今週末に見たいアートイベントTOP5:レンブラントの革新的な版画表現、毛利悠子がヴェネチア・ビエンナーレ発表作を再構成
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. RYUICHI SAKAMOTO & Tin Drum | KAGAMI+(VS.)
MR空間によみがえる坂本龍一、待望の日本初上演
坂本龍一のピアノ演奏を3次元映像として再構成し、複合現実(MR)空間で体験する《KAGAMI》を日本初公開する。本作は坂本龍一と、トッド・エッカート(Todd Eckert)率いるアメリカのクリエイティブ・スタジオ、ティン・ドラム(Tin Drum)が坂本の最後の4年間をかけて共同制作したプロジェクトで、2023年にニューヨークのザ・シェッド(The Shed)で初演された後、ロンドンや台北、シンガポール、香港など各地を巡回してきた。
来場者は周囲の音を透過させるヘッドセットを装着し、独自の3次元映像技術によって再現された坂本龍一の演奏を鑑賞する。グランドピアノに向かう坂本の姿が立ち現れ、その演奏に合わせてティン・ドラムによる映像表現が空間全体に展開される。そのほか会場には映像や写真、制作資料、坂本自身が調香した香りも紹介。音楽、映像、空間演出を組み合わせながら、坂本龍一の創作を新たな鑑賞形式で体感できるプロジェクトとなっている。
RYUICHI SAKAMOTO & Tin Drum | KAGAMI+
会期:6月27日(土)〜10月12日(月祝)
場所:VS.(大阪府大阪市北区大深町6-86 グラングリーン大阪 うめきた公園 ノースパーク)
時間:10:00〜20:00(日時指定制)
休館日:月曜(祝日、連休の場合は翌平日)
2. 奈良美智キュレーション展「地層の胎動」(KOSAKU KANECHIKA)
奈良美智が選んだ4作家からたどる、陶という表現
奈良美智がキュレーションを手がけるグループ展。同ギャラリーが継続的に取り組んできた陶芸という表現をテーマに、植松永次、桑田卓郎、坂本紬野子、安永正臣の4作家による約30点を紹介する。奈良が展覧会のキュレーションを担当するのは、同ギャラリーでは初となる。
奈良は本展に寄せたテキストに、造形を軸に作品を見つめ、「土」「火」「時間」、そして偶然性が刻む痕跡を作品に取り込む作家たちを選んだと記している。展示では、素材や焼成の過程そのものを表現へ取り込む4作家それぞれのアプローチを比較。器の概念を拡張する作品や、有機的なフォルムをもつ大型立体作品など、多様な作品を通して奈良が見出した「造形」の視点をたどることができる。
奈良美智キュレーション展「地層の胎動」
会期:6月27日(土)〜8月8日(土)
場所:KOSAKU KANECHIKA(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA ART COMPLEX I 5F)
時間:11:00〜18:00
休館日:日月祝
3. ニール・ホッド「Flowers of Memory」(KOTARO NUKAGA 天王洲)
鏡面と絵画が重なり合う、記憶をめぐる新作シリーズ
ニューヨークを拠点に活動するニール・ホッドの個展。同ギャラリーでは2022年の「Echo of Memories」に続く2度目の個展で、今回は新作シリーズ「100 Years Is Not Enough」を中心に構成される。シリーズ名は、パンデミック期に自然の中で過ごした経験から着想を得た「生きていることの美しさを受け止めるには百年では足りない」という作家の思考に由来する。
作品は、色彩を施したキャンバスの上にクロームを重ね、酸やアンモニア、炎による化学反応を加える独自の手法によって制作される。表面に生じた銀色の鏡面を意図的に剥がすことで下層に隠れた色彩が現れ、そこに再び色彩を加えることで複数の層が形成される。本シリーズはモネの《睡蓮》を参照しながらも、そのイメージを直接引用するのではなく、記憶の中で変容した風景として再構成している。鏡面のような画面は鑑賞者自身の姿を映し込み、作品と鑑賞空間との関係も作品の一部として取り込んでいる。
ニール・ホッド「Flowers of Memory」
会期:7月4日(土)〜8月8日(土)
場所:KOTARO NUKAGA 天王洲(東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F)
時間:11:30〜18:00
休館日:日月祝
4. 版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト(国立西洋美術館)
レンブラントの版画と、その表現を受け継いだ芸術家たち
17世紀オランダを代表する画家レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、エッチング(腐蝕銅版画)をはじめとする版画表現の可能性を切り拓いた。ドライポイントやビュランを組み合わせながら多様な技法を試み、光と陰影、繊細な線描による豊かな画面を追求した作品は、その後の版画史に大きな影響を与えた。本展は、レンブラント・ハウス美術館と国立西洋美術館の共同企画により、その版画芸術と後世への影響を紹介する。
会場には、両館の所蔵品を中心に個人蔵を加えた約130点を展示。《百グルデン版画》や《書斎の学者(ファウスト)》などレンブラントの代表作に加え、ゴヤ、ホイッスラー、ルドン、マティス、ピカソらによる版画や関連作品も紹介される。レンブラントの技法や表現がどのように受け継がれ、それぞれの時代の作家たちへ展開していったのかを、作品を通して振り返る構成となっている。
版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト
会期:7月7日(火)〜9月23日(水祝)
場所:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)
時間:9:30〜17:30(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(8月10日、9月21日を除く)
5. 毛利悠子 Recompose — 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展(横浜美術館)
日本館で発表した「Compose」を横浜で再構成
2024年の第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館で発表された毛利悠子の個展「Compose」が、「Recompose」として横浜美術館で公開される。磁力や重力、水、空気の流れといった目に見えない現象を、日用品や機械装置を組み合わせたインスタレーションによって可視化してきた毛利。本展では、ヴェネチアでの展示を出発点に、横浜美術館の空間にあわせた新たな構成で作品を紹介する。
展示は、地下鉄構内の水漏れから着想を得たインスタレーションシリーズ「モレモレ」と、果物が朽ちる過程で生じる水分量の変化を音や光へ変換する「Decomposition」シリーズからなる。水の循環や変化を共通のモチーフとしながら、身近な素材や自然現象が生み出す予測できない動きを空間全体へと波及させる。
毛利悠子 Recompose — 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展
会期:7月24日(金)〜11月23日(月祝)
場所:横浜美術館 ギャラリー9(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
時間:10:00〜18:00(11月21日・22日は20:00まで、入館は30分前まで)
休館日:木曜(8月13日、9月24日、11月19日を除く)






























