モーツァルト像200体超が盗難。生誕270周年の記念展で異例の大量被害

オーストリア・ザルツブルクで、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)の生誕270周年を記念して展示されていた、現代美術家オットマー・ヘル作の小像320体のうち、200体以上が盗まれた。

モーツァルトの生誕270周年展で展示されたオットマー・ヘルの作品。Photo: Instagram/ottmarhoerl_sculpture

オーストリア・ザルツブルクで、モーツァルトの生誕270周年を記念して設置されたモーツァルトの小像200体以上が盗まれた。アートネットが伝えた。

像を設置したのは、モーツァルトゆかりの博物館や資料を管理する国際モーツァルテウム財団。7月中旬に始まったパブリックアート・プロジェクト「モーツァルト──飼いならせない天才(Mozart—The Untameable Genius)」として、ドイツのコンセプチュアル・アーティスト、オットマー・ヘルが制作した高さ約50センチのプラスチック像320体を展示した。

展示場所は、市内のミラベル庭園をはじめ、モーツァルト旧居や、オペラ『魔笛』(1791)を作曲したとされる「魔笛の小屋」など。金色のモーツァルト像の傍らには、愛犬ピンペルルの姿も表現されている。

ヘルはAP通信に、制作意図を次のように語った。

「モーツァルトの記念碑を作りたかったわけではありません。そうしたものは、すでに十分あります。天才でありながら、彼もごく普通の人間だったという、人間的な側面を見せたかったのです」

モーツァルトの生誕270周年展で展示されたオットマー・ヘルの作品。Photo: Instagram/ottmarhoerl_sculpture
モーツァルトの生誕270周年展で展示されたオットマー・ヘルの作品。Photo: Instagram/ottmarhoerl_sculpture
モーツァルトの生誕270周年展の様子。Photo: Instagram/ottmarhoerl_sculpture

しかし、ザルツブルクを訪れた人々が完全な状態のインスタレーションを楽しめた期間は短かった。7月末までに80体以上がなくなり、8月12日時点で残っていたのはわずか110体だった。

国際モーツァルテウム財団は像の補充を試みたが、製造元が夏季休暇中だったため、追加生産はできなかった。このため、ミラベル庭園での展示を予定より早く終了すると発表。一方、モーツァルト旧居では、残った像の間隔を広げ、8月30日まで展示を続ける。

小像は1体90ユーロ(約1万6580円)で販売される予定だったことから、被害総額は約2万ユーロ(約368万5000円)に上る。ヘルはドイツ通信社(dpa)に対し、一般の来場者が記念品代わりに持ち帰ったとは考えにくいとして、「組織的な窃盗」ではないかとの見方を示した。

同じ像を大量に並べるインスタレーションで知られるヘルは、これまでにも盗難被害に遭っている。2023年には、19世紀の作曲家リヒャルト・ワーグナーが活動の拠点としたドイツ・バイロイトの歌劇場前に、金色のワーグナー像115体を並べたインスタレーション《You’re Welcome》を発表。しかし像は全て持ち去られ、地元警察が捜査したものの、犯人は見つからなかった。

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