成田亨作品やウルトラシリーズの小道具が競売へ。タイの特撮監督の旧蔵品300点超
タイの特撮映画監督、ソムポート・セーンドゥアンチャーイの旧蔵品が競売にかけられる。ウルトラシリーズの美術を手がけた成田亨の作品や、円谷プロとの合作で使用された小道具など、300点以上が出品される。

アメリカのオークションハウス、ジュリアンズ・オークションズは9月23日、タイの特撮映画監督、ソムポート・セーンドゥアンチャーイの旧蔵品を集めたオークション「Kaiju King: The Sompote Sands Legacy Collection」を開催する。ソムポートが約50年にわたって収集・保管し、タイの私設ミュージアム「Sompote House」で展示してきた資料や小道具、美術作品、玩具など300点以上が出品される予定だ。
1941年に生まれたソムポートは、1960年代初頭に日本で映画制作を学び、東宝撮影所で特撮技術に触れた。ジュリアンズによれば、1962年に公開された映画『キングコング対ゴジラ』では制作助手として現場に参加している。タイに帰国した後は、1973年にチャイヨー・プロダクションを設立し、『ジャンボーグA&ジャイアント』(1974)や、『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(1974)といった映画を円谷プロダクションと共同制作した。
今回のオークションには、円谷プロとの合作作品に関連する品々も並ぶ。『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』で使用されたウルトラセブンの撮影用マスクの予想落札価格は5000〜7000ドル(約80万〜112万円)で、同作の宣伝に使われたフィギュアは1000〜2000ドル(約16万〜32万円)と見積もられている。このほか、『ジャンボーグA&ジャイアント』で使用されたジャンボーグAのスーツの一部や戦闘機のミニチュア、1974年にバンコクで行われた『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』のプレミア上映に登場した巨大なウルトラマンジャック像などが出品される。
このオークションの目玉となるのが、ウルトラマンや怪獣のデザインを手がけた美術家・成田亨による作品だ。成田が描いたウルトラマンのペインティングには1万〜2万ドル(約160万〜320万円)の評価が付いている。このほか、ケムール人やメフィラス星人、バルタン星人を描いた作品や、ウルトラマン、レッドキングのコンセプト画、さらには成田がウルトラセブンのデザインを固める過程で制作した樹脂製の立体なども出品される。
こうした円谷プロとの共同制作に由来する品々が並ぶ一方、ソムポート側と円谷プロはその後、初期ウルトラシリーズの日本国外における利用権をめぐって長年争うことになる。その中心となったのが、ソムポートが1976年に円谷プロとの間で締結したと主張する「76年書面」だ。円谷プロによれば、ソムポートが同書面の存在を初めて明らかにしたのは、この文書に署名したとされる円谷皐が死去した翌年の1996年だったという。
76年書面をめぐっては、日本の裁判でソムポート側の海外利用権が認められた一方、タイ最高裁は2008年に偽造と判断するなど、両国で異なる判決が下された。その後も係争は続いたが、2026年5月、東京地裁は同書面に基づく契約が2014年の円谷プロによる解約通知によって終了したと認定し、76年書面に基づく海外利用権は現存しないとする判決を下した。