今週末に見たいアートイベントTOP5:ゴッホ《跳ね橋》が待望の来日、五木田智央が描く「架空のレコードジャケット」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵(名古屋市美術館)より、フィンセント・ファン・ゴッホ《跳ね橋》1888年 油彩、カンヴァス

1. アラン・キッチング:活版印刷の生ける遺産(京都dddギャラリー)

Musical Types, ”Entertaining Types”(「エンターテイニング・タイプ」ミュージカル・タイプ)/2009
Broadside number 1(ブロードサイド No.1)/1988
Printing in London: 1476-1995(ロンドンの印刷:1376~1995 年))/High Quality, Heidelberg(ハイデルベルグ『ハイクオリティ』誌)/1995

「活版印刷のレジェンド」の全貌

イギリスを代表するタイポグラファであり、印刷職人でもあるアラン・キッチング(1940年生まれ)の個展。活版印刷が商業印刷の主役だった1950年代に、15歳で植字工の見習いとなり、文字と印刷の技術を身につけた。1960年代初頭にはワトフォード工科大学でアンソニー・フローショーと協働し、実験的印刷ワークショップの設立に貢献。1989年にロンドンで自身のスタジオ「ザ・タイポグラフィ・ワークショップ」を設立し、文化機関や出版社、劇場などに向けてポスターや書籍、切手を制作してきた。木活字や金属活字を用い、大胆な色彩と構成で文字を視覚表現へと変える作品で知られる。

キッチングの仕事を日本で本格的に紹介する初の展覧会となる本展では、初期作から新作までをたどる。印刷職人としての技術を示す文字組版をはじめ、1980〜90年代に制作した大判印刷物「ブロードサイド」、文字だけで地図を描く「タイポグラフィック・マップ」などを展示。代表作に加え、アーカイブに保管されてきた作品や本展のために刷り上げた新作も並ぶ。

アラン・キッチング:活版印刷の生ける遺産
会期:8月28日(金)〜10月21日(水)
場所:京都dddギャラリー(京都府京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸3F)
時間:11:00〜19:00(土日祝は18:00まで)
休館日:月曜(10月12日を除く)10月13日


2. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO(麻布台ヒルズギャラリー)

RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI | async - immersion 2026|Photo:Satoshi Nagare
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI | async - immersion 2026|Photo:Satoshi Nagare
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI | async - immersion 2026|Photo:Satoshi Nagare 

巨大スクリーンと立体音響で体感する『async』の世界

2022年に京都で始まった、音とアート、空間をテーマとする展覧会「AMBIENT KYOTO」が東京に巡回する。展示されるのは、坂本龍一(1952-2023)と高谷史郎による《async - immersion》(2023)だ。坂本は音楽家として世界的に活動する一方、インスタレーションや舞台作品にも取り組んだ。高谷は1984年からダムタイプのメンバーとして活動し、坂本とはシアターピース『TIME』でも協働している。

《async - immersion》は、坂本が2017年に発表したアルバム『async』をもとに、高谷の映像とZAKが音響ディレクションを手がけた立体音響で構成されるインスタレーション。映像は音に呼応しながらも完全には同期せず、その関係が絶えず変化する。東京展では京都展と同じ幅26.4メートルのスクリーンを用い、会場に合わせて音響を再構築した。

RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO
会期:8月28日(金)〜10月25日(日)
場所:麻布台ヒルズギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
時間:10:00〜19:00、(土日祝は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:無休


3. GOKITA RECORDS 五木田智央の妄想レコードジャケット(アニエスベー ギャラリー ブティック)

展示風景。photo©︎Yumika Ikeda
展示風景。photo©︎Yumika Ikeda
展示風景。photo©︎Yumika Ikeda
展示風景。photo©︎Yumika Ikeda

「架空のレコードジャケット」100点以上を一挙公開

五木田智央(1969年生まれ)は、1990年代後半に鉛筆や木炭、インクによるドローイングで注目を集め、国内外で作品を発表してきた。イラストレーション、マンガ、プロレス、レコードといったサブカルチャーへの愛情は、その制作の大きな源だ。過去にはTowa TeiやYMO、METAFIVEなどのレコードやCDのジャケットも手がけている。

展覧会名の由来となった「Gokita Records」は、五木田が2002年から2018年にかけて制作したシリーズ。レコードジャケットを形式としながら、自身の趣味やユーモアをもとに自由に図像を描いた。本展では、その手法を引き継いで新たに制作した「妄想ジャケット」100点以上を一堂に展示する。存在しないレコードを想像させる絵柄を通して、イラストレーションと絵画を行き来する五木田の自在な表現に触れられる。

