2024年下半期に必見の世界のアートフェア16選。主要フェアから若手ギャラリストが集う気鋭まで

アートフェアはギャラリーが自慢のアーティストの作品を展示販売する場であり、コレクター、美術関係者にとっては貴重な情報交換の機会でもある。2024年下半期に世界各地で開催される中から厳選した16のアートフェアを紹介する。

2023年のフリーズ・ロンドン展示風景。Photo by Linda Nylind. Courtesy of Linda Nylind/Frieze.

海外のアートフェアスケジュールは、暑さがひと段落した9月頃からが再び賑やかになる。その中で注目の話題と言えば、やはり「Paris+, par Art Basel」から名称変更し、会場をグラン・パレへと移した「アートバーゼル・パリ」だろう。1900年にパリ万博のために建てられた壮麗な空間と現代アート作品の競演がどのようなものになるか楽しみだ。そして、昨年フリーズに買収されたニューヨークアーモリー・ショーの変革にも注目したい。

今年下半期に世界中で開催されるアートフェアの中から、最大手のフリーズ、アート・バーゼルはもちろんのこと、若手ギャラリストが集う気鋭のフェアから老舗の実力派まで幅広くリストアップした。これからの旅行計画の参考にしていただきたい。

1. アート・オ・ラマ(フランス)

2023年の会場風景。Photo: sans titre, Paris, Art-o-rama 2023 © Margot Montigny

アート・オ・ラマはフランス南部、地中海沿いに位置するマルセイユで開催されているアートフェアだ。今年で18回目となるこのフェアは、新進のギャラリーが集まることでも知られている。ヨーロッパの主要なアートフェアに進出する足掛かりの役割を担っており、出展ギャラリーが数年後にアート・バーゼルデビューを飾っていることも少なくない。後述するパリ・インターナショナルやアーティッシマと並び、ユニークなギャラリーやアーティストを知る機会となるだろう。

アート・オ・ラマ
日程:8月30日~9月1日
会場:フリッシュ・ラ・ベル・ド・メ    


2. シドニー・コンテンポラリー(オーストラリア)

2023年の展示風景。Photo: Courtesy Sydney Contemporary

オーストラリア、ニュージーランドの現代アートの最前線を体感できるのがシドニー・コンテンポラリーだ。11回目を迎える今年は95のギャラリーと500を超えるアーティストの作品が並ぶ。

シドニー・コンテンポラリー
日程:9月5日~8日(4日はプレビュー)
会場:キャリッジワークス


3. フリーズ・ソウル&キアフ(韓国)

2023年のフリーズ・ソウル会場風景。Photo: Lets Studio. Courtesy of Frieze and Lets Studio.

今年3回目の開催となるフリーズ・ソウルと20年以上の歴史を持つキアフは同時期、同会場で開催される。今年のフリーズ・ソウルは世界30か国から110のギャラリーが参加し、パフォーマンス作品を紹介する「フリーズ・ライブ」セクションを追加し幅広い作品を展開していく。キアフには合計207のギャラリーが名を連ね、そのうち130が韓国国内をベースに持つ。アジアにおける現代アートマーケットをリードする2つのフェアを是非一緒に体験してほしい。

フリーズ・ソウルキアフ
日程:9月5日~7日(4日はプレビュー)
会場:COEX


4. アーモリー・ショー(アメリカ)

2023年の展示風景。Photo: Vincent Tullo courtesy The Armory Show

ニューヨークで開催されるアーモリー・ショーは今年で30回目を迎える歴史あるアートフェアだ。昨年、アーモリー・ショーと4月に開催されているシカゴ・エキスポがフリーズにより買収されたこともあり、フロアプランの変更やスポンサー企業にアメリカン・エキスプレスが入るなど、30年の節目にさらなる進化が期待されている。

アーモリー・ショー
日程:9月6日~8日(5日はプレビュー)
会場:ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センター


5. インディペンデント・20th Century(アメリカ)

