高さ76メートル、トランプ版「凱旋門」着工阻止へ──退役軍人らが緊急差し止めを申し立て
- TEXT BY BRIAN BOUCHER
ドナルド・トランプ大統領がワシントンD.C.に計画する高さ約76メートルの「凱旋門」に、退役軍人らが異議を唱えている。議会の承認を得ないまま工事が進められる可能性があるとして、建設差し止めを求める仮処分を申し立てた。
9月4日、ベトナム戦争の退役軍人らが、ワシントンD.C.に計画されている高さ250フィート(約76メートル)の凱旋門について、工事の差し止めを求める仮処分命令を申し立てた。
原告は退役軍人のマイケル・レモン、ショーン・バーンズ、ジョン・ガンダーセンと、建築史家のカルダー・ロスの4人で、ワシントンD.C.に拠点を置く公益法律事務所「Public Citizen Litigation Group」が代理人を務めている。申し立てのきっかけとなったのは、米内務長官のダグ・バーガムが9月3日、Xに「凱旋門建設のための掘削工事を2週間以内に始める」と投稿したことだった。バーガムはさらに、「アーリントン国立墓地の歴史と意義をたたえ、世界一の力をもつ国の首都にふさわしい、偉大なアメリカ建築のひとつになるだろう」と記した。
メモリアル・サークルに計画されている凱旋門は、高さ約76メートルと、パリのエトワール凱旋門(約49メートル)を大きく上回る。一方、計画は連邦議会の承認を得ておらず、原告側は、建設によってリンカーン記念堂とアーリントン国立墓地を結ぶ歴史的景観が損なわれると主張している。
退役軍人たちは、今年2月、議会の承認がないまま計画が進められることを阻止するため、トランプ大統領や大統領国内政策会議の局長を務めるヴィンス・ヘイリー、米国立公園局(NPS)などを提訴した。その後、政府側が、NPSによる建設承認の公表前には着工せず、建設やその準備に伴う解体作業を始める少なくとも14日前に通知すると確約。これを受け、原告側は4月に差し止めを求める申し立てをいったん取り下げた。しかし、9月4日に提出した文書では、バーガムの発表がこの取り決めに反するとして政府側を強く批判している。
「バーガム長官が国民に向けて発表した計画は違法であり、4月の裁判所命令にも違反している。ひとたび建設が始まれば、計画を差し止めることには重大な実務上の問題が生じる。また、裁判所が計画の適法性を判断するまで工事を見合わせても、被告側や公共の利益に回復不能な損害が生じるとは考えにくく、建設を急ぐ必要があることを示す証拠も提出されていない」
原告側はさらに、政府が計画の適法性について最終判断が下される前に工事を進め、凱旋門を既成事実化しようとしていると批判した。これを防ぐため、裁判所は直ちに仮処分命令を出すべきだと彼らは主張している。
これに対しトランプ政権は、原告側の「誤解を解き、さらなる混乱を防ぐ」ためとして文書を公開した。政府側によれば、予定しているのは以前から公表していた考古学調査で、国家歴史保全法などを順守するために行うものだという。凱旋門の建設やその準備ではなく、4カ所の試掘坑を掘削する調査だと説明した。
原告側は、18世紀末にワシントンD.C.の都市計画が始まって以来、市内の建造物や記念碑の配置は慎重かつ計画的に進められてきたと指摘している。1912年には、ワシントンD.C.にある連邦政府の公有地に建造物を新設する際、議会の明示的な承認を求める法律が制定された。
一方、トランプ政権はホワイトハウスや首都全体の「美化」を掲げ、既存の制度や議会との対立を伴いながら、各地で改修を進めてきた。リンカーン記念堂周辺の大型騎馬像4体には金箔を施し、ジョン・F・ケネディ・センターでは一時、建物の名称にトランプ大統領の名が加えられた。また同センターの敷地内では、ジョエル・シャピロの作品《Blue》が撤去されている。
こうした動きを象徴するのが、2025年10月に事前の告知なく始まったホワイトハウス東棟の解体だ。跡地では現在、巨大な舞踏室と地下の軍事施設を備えた新たな東棟の建設が進められており、歴史保存の専門家からはホワイトハウス本体との均衡を欠くとの批判が出ている。全米歴史保存信託(ナショナル・トラスト)は工事の差し止めを求めて提訴し、下級審も地上部分の建設を一時差し止めていた。しかし連邦最高裁は8月31日、同団体が原告適格を欠く可能性が高いなどとして差し止め命令を停止し、工事の継続を認めた。(翻訳:編集部)

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JR《La Caverne du Pont Neuf(ポン・ヌフの洞窟)》(2026) Photo: Éléa Jeanne Schmitter, ©2026 Atelier JR

JR《La Caverne du Pont Neuf(ポン・ヌフの洞窟)》(2026) Photo: Éléa Jeanne Schmitter, ©2026 Atelier JR

《La Caverne du Pont Neuf(ポン・ヌフの洞窟)》(2026)を設営中のJR。Photo: Éléa Jeanne Schmitter, ©2026 Atelier JR

《La Caverne du Pont Neuf(ポン・ヌフの洞窟)》(2026)設営の様子。Photo: Éléa Jeanne Schmitter, ©2026 Atelier JR

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