小さな偶像たちが炉を囲むようにずらり! トルコの遺跡で発見された4500年前の祈りの形とは

トルコ・アナトリア半島の遺跡から、大理石や骨、テラコッタで作られた小さな偶像と未完成の陶器が発見された。4500年前の人形と未完成の陶器が示すのは、宗教と日常が交錯した古代の暮らしだった。

トルコ・アナトリア半島で発見された偶像たち。Photo: via X/@MehmetNuriErsoy
トルコ・アナトリア半島で発見された偶像たち。Photo: via X/@MehmetNuriErsoy

トルコ・アナトリア半島西部の遺跡から、大理石や骨、テラコッタで作られた4500年前の偶像が見つかった。青銅器時代に繁栄した集落のひとつであるタヴシャンリ・ヘユクでこれらの遺物が発掘されたことで、同地域で営まれていた生活や宗教的実践の一端が浮かび上がってきた。

発見された偶像のうち7つは炉の周りに意図的に並べられており、研究者らはこれを、祖先や守護霊、あるいは儀式で呼び出される神々を表すものと見ている。青銅器時代の社会において、炉はぬくもりや充足、庇護を象徴し、家族が集う場であると同時に神々への供物が捧げられる神聖な空間でもあった。偶像の配置は、そうした炉の象徴性と、像に宿る祖先や神々とのつながりを強調していると考えられる。

炉の周囲に偶像を配置する習慣自体は先史時代に広く見られるが、アナトリアでこうした形態が確認された例は極めて少ない。この発見は、青銅器時代の人々が居住空間を宗教的儀式に組み込んでいたことを裏づけるものだ。

Photo: via X/@MehmetNuriErsoy
Photo: via X/@MehmetNuriErsoy

偶像のほかには、未完成の陶器も発見され、青銅器時代の粘土成形や焼成の過程を示している。偶像と工芸品が同時に出土したことから、タヴシャンリ・ヘユクでは宗教と経済活動が密接に結びついていたと考えられる。集落は宗教的・文化的中心であると同時に、高度な生産拠点でもあり、実用と信仰の両立を図った当時の社会の複雑さがうかがえる。こうした発見について、トルコの文化観光大臣メフメト・ヌリ・エルソイは次のように述べた。

「タヴシャンリ・ヘユクで偶像と陶器が発見されたことで、青銅器時代のアナトリアで行われていた宗教的儀式、営まれていた生活や経済活動に関する手がかりが明らかになりました。発掘調査は現在小さな区域に限定されていますが、既に遠い過去にまつわる貴重な情報を示しています」

文化観光省によれば、発掘調査は12月中旬まで続くという。考古学者たちは、さらなる作業が青銅器時代のアナトリアにおいてこの集落がどういった役割を果たしたのか、そして集落の構造や地域的つながりに関する新たな知見の解明に期待を寄せている。

あわせて読みたい