、バンクシーの版権を管理している公式組織ペスト・コントロールの「それぞれの作品について、あまりに深く考え過ぎている」という見解を伝えている。同紙はまた、出元を明かしていないものの、「バンクシーのビジョンは単純である。ニュースの見出しが暗いものばかりで、光が影よりも見つけにくいことが多いこの時代に、新作のストリートアートは市民を元気づけるために描かれた」と報じている。(翻訳:編集部)

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