マラドーナ「神の手」ゴールのボール、その落札額は?──予想額の約16億円には遠く及ばず

「1986 FIFAワールドカップ」で、ディエゴ・マラドーナが「神の手」ゴールを決めた試合球が、ヘリテージ・オークションズに出品された。高額落札が期待されたものの、結果は15億円超の事前評価額を大きく下回った。

「1986 FIFAワールドカップ」のイングランド対アルゼンチン戦で使用された試合球。Photo: Frederic J. Brown/AFP via Getty Images
「1986 FIFAワールドカップ」のイングランド対アルゼンチン戦で使用された試合球。Photo: Frederic J. Brown/AFP via Getty Images

ディエゴ・マラドーナが「1986 FIFAワールドカップ」準々決勝のイングランド戦で「神の手」ゴールを決めた際に使用されていたサッカーボールが、ヘリテージ・オークションズに出品された。このボールには1000万ドル(約15億9065万円)の評価額が付けられていたが、実際の落札額は335万ドル(約5億3286万円)にとどまった。

ヘリテージ・オークションズの競売人を務めるマイク・プロヴェンザーレはオークション前、このボールについて「唯一無二の品であり、現存するサッカー関連のメモラビリアで最も重要なもの」とロイターに語った

このボールが使われたのは、メキシコシティのアステカ・スタジアムで行われた準々決勝のイングランド戦だった。マラドーナは一見ヘディングに見える形で先制ゴールを決めたが、スローモーション映像には彼が手でボールに触れ、ゴールキーパーのピーター・シルトンをかわして得点する様子が映っていた。主審はハンドを見逃し、ゴールを認めた。試合後、マラドーナはこの得点について「少しはマラドーナの頭で、少しは神の手で決めた」と記者団に語っている。

先制点から4分後、マラドーナは再びゴールネットを揺らした。今度は文句のつけようのないゴールだった。イングランド選手を次々とかわして決めたこの得点は、後にFIFAワールドカップの「Goal of the Century」に選出されている

この試合で主審を務めたチュニジア出身のアリ・ベン・ナセルはのちに、マラドーナとシルトンが背を向けていたため、ハンドをはっきり確認できなかったと説明している。

この試合で使われたアディダス・アステカのボールは、2022年に初めてオークションに出品されるまで、36年間にわたりベン・ナセルが保管していた。当時は入札額が200万ポンド(現在の為替レートで約4億3417万円)に達したものの、最低落札価格には届かなかった。その後、個人に売却され、2023年2月にはゴールディンのオークションに再び出品されたが、ここでも落札には至っていない。

このボールの真正性は、第三者機関による写真照合で確認されている。ヘリテージ・オークションズによると、専門家がボール表面に残る傷などの痕跡を、イングランド戦の写真や1986年ワールドカップで使用されたほかのアディダス・アステカの画像と比較した。その結果、マラドーナが2つのゴールを決めた際に写っているボールと特徴が一致したという。競売人のプロヴェンザーレはオークション前、スポーツメディアのThe Athleticに対しこう語った

「このオークションハウスで20年間働いてきましたが、品物が届いた瞬間に部門全体の仕事が止まってしまうほどのものが、これまでにいくつかありました。これも間違いなくその一つです。サッカーや当時の出来事をまったく知らない人でも、その重要性が分かるほど象徴的なアイテムと言えるでしょう。しかも、2つのゴールシーンの両方と写真が一致したことで、このボールの価値はいっそう高まりました」

今回の落札額は、2022年にサザビーズで落札された同試合のマラドーナのユニフォームの930万ドル(現在の為替レート約13億9500万円)を大きく下回った。当時、この取引はスポーツ関連のメモラビリアとして史上最高額を記録した。

また、スポーツ関連のボールの最高落札額も更新できなかった。このカテゴリーで現在最高額となっているのは、大谷翔平が2024年に50本塁打、50盗塁を達成した際のホームランボールで、手数料込み439万ドル(当時の為替レートで約6億6000万円)で落札されている。

この試合は、アルゼンチンとイギリスの間で起きたフォークランド紛争からわずか4年後に行われた。そうした両国の関係も重なり、1986年の準々決勝は今なお、ワールドカップを象徴する試合の一つとして語り継がれている。(翻訳:編集部)

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