今週末に見たいアートイベントTOP5:ヴェネチア・ビエンナーレのスペイン館作家による新作、ジョージ・ナカシマの「建築」
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. ジョージ・ナカシマの造形 ―木の声を聴く―(GALLERY A⁴)
家具制作の背景にあった、建築の仕事に焦点
木の性質や形状を生かした家具で知られるジョージ・ナカシマ(1905-1990)は、自らを「ウッドワーカー(木工家)」と称した。日系二世としてアメリカ・ワシントン州に生まれ、マサチューセッツ工科大学などで建築を学んだ後、1934年から39年にかけてアントニン・レーモンドの事務所に勤務。インドの僧院「ゴルコンデ」(1945)の現場監理などを経験した。第2次世界大戦中には日系人収容所に収容された経験を持ち、戦後はペンシルヴェニア州ニューホープに家具工房を設立。木材そのものの形や性質を見極めながら家具を制作する一方、晩年には世界平和を願い、祈りを込めた「アルター・フォー・ピース(平和の聖壇)」などを制作した。
本展では、ナカシマが約30年をかけて家族とともに築いた仕事と生活の場「ジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ」をはじめとする建築に関する仕事に焦点を当てることで、建築や家具、暮らしの場を一体として考えたナカシマの仕事をたどる。「ゴルコンデ」や京都の「カトリック桂教会」(1965)などを写真資料とともに紹介するほか、娘のミラ・ナカシマ・ヤーナルや陶芸家・中村錦平のインタビュー映像も上映。さらに、椅子やベンチなど家具13点も並び、うち2点は実際に座ることができる。
ジョージ・ナカシマの造形 ―木の声を聴く―
会期:7月3日(金)〜10月15日(木)
場所:GALLERY A⁴(東京都江東区新砂1-1-1)
時間:10:00〜18:00(10月15日は17:00まで)
休館日:日祝
2. 竹村 京 うごくせかい(水戸芸術館現代美術ギャラリー)
「縫う」ことで留める、記憶と出来事
1975年東京生まれの竹村京は、写真やドローイングの上に刺繍を施した布を重ねるインスタレーションをはじめ、日用品を扱う立体作品やパフォーマンスなど多様な表現による作品を発表してきた。刺繍などによる「縫う」という行為を「仮の」状態に留め置くものと捉え、すでに存在しないものや記憶の断片を作品のなかに留める手法として用いている。過去には友人の生活を写し取り、その一部を縫い留めることで地震にも負けない保管のかたちを模索した初期作品《A.N.のリビングルーム、地震の予感》(2005)や、壊れた日用品を布で包むことで、独自の「修復」を行う立体作品などを手掛けてきた。
竹村にとって過去最大規模の個展となる本展では、2000年代の代表作を起点に、「修復」を施した作品群や、「天災」と「修復」を主題とした新作インスタレーションを紹介する。時間の流れや人・物の移動、天変地異、偶然の出来事によって変化する世界を、作品によって「仮留め」するように捉えてきた竹村の制作を、初期作品や新作を通して紐解く。また、展覧会関連プログラムとして、参加者が「修復」の意味を考え、「修復」に取り組むワークショップも開催。会期中はその成果も発表される。
竹村 京 うごくせかい
会期:7月25日(土)〜10月12日(月・祝)
場所:水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県水戸市五軒町 1-6-8 )
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(ただし9月21日、10月12日は開館)
3. GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE「AUTOFICTION / オートフィクション」(CON_)
7年繰り広げる「獸」の物語
「都市と青年」を題材に、漫画や映画などのサブカルチャーを取り入れた物語的な作品を展開してきたGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE。2021年からは、現代美術の展覧会とライブパフォーマンスを組み合わせながら、黒い獸へと変じる青年の物語を1年に1章ずつ発表する全7章・7年間にわたる長編プロジェクト「獸」を主宰している。同作家は、現実の出来事や自身の経験を出発点にフィクションを織り交ぜて物語を構築する手法を「AUTOFICTION」と呼んでいる。
本展では、7年間にわたって展開中の「獸」の作品や断片をひとつの空間に集約する。会場には絵画、彫刻、映像、ドローイングなど、異なるメディアによる作品が並ぶ。それぞれの作品がひとつの物語を構成する要素として重なり合うことで、「獸」がどのように展開してきたのかが浮かび上がる。現実とフィクションの境界を行き来しながら、都市や青年をめぐる物語をつくり続けてきた彼らの活動を、一つの展示として見渡す機会となる。
AUTOFICTION / オートフィクション
会期:8月1日(土)〜8月30日(日)
場所:CON_(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル4F)
時間:14:00〜19:00
休館日:月~水
4. オリオール・ヴィラノヴァ「Original Copy」(KOTARO NUKAGA 六本木)
ポストカードが映し出す、複製と唯一性
世界各地の蚤の市や古物市場を巡り、長年にわたってポストカードを収集してきたオリオール・ヴィラノヴァ。建築を専攻した経験を持ち、収集したポストカードを素材に、建築物や展示空間との関係を扱う作品を制作している。2023年には同ギャラリーでステファン・ブルッゲマンとの2人展「Economy and Love」に参加。現在開催中の第61回ヴェネチア・ビエンナーレではスペイン館で《Los restos》(2026)を発表し、膨大な数のポストカードを用いたインスタレーションを展開している。
日本初個展となる本展では、ポストカードを用いた新作をギャラリーの空間に合わせて展示する。「Spin off」シリーズでは、2枚から32枚まで、同じ図柄のポストカードを組み合わせて一つの作品を構成。壁面の形状に合わせて余白を取り入れながら配置することで、カードそのものだけでなく、展示空間との関係にも目を向けさせる。奥の小部屋では《Old Masters (Monet)》(2026)も展示。大量に複製され、人の手から手へと渡ってきたポストカードを通して、複製と唯一性、作品と空間の関係を探る。
オリオール・ヴィラノヴァ「Original Copy」
会期:8月1日(土)〜9月12日(土)
場所:KOTARO NUKAGA 六本木(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F)
時間:11:30〜18:00
休館日:日月祝
5. 井田幸昌『ポイエシスの彼方』(Gallery 地動説)
属性を取り払い、「人間そのもの」を描く
井田幸昌は1990年に鳥取県に生まれ、東京藝術大学大学院油画を修了後、国内外で作品を発表してきた。2023年には米子市美術館、京都市京セラ美術館で個展を開催。現在はロンドンと東京を拠点に活動している。人物を描く「Portrait」シリーズなどを通して人間の実存をテーマに制作してきたが、近年は油彩だけでなく、彫刻や陶芸にも表現を広げている。
天王洲に新たに誕生した「Gallery 地動説」のこけら落とし展となる本展では、井田が新たに取り組むヌードシリーズを発表する。戦争や身近な人の死、さらに自身が海外で経験した差別的な出来事を背景に、国籍や民族、文化的背景によって人と人との間に境界線が引かれてしまう現実に目を向けてきた井田。そこから、そうした属性を取り払い、「人間そのもの」を見つめ直す方法として、ヌードというモチーフに立ち返ったという。
井田幸昌『ポイエシスの彼方』
会期:8月4日(火)〜9月26日(土)
場所:Gallery 地動説(東京都品川区東品川2-6-4 G1ビル101)
時間:12:00〜17:00
休館日:日月祝


































