2000年前の巨大プール、ついに全貌判明──300人収容、再び水を張る計画も
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
トルコ西部の古代都市トラレイスで、約2000年前のローマ時代の水泳用プールが発掘された。長さ37メートル、幅12メートルで、一度に約300人が利用できたとみられる。

トルコ西部アイドゥン県エフェレル地区にある古代都市トラレイスの遺跡で、約2000年前のローマ時代の水泳用プールが全体にわたって発掘された。Greek Reporterが伝えた。
発掘調査は、アイドゥン・アドナン・メンデレス大学のムラト・チェキルメズ教授の指揮のもとで進められている。長方形のプールは長さ37メートル、幅12メートル、深さ約1.5メートル。一度に約300人が利用できたと推定され、トラレイスでこれまでに確認された入浴関連施設のなかでも最大級の規模を誇る。
プールは、約4万平方メートルに及ぶ浴場・ギュムナシオン複合施設の一部として設けられていた。調査チームは、今回見つかった施設をローマ時代の浴場によく見られる冷水プール「ナタティオ(natatio)」と特定。利用者は温浴室で体を温めた後、ここで泳いだり体を冷やしたりしていたと考えられている。
ギュムナシオンは古代ギリシャに起源をもち、身体訓練や教育、市民交流の場として機能した。ローマ時代になると、こうした施設は大規模な公衆浴場と結びつき、東地中海一帯に浴場・ギュムナシオン複合施設が築かれた。
プールは一般の入浴客だけでなく、隣接するギュムナシオンで訓練する若い競技者にも利用されていたとみられる。チェキルメズによると、複合施設には1日当たり3000~5000人が訪れていた可能性がある。若い競技者たちはここで鍛錬を積み、トラレイスを代表して古代世界各地の競技会に出場したという。






今回の調査では、プールへの給排水を担った高度な設備の一部も明らかになった。湧水は、市の北方に位置する山地から延びる全長約56キロメートルの水道網を通じて複合施設へ運ばれていた。また、水が汚れた際に速やかに排水してプールを清掃し、再び水を張るための排水路も確認された。研究者らは、プールは屋外に設けられていたとみている。
古代都市トラレイスは、現在のアイドゥン市近郊にあり、肥沃なビュユク・メンデレス渓谷を見下ろす台地に位置する。伝承によると、アルゴス出身のギリシャ人入植者とトラキア系の人々によって建設された。紀元前334年にアレクサンドロス大王の支配下に入り、その死後はヘレニズム諸王国に組み込まれた。ヘレニズム期には優れた彫刻家を輩出した都市として知られ、ローマ時代には主要な交易・交通路に位置する地域の中心都市へと発展した。
浴場・ギュムナシオン複合施設は、古代ギリシャの教育・身体訓練の伝統と、ローマ都市文化を象徴する大規模な入浴施設を融合させたものだ。トラレイスは紀元前26年の地震で甚大な被害を受けたが、初代ローマ皇帝アウグストゥスの支援によって再建された。その援助への感謝から、都市は皇帝の別称を取って一時「カエサレア」と改称されたという。
発掘チームは保存・修復作業の完了後、トルコ文化観光省の文化遺産保護事業「未来への遺産(Heritage for the Future)」の一環として、この古代プールに再び水を張ることを計画している。
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Photo: Pedro Guillermo Ramón Celis, and the Guiengola Archaeological Project
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