1万1000年前の「ヒョウに乗る人物像」──人と獣が逆転した類例のない造形
- TEXT BY FRANCESCA ATON
トルコ南東部の新石器時代遺跡カラハン・テペで、ヒョウの背に乗る人物を表した珍しい像が発見された。人間と動物の関係を示す、これまでに例のない構図として注目を集めている。

トルコ南東部の新石器時代遺跡カラハン・テペで、ヒョウの背に乗る人物を表した約1万1000年前の像が発見された。トルコ文化観光省が8月25日に発表した。
紀元前9750年頃に築かれたとされるカラハン・テペは、世界最古級の集落遺跡のひとつ。遺跡が位置するシャンルウルファ県には、よく知られるギョベクリ・テペをはじめ、複数の初期集落が点在する。これらの遺跡からは、人間と野生動物がモチーフとなった謎めいた作品が相次いで出土している。
今回見つかった像は高さ約70センチ。直径約3メートルの円形建造物内の壁に沿って設けられた、石造りのベンチ上に置かれていた。トルコの文化観光相メフメット・ヌリ・エルソイは、この像が「これまでに例のない様式」でつくられていると、その希少性を強調した。
像が何を意味するのかは明らかになっていないが、専門家は、力や勇気を象徴していた可能性を指摘している。ドイツ考古学研究所で新石器時代を研究する考古学者イェンス・ノトロフは、科学ニュースサイトLive Scienceに次のように語った。
「ヒョウは当時、この地域に広く生息していたネコ科の肉食動物です。力強く危険なため、熟練した狩人にとっても手ごわい獲物だったでしょう。それが、ヒョウの象徴的な意味をさらに強めたのかもしれません」
さらにノトロフは、危険な動物に接しても恐れを見せない人物や、今回の像のように動物を従えているように見える人物について、「力や、獣の持つ生命力と危険性を支配する能力の象徴と解釈できるかもしれません」と述べている。
カラハン・テペでは以前にも、ヒョウを背負った人物像が発見されており、現在はシャンルウルファ博物館に収蔵されている。今回は人間と動物の位置関係が逆転した構図となっている。この発見は、同地域に成立した最初期の集落をめぐる新たな問いを投げかけるとともに、当時の社会や象徴表現を読み解く手がかりになると期待されている。(翻訳:編集部)
from ARTnews

1900年前の姿のまま! 古代ローマの墓地から「死者を導く」オイルランプが出現|オランダで行われていた発掘調査で、古代ローマの墓地の遺跡から1900年前のオイルランプが出土した。ランプは非常に繊細な装飾に彩られているにもかかわらず傷ひとつなく、考古学者たちを驚かせている。【続きを読む】
Photo: Courtesy BAAC / RAAP

小さな偶像たちが炉を囲むようにずらり! トルコの遺跡で発見された4500年前の祈りの形とは|トルコ・アナトリア半島の遺跡から、大理石や骨、テラコッタで作られた小さな偶像と未完成の陶器が発見された。4500年前の人形と未完成の陶器が示すのは、宗教と日常が交錯した古代の暮らしだった。【続きを読む】
Photo: via X/@MehmetNuriErsoy

バイキングの「野蛮なイメージ」を覆す新発見──古代ゲーム駒から浮かび上がる意外な側面とは|バイキングの男性の髪型は? と聞かれると、ワイルドな長髪に三つ編みをイメージする人も多いだろう。だが、デンマーク国立博物館で200年以上も資料庫で忘れ去られていた古代のゲーム駒を調査したところ、これまで知られてこなかった側面が見えてきた。【続きを読む】
Photo: Courtesy the National Museum of Denmark.

新たに調査が行われた、デンマーク国立博物館所蔵のバイキング時代のゲーム駒。Photo: Courtesy the National Museum of Denmark.

3800年前の「足を繋がれたカエルの土偶」は何を意味するのか? ペルーの遺跡で新発見|アメリカ大陸最古の文明、カラル文明の都市として知られるペルーのビチャマ遺跡で行われてきた発掘調査で、3800年前のカエルの土偶やレリーフが出土した。これらの発見により、当時の人々が気候危機を連帯して乗り越えようとした姿が明らかになった。【続きを読む】
Photo: Courtesy Peru’s Ministry of Culture

ペルーのビチャマ遺跡で見つかったカエルの土偶。Photo: Courtesy Peru’s Ministry of Culture

4世紀の遺跡から「ビーチサンダル」モザイク画を発見。後期ローマ時代の装飾トレンドを象徴|シチリア中南部にある古代ローマの別荘の遺跡で「ビーチサンダル」そっくりのモザイク画が発掘された。この遺跡は過去にも「ビキニを着た女性たち」のモザイク画が見つかっており、考古学ファンの関心を集めている。【続きを読む】
Photo: Edoardo Fornaciari/Getty Images

同遺跡から見つかった、「ビキニを着た女性たち」のモザイク画。Photo: Wikimedia Commons

16世紀「怪物の庭園」は没入型アート施設だった!? 奇怪な彫像だけでなく、水を用いた聴覚的演出も|鬱蒼とした森の中に奇怪な彫刻が立ち並ぶイタリア・ラツィオ州の庭園、サクロ・ボスコは、今も多くの謎に包まれている。しかし、最新技術を用いた調査によって、その新たな側面が明らかになった。【続きを読む】
Photo: Mauro Flamini/REDA/Universal Images Group via Getty Images

サクロ・ボスコに設置された、ギリシア神話に登場する怪物、エキドナを象った彫刻。
Photo: Mauro Flamini/REDA/Universal Images Group via Getty Images

ネアンデルタール人が4万年前に制作したアート作品を発見! 顔料からは成人男性の「完全な指紋」も|スペイン中部のサン・ラサロ遺跡の調査で見つかった石を調べたところ、それがおよそ4万年前にネアンデルタール人が作った芸術作品と判明。使用された顔料からは成人男性と見られる完全な指紋が検出された。【続きを読む】
ネアンデルタール人が制作したアート作品と考えられる石。Photo: X/@IGME1849

スペイン国家警察の鑑識部門の協力により明らかになったネアンデルタール人の成人男性の指紋(写真右)。Photo: X/@IGME1849

畑から1400年前の純金製カラスの頭部が出土! 新人金属探知機愛好家らの大手柄|金属探知機愛好家グループの新人を含む2人が今年1月、イングランド南西部の畑で1400年前にさかのぼるアングロサクソン時代の金製のカラスの頭部とガーネットが埋め込まれた帯を発掘した。一生に一度あるかないかの大発見にグループは大喜びしている。【続きを読む】
Photo: Chris Phillips

3歳の少女が3800年前のお守りを発見! 「石に歯のようなものがあったから拾った」とコメント|エルサレム近郊を家族でハイキング中だった3歳の女の子が、偶然珍しい形の石を発見。これが3800年前のお守りだったことをイスラエル考古学庁が発表した。【続きを読む】
Photo: Courtesy Israel Antiquities Authority

中国で30万年前の「超小型ネコ科動物」の化石を発見! ネコ科の歴史に「貴重な1ページ」を刻む|中国東部の華龍洞遺跡で30万年前のネコ科動物の化石が発見された。古代の猫の仲間の化石としては最も小型で、種の歴史を知る上での貴重な資料となっている。【続きを読む】
アジアに生息するベンガルヤマネコ。Photo: Getty Images

中国東部の華龍洞遺跡で見つかった、ベンガルヤマネコの仲間の下顎の化石。Photo: Facebook/Anhui, China - gov