ロボコップ像がデトロイトに出現! 市長の反対から15年の紆余曲折を経てついにお披露目

1988年公開の映画『ロボコップ』の主人公像が、舞台となったデトロイトに設置された。クラウドファンディングによって実現した設置プロジェクトは、市長の反対や設置場所の変更など、構想から完成まで15年の歳月を要した。

デトロイトに現れたロボコップの像。Photo: William Hughes
デトロイトに現れたロボコップの像。Photo: William Hughes

映画『ロボコップ』に登場する同名の主人公の像が、ミシガン州デトロイトに設置された。映画公開からおよそ40年を経て設置されたブロンズ製のロボコップは、高さおよそ3メートル、重さ1600キログラムに及ぶ。

1988年に日本公開された『ロボコップ』は、風刺描写の多いアクション作品で、主人公のアレックス・マーフィーをピーター・ウェラーが演じ、ポール・バーホーベンが監督を務めている。犯罪が蔓延する近未来のデトロイトで犯罪組織に殺害された警官のアレックスは、巨大企業オムニ・コンシューマ・プロダクツ(オムニ社)によって犯罪と戦うロボコップとして蘇り、知らぬ間にデトロイト市警察民営化の広告塔となってしまう。彼は記憶を取り戻そうと腐心しながら、自身の命を奪った警察官への復讐に向かっていく。

チャイコフスキーやマーラーなどの伝記映画を多く手がけた映画監督のケン・ラッセルは、『ロボコップ』を『メトロポリス』(1927)以来最高のSF映画と評している。2本の続編に加え、ゲーム・コミックス化されたほか、2014年にはリブート版が公開されるなどカルト的な人気を誇る本作は、そのドラマ版がAmazon Prime Videoで配信される予定だ。

ロボコップ像の建設を求める声が上がり始めたのは2010年のこと。あるTwitter(現X)ユーザーが当時の市長デイヴ・ビングにロボコップ像の制作を提案したが、市長は「建てる予定はありません」と却下。当初は実現の見込みは薄かった。

しかし、デトロイトで活動する映像作家のブランドン・ウォリーと、起業家のジェリー・パッフェンドーフは2012年にクラウドファンディングを実施し、最終的に6万7436ドル(現在の為替で約1045万円)の資金を調達。その後、彼らは彫刻家のジョルジオ・ジカスに制作を依頼し、2017年に像は完成した。

だがウォリーによれば、複数の要因が影響して像は完成後も設置に至るまでの間に多くの困難に直面した。当初はミシガン科学センターの外に置かれる予定だったが、同センターは2021年に計画を撤回。その後、2022年に映像制作会社を経営するジム・トスカーノがデトロイト中心部のビルを購入し、設置先を探していたウォリーとパッフェンドーフの打診を受けて、像の受け入れを快諾した。トスカーノは設置に至った背景をこう振り返る

「家族団欒で楽しむような映画ではなかったので、ロボコップは1作目しか観ていませんでした。しかし、風変わりかつ面白いアイデアだったので、像を設置しない理由はないと思いました」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

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