5月に開催しているインディペンデント・ニューヨークがコンテンポラリーアートにスポットを当てる一方、インディペンデント・20th Centuryは20世紀に活躍したアーティストや国際的な前衛運動にフォーカスしている。参加は招待制のため、卓越したプレゼンテーションを楽しむことができるだろう。アーモリー・ショーと同時期、至近の会場で開催されているため、両フェアをはしごして楽しみたい。

インディペンデント・20th Century
日程:9月6日~8日(5日はプレビュー)
会場:バッテリー・マリタイム・ビルディング


6. アート・ジャカルタ(インドネシア)

2023年の会場風景。Photo: Courtesy ART JAKARTA

インドネシアのジャカルタで開催されるアート・ジャカルタは東南アジアのアートに特化したアートフェアだ。インドネシアを拠点に海外からも高い評価を得ているROHやガジャ・ギャラリー、バンコクのノヴァ・ギャラリーをはじめ、73のギャラリーが出展する。今日改めて注目を集める東南アジアのアーティストと彼らのアートの核心を知ることが出来るだろう。

アート・ジャカルタ
日程:10月5日~6日(4日はプレビュー)
会場:ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ


7. フリーズ・ロンドン&フリーズ・マスターズ(イギリス)

2023年のフリーズ・ロンドン会場風景。Photo Courtesy of Linda Nylind/Frieze.

毎年秋の訪れとともに開催される、イギリスを代表するアートフェア。フリーズ・ロンドンは主に2000年以降、フリーズ・マスターズは2000年以前に制作された作品を出品する。フリーズ・ロンドンは43カ国から160以上のギャラリーが参加。今年はデザイン事務所A Studio Betweenによる画期的なフロアプランが採用され、レイアウトとエントランスが一新する。また、パブロ・ホセ・ラミレスがディアスポラや先住民の歴史を探求するセラミック作品を紹介する新セクション「Smoke」をキュレーションすることが決まっている。フリーズ・マスターズは世界26カ国から130ギャラリーが参加。ネイサン・クレメンツ=ガレスピーが指揮を執り、スタジオ・セクションの拡大や、美術史を超えたクリエイティブなつながりを促すフロアプランの再定義など、アーティストを中心としたアプローチで再構築される。

フリーズ・ロンドンフリーズ・マスターズ
日程:10月11日~13日(9日・10日はプレビュー)
会場:リージェンツ・パーク


8. 1-54アフリカン・アートフェア(イギリス)

アフリカ大陸を構成する54の国にちなんで名付けられた「1-54アフリカン・アートフェア」は、アフリカとそのディアスポラの現代アートに特化したフェアだ。アートバーゼル・香港が開催されていた3月、クリスティーズ・香港では1-54アフリカン・アートフェア企画の展覧会が開催されるなど、アフリカンアートへの注目はアジアでも勢いを増している。生粋のアートラバーはこれから発表される出展者リストを是非ともチェックしてほしい。

1-54アフリカン・アートフェア
日程:10月11日~13日(10日はプレビュー)
会場:サマセット・ハウス


9. アート・バーゼル・パリ(フランス)

新会場のグラン・パレ。Photo by Matthieu Croizier Courtesy of Art Basel

昨年はParis+, par Art Baselの名称で開催されていたが、今年からはアート・バーゼル・パリへと改名された。会場はパリオリンピックに合わせて改修工事が完了した、1900年のパリ万国博覧会のために作られた歴史的建造物グラン・パレへと移る。同フェアはメインの「Galeries」、若手にフォーカスした「Emergence」、そしてグラン・パレにちなみ、1900年以前に制作された作品を含むキュレーションブースの「Premise」の3セクションで構成される。

アート・バーゼル・パリ
日程:10月18日~20日(16日・17日はプレビュー)
会場:グラン・パレ


10. アジア・ナウ(フランス)

