クリストとジャンヌ=クロードの「幻のプロジェクト」を一挙紹介。ドイツ初の展覧会が4月に開幕
都市の建造物や自然の風景を布で包む壮大なアートプロジェクトで知られるクリストとジャンヌ=クロードの、「実現しなかった作品」に光を当てた展覧会がドイツで初めて開催される。過去60年間の100点を超える版画やドローイング、コラージュ作品が集結し、不可能を可能にしようと挑んだ2人の闘いの記録が紹介される予定だ。

巨大な人工物や自然などの環境を梱包する、他に類を見ない作品で名声を得たクリストとジャンヌ=クロード。しかし、実施に至った大規模プロジェクトが大きな注目を浴びた一方で、提案された2倍以上の構想が日の目を見ずに終わっている。その1つが、ニューヨーク大学の敷地内にあるピカソの巨大な彫刻《シルヴェットの胸像》を包む計画だった。
そうした未実現の構想を集めた展覧会「Christo and Jeanne-Claude: un|realized(クリストとジャンヌ=クロード:実現しなかった作品)」が、ドイツ・ミュンスターのパブロ・ピカソ美術館で、4月4日から6月28日まで開催される。同美術館はドイツで唯一のピカソに特化した美術館だ。
クリストとジャンヌ=クロードの「実現しなかった作品」は、彼らが準備段階で制作した版画やコラージュ、ドローイングなどのエディション作品で目にすることができる。この企画展では、ニューヨークのクリスト&ジャンヌ=クロード財団の所蔵作品に、民間や公共コレクションから貸し出されたものを加え、リトグラフと精巧なコラージュ作品を中心とした構成になるという。
2人は大規模なプロジェクトを実現するため、技術面や法律面、そして管理上の課題に数十年にわたって取り組むことことも少なくなかった。作品への理解や資金を得るために制作された版画やドローイングなどは、彼らの限りない創造性と不屈の精神を物語っている。
展覧会の冒頭では、初期のマルチプル作品や梱包されたオブジェの展示が行われ、1950年代から60年代のパリで制作活動を開始した頃から1964年のニューヨーク移住に至るまでの軌跡が紹介される。初期のマルチプル作品のほぼ全てが展示されるのは初めてだが、その一部には異なるバージョンも存在し、それぞれの固有性が示される。
この企画展で印象に残るのは、大きな成功の裏には数々の失敗があることだ。クリストとジャンヌ=クロードはパブリックアートを通じて政治経済の問題、社会的課題の提起や可視化に取り組んだが、その活動は激しい論争や反対運動を引き起こすこともあった。その1つがアメリカ・コロラド州で計画された《Over the River》で、当初は承認を得られたものの、数々の法廷闘争の末に断念している。展示では、オリジナルのドローイングやコラージュ、映像によって、このプロジェクトをめぐる25年の苦闘が伝えられる。
同展のキュレーターを務めるミュンスター在住のマティアス・コッデンベルグは、クリストとジャンヌ=クロードの親しい友人であり、20年以上2人の「ワーキングファミリー」の一員でもあった。コッデンベルグの企画はクリストとジャンヌ=クロードの多面的な作品群を深く掘り下げ、彼らの美的ビジョンと共同制作のアプローチが、プロジェクトの実現過程だけでなく構想と制作プロセスにおいても展開されていたことを余すところなく提示している。















