ポーランド 南西部ドルヌィ・シロンスク県にある宮殿の堀から、19世紀の騎兵が身に着けていた希少な胸甲の一部が発見された。HeritageDaily が伝えた。
発見のきっかけは、ポーランドの人気小説『7年生の悪魔(Szatan z siódmej klasy)』の新たな映画化に向け、出演者の役作りの一環として行われた宝探しだった。同作は、「悪魔」と呼ばれるほど頭の切れる少年アダム・チソフスキが、古い屋敷を舞台にした謎を解き、ナポレオン 軍の兵士が残した財宝を追う物語だ。
制作会社スカルブ・フィルムのプロデューサー、マリウシュ・プイショによると、企画の目的は、出演者に物語さながらの宝探しを実際に体験してもらうことだった。刑務所の受刑者や警察官を演じる俳優が役柄に関係する環境について学ぶように、ナポレオンの財宝をめぐる作品の出演者にも、ゆかりの地で探索を経験してほしいと考えたという。
若い出演者たちはプロの探索チームとともに、ヴロツワフから約40キロメートル、コストムウォティ近郊にあるピエラスコヴィツェ宮殿を訪れた。この宮殿は、1813年6月4日、ナポレオン率いるフランス軍とロシア・プロイセン連合軍との休戦が合意された場所だ。ナポレオンは後に、この休戦を自身の生涯における最大の過ちのひとつとみなしたと伝えられている。
一行が堀の泥の中を調査していたところ、ジュミグルトを拠点とする歴史探索家協会DRACOのヴィエスワフ・アンドリシャクが、胸甲の一部を発見した。19世紀のフランス軍またはプロイセン軍の胸甲騎兵が使用していたものとみられる。
調査を企画した作家・ジャーナリストで、YouTubeチャンネル「Hi!History」の司会を務めるヨアンナ・ランパルスカは、発見品について「奇跡的に今日まで残った、信じられないほど貴重な発見だ」と語った。
なぜ、このような遺物が堀の中に眠っていたのか。ピエラスコヴィツェ宮殿の歴代所有者は、ナポレオン時代の品々を収集していたという。ところが第2次世界大戦末期の1945年、宮殿はソ連赤軍による大規模な略奪を受けた。現地に伝わる話では、宮殿内の調度品が窓から投げ捨てられ、堀へ落下。深さ約1メートルに及ぶ水混じりの泥の中へ沈んでいったとされる。
終戦直後には、地元住民が堀から貴重なマイセン磁器を回収した。しかし、その後、堀の全域を対象とする本格的な調査は行われてこなかったとみられる。
今回回収されたのは、胸甲の一部だけではない。精巧な彫刻が施された庭園彫刻の破片や、かつて宮殿の扉に取り付けられていた錠前などの金属製建具も見つかった。堀にはそのほかにもナポレオン戦争期にさかのぼる、さらに古い遺物が残されている可能性もある。ランパルスカは、今後も現地で探索を続けたいとしている。
一方、『7年生の悪魔』の出演者たちは、埋もれた歴史を探し出す作業がいかに体力を要するかを身をもって知ることになった。主要人物のひとりを演じるクリス・クゴフスキは、堀の中では泥が足に強くまとわりつき、体が吸い込まれるような感覚だったと振り返っている。映画は2027年にポーランド国内で劇場公開を予定している。
今回見つかった遺物はジェンビツェにあるシレジア・ハウス博物館に寄贈され、同館の展示に加えられる予定だという。
世界を驚かせた「お宝発見」15選──ゴミ箱からギリシャ彫刻、ネット落札のマグリット etc.【2025年アートニュースまとめ】
ゴミ箱から2000年前のギリシャ彫刻が見つかり、ネットオークションで落札されたマグリットの絵画が真作と判明するなど、今年も思いがけない場所から貴重な作品や文化財が数多く発見された。数あるニュースのなかから15本を選び、幸運な発見にめぐまれた人々の物語を振り返る。
お宝発見! リサイクルショップで1600円だった絵画が19世紀の黒人画家による歴史的作品と判明
19世紀に活躍した黒人画家ウィリアム・H・ドーシー(1937-1923)の唯一の現存作品であることが分かった。ドーシーにまつわる資料は多数残されているが、作品は美術館やオークションの記録にも無かった。【続きを読む 】Photo: Courtesy Andy Robbins
アメリカの鑑定番組で本物認定! 代々受け継がれたきた水彩画が1800万円で落札
ウィンスロー・ホーマーの水彩画がアメリカのお宝鑑定番組「Antiques Roadshow」で鑑定された結果、本物であることが判明したのちに、クリスティーズのオークションに出品された。代々受け継がれてきた作品には約1770万円で買い手が付き、作家の公式目録にも追加された。
【続きを読む 】Photo: Courtesy of Christie's
16世紀ポーランド王室の宝物が86年振りに姿現す! 清掃中に偶然発見、長年の捜索に終止符
第2次世界大戦時にリトアニアのヴィリニュス大聖堂の壁に隠され、行方不明だったポーランド王室の財宝が見つかり、長年の捜索に終止符を打った。【続きを読む 】Photo:Facebook/Vilnius Archdiocese
路上のごみ箱から2000年前のギリシャ彫刻! 神々への奉納品として制作か