アジア・ナウは、中央アジアから東南アジアまでアジア全域の現代美術を紹介するアートフェアだ。アジアとヨーロッパの架け橋となることを目標にする本フェアは今年で10回目を迎える。ギャラリーによるブース展示に加え、アジアに拠点を持つ財団による展示や、インスタレーション作品、トークイベントなど様々なコンテンツで盛り上げる。

アジア・ナウ
日程:10月18日~20日(17日はプレビュー)
会場:モネ・ド・パリ


11. パリ・インターナショナル(フランス)

アートバーゼル・パリ開催期間の注目フェアのひとつにパリ・インターナショナルも挙げられる。新興ギャラリーを支援することを目的としており、世界各地から参加したギャラリーが挑戦的な展示を見せる。毎年開催場所を変更しており、今年の会場も近日公開されるだろう。アートバーゼル・パリ、アジア・ナウ、パリ・インターナショナルを紹介したが、同時期にThe Salon by NADA and The CommunityModerne Art FairAKAA(Also Known As Africa)、OFFSCREENなどのフェアや関連イベントが開催されている。時間が許す限りパリのアートシーンを堪能してほしい。

パリ・インターナショナル
日程:10月16日~20日(15日はプレビュー)
会場:未発表


12. アーティッシマ(イタリア)

イタリアを代表するアートフェアのひとつであるアーティッシマには毎年170以上のギャラリーが参加する。新興のギャラリーがアプライしやすいセクションがあることから、アート・オ・ラマやパリ・インターナショナルに並んでヨーロッパの若手のギャラリーディレクターからも注目を集めるフェアである。

アーティッシマ
日程:11月1日~3日(10月31日はプレビュー)
会場:オーバル・リンゴット


13. アート・ケルン(ドイツ)

2023年の会場風景。Photo: Koelnmesse /ART COLOGNE © Koelnmesse

世界で最も古いアートフェアであるアート・ケルンは今年で57回目の開催となる。会場にはドイツ国内ギャラリーから海外の有名ギャラリーまで、例年190のブースが並ぶ。

アート・ケルン
日程:11月8日~10日(7日はプレビュー)
会場:ケルン・エキシビション・センター


14. ウエスト・バンド・アート&デザイン(中国)

上海で開催されるウエスト・バンド・アート&デザインは世界中から質の高いプレゼンテーションをするギャラリーが集うアートフェアだ。ガゴシアンペースハウザー&ワースといったトップギャラリーが出展し、世界のアートフェアカレンダーの欠かせない存在となっている。西岸(ウエスト・バンド)エリアは2010年の上海万博以降アートスポットとなっている。同時期に開催されるART021やギャラリー、美術館を巡ってみてほしい。

ウエスト・バンド・アート&デザイン
日程:11月10日~12日(9日はプレビュー)
会場:ウエスト・バンド・アート・センター


15. アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ(アメリカ)

2023年の会場風景。Photo: Courtesy of Art Basel

毎年12月初旬、1年の締めくくりとして世界中のコレクターや業界関係者が集まるのがアート・バーゼル・マイアミ・ビーチ。昨年新フェアディレクターにブリジット・フィンの就任が決まり、今年は彼女が指揮を執る初めてのフェアということで注目が集まっている。出展ギャラリーの発表は9月の予定だ。

アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ
日程:12月6日~8日(4日・5日はプレビュー)
会場:マイアミ・ビーチ・コンベンション・センター


16. NADAマイアミ(アメリカ)

アート・バーゼル・マイアミ・ビーチと一緒に訪れたいアートフェアにNADAマイアミがある。NADA(New Art Dealers Alliance)が主催する本フェアでは、小規模なプレゼンテーションやキュレーション・プロジェクトに特化した良質なブースを楽しむことができる。NADAのほかにはUntitled Art Fairなど、この時期のマイアミ・ビーチでは多くのアートフェアやイベントが開催されている。

NADAマイアミ
日程:12月3日~7日
会場:アイス・パレス・スタジオ

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