GOKITA RECORDS 五木田智央の妄想レコードジャケット
会期:9月12日(土)〜11月8日(日)
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F)
時間:12:00〜19:00
休館日:月曜(10月12日を除く)


4. ポール・ウォラック 個展「DIVISIBLE — 分けられる」(ファーガス・マカフリー東京)

Divisible, 2017
Wood, steel, canvas, paint, paper, pencil
木、鋼、キャンバス、絵具、紙、鉛筆
13 x 20 1/8 x 3/4 inches (33 x 51 x 2 cm)
Heir, 2026
Wood, mirror, paper, string, pencil, aluminum, paint
木、鏡、紙、糸、鉛筆、アルミニウム、絵具
82 5/8 x 49 1/4 x 36 1/4 inches (210 x 125 x 92 cm)
Give and Taken, 2026
wood
木
22 x 39 3/8 x 20 inches (56 x 100 x 51 cm)
Neither Nor, 2026
Wood, plaster, string, paper
木、石膏、糸、紙
8 7/8 x 6 5/8 x 5 1/2 inches (22.5 x 17 x 14 cm)

切る、つなぐ、重ねる。制作の痕跡をたどる彫刻展

30年以上にわたりパリを拠点に活動するポール・ウォラック(1960年生まれ)のアジア初個展。これまで主にヨーロッパで作品を発表し、サン=テティエンヌ近代・現代美術館やエッセンのフォルクヴァング美術館などで個展を開催してきた。小さな壁面作品から屋外の大規模なインスタレーションまで、その制作は幅広い。作品に残された切断や接合、修正の跡からは、素材と向き合いながら形を決めていく過程が見えてくる。

本展は、作品の「反射」「拡張」「接ぎ合わせ」という3つの側面から構成される。《non lieu》(2022)と《Heir》(2026)では、斜めに設置された鏡が床や壁を映し、鑑賞者の顔を映さない。《Since The Day Before》(2022)では、木材が接する一点から形が積み重なり、外へ広がっていくような姿を見せる。展覧会名を冠した壁面レリーフ《Divisible》(2017)は、出品作のなかでも絵画に近い作品だ。周囲を歩き、見る位置を変えながら、彫刻と空間の関係を確かめたい。

ポール・ウォラック 個展「DIVISIBLE — 分けられる」
会期:9月12日(土)〜11月14日(土)
場所:ファーガス・マカフリー東京(東京都港区北青山3-5-9)
時間:11:00~19:00
休館日:日月祝


5. ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵(名古屋市美術館)

フィンセント・ファン・ゴッホ《跳ね橋》1888年 油彩、カンヴァス
作品はすべてヴァルラフ=リヒャルツ美術館・コルブー財団蔵
Wallraf-Richartz-Museum & Fondation Corboud, Cologne
Photos: © RBA, Cologne
エドゥアール・マネ《アスパラガスの束》 1880年 油彩、カンヴァス
ピエール=オーギュスト・ルノワール《縫物をするジャン・ルノワール》
1898年 油彩、カンヴァス
ポール・セザンヌ《梨のある静物》1885年頃 油彩、カンヴァス

ゴッホら42作家の作品で近代絵画の変化を展覧

ドイツ・ケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館・コルブー財団が所蔵する、印象派とその前後の絵画70点を紹介する展覧会。最大の見どころは、フィンセント・ファン・ゴッホがアルル滞在中に描いた《跳ね橋》(1888)だ。同館が大規模改修に伴う休館を予定していることから、今回の来日が実現した。

会場は「印象派前」「バルビゾン派」「印象派」「ポスト印象派」「点描派」「20世紀の色彩画家」の6章で構成される。エドゥアール・マネの《アスパラガスの束》(1880)、クロード・モネの《エトルタの浜辺の漁船》(1883〜84)をはじめ、コロー、ルノワール、ゴーギャン、スーラ、シニャック、マティスら42人の作品が並ぶ。画家たちが受け継ぎながらも変化させた表現を通して、19世紀から20世紀へ続く近代絵画の流れを見渡せる。

ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵
会期:9月19日(土)〜11月29日(日)
場所:名古屋市美術館(愛知県名古屋市中区栄2-17-25)
時間:9:30〜17:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(10月12日、11月23日を除く)10月13日

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