ギリシャ北部の都市の路上に置かれたごみ箱から、ビニール袋に包まれた大理石製の高さ1メートルほどの古代ギリシャ彫刻が見つかった。専門家はヘレニズム時代のものと特定した。【続きを読む 】Photo: Greek Police
蚤の市で購入した肖像画に、モディリアーニの真作鑑定。決め手は安価な画材や絵の裏の印章
15年前に蚤の市で購入した肖像画が、モディリアーニのキャリア初期に制作したものとわかった。決め手となったのは安価な画材や絵の裏の印章だった。【続きを読む 】Photo: Getty Images
ドラクロワがライオンを描いた油彩習作、150年ぶりに個人宅で発見。
《民衆を導く自由の女神》(1830)などで知られるフランスロマン主義の代表作家、ドラクロワ。この巨匠がライオンを描いた習作が昨年末フランスの個人宅で見つかり、ドラクロワによる油彩の習作であることが正式に発表された。【続きを読む 】Photo: Etude Daguerre Val de Loire
少女が3800年前のお守りを発見!「石に歯のようなものがあったから拾った」
エルサレム近郊をハイキング中だった3歳の女の子が、3800年前のお守りを見つけた。石には「再生」や「復活」の象徴として崇められていたスカラベ(フンコロガシの一種)が彫られていた。【続きを読む 】Photo: Facebook/Israel Antiquities Authority
22万円で買った素描はマグリットの真作!予想落札価格は2100万円
ネット通販サイトeBayで1580ドル(当時の為替で約22万円)で購入されたルネ・マグリット(1898-1967)のドローイングがオークションに出品されることが判明した。3つの巨大な白いチェスの駒が空にそびえ立ち、白い雲がそれを覆い隠している様子を描いている。【続きを読む 】Photo: Courtesy Rago/Wright.
ハイキング中に5000万円分の金貨が詰まった箱を発見! 地中に隠された財宝はどこからきたのか?
チェコ北東部の山脈をで古びた金属製の箱が2つ発見された。合わせて約7キロの重さがあった箱の中には金貨など34万ドル(当時の為替で約5000万円)相当の財宝が詰まっていた。【続きを読む 】Photo: courtesy Museum of Eastern Bohemia.
十数万円の絵はターナー17歳の作品だった! 予想落札額5000万円超でオークションへ
イギリス・ロマン主義を代表する風景画家、J.M.W.ターナー(1775-1851)が17歳で描いた油彩画が約150年ぶりに再発見され、オークションに出品される。この絵は150年間、別の作家のものと考えられてきており昨年は無名の画家の作品としてオークションに出品されていた。【続きを読む 】Photo: Courtesy Sotheby's
約120年も所在不明だった「ロダンの偽物」が実は本物! 《絶望》と題された彫刻が1億4000万円で落札
オーギュスト・ロダン(1840-1917)の贋作と考えられていた大理石彫刻が本物と判明し、オークションで約1億4000万円で落札された。同作は《地獄の門》の一部として制作されていたことが分かった。【続きを読む 】Photo: GUILLAUME SOUVANT/AFP via Getty Images
深海で16世紀の沈没船が姿を現す! 船からは大量の陶器や大砲も発見
フランス海軍が地中海での調査中に、海面下約2.6キロの深海で16世紀の沈没船を発見した。フランス領では史上最深の場所から見つかったこの船は過去誰からも見つけられず、大量の水差しや皿などの遺物がそのまま残されていた。【続きを読む 】Photo: Facebook/@Drassm
3万円で買ったダリの真作、いくらで落札?掘り出し物がオークションへ
イギリスの家財整理セールで150ポンド(現在の為替で約3万円)で購入した絵画が、サルバドール・ダリ(1904-1989)の真作と判明した。ダリによる水彩画は珍しく、彼の異なる一面を示す貴重な作品となる。【続きを読む】 Photo: Courtesy of Cheffins.
大学生が初発掘で快挙! 開始90分で9世紀「黄金の謎の遺物」を発見
イギリスの発掘調査で、初参加の大学生が開始90分で9世紀の金の装飾品を探り当てた。発見された遺物は上流階級の宗教的・儀式的な目的で使用された可能性があるという。【続きを読む 】Photo: Facebook/Newcastle University
親子が青銅器時代の短剣を大発見!「ありえないほど良好な」状態に専門家も驚嘆
ドイツの森を散歩していた親子が、青銅器時代の短剣を発見した。専門家たちは、この剣は単なる武器として製造されたものではないと見ている。【続きを読む 】Photo: Couetesy Hauke Arnold/Thuringian State Office for Monument Preservation and Archaeology
あわせて読みたい