座席に議員名の刻印も!「前例を見ない形状」の古代ローマの議場を発見

トルコ西部にある古代ローマ都市ラオディケアの遺跡で、保存状態の良い議場跡が発見された。考古学研究者によると、これまでアナトリアでは見つかったことのない形状の建物で、座席には議員の名が記されているという。

トルコ・アナトリア地方の古代ローマ遺跡、ラオディケアの空撮写真(2024年撮影)。Photo: Lokman Ilhan/Anadolu via Getty Images

トルコ・アナトリア(小アジア)西部、現在のデニズリ県に位置する古代都市ラオディケアで、新たに議場の建物が見つかったとトルコのアナドル通信社が8月初めに伝えた。

紀元前1世紀後半にさかのぼるこの議場は、ラオディケアの行政と司法の中心だったと見られている。考古学研究者によると、建物の形状はアナトリアでは前例がないもので、五角形の外壁の内部に六角形の空間が置かれ、収容人数は600人から800人と推定される。

出土した座席は上段と下段に分かれており、全部で17列ある。議会は元老から年若い市民までで構成され、座席には議長や議員の名前が刻まれていた。これによって研究者たちは、ラオディケアの政府組織内で役職を務めた人物の一部を特定することができるという。また、首席裁判官を表すと見られる坐像の頭部と胴体部で年代が異なるのは、おそらく統治者が変わったことを示唆していると考えられている。

7世紀頃まで使われていたこの議場は、集会所や公文書館、大規模な浴場施設、そしてこの地域で最大のスタジアムなど、古代ローマの都市に典型的な主要施設と統合された形で存在していた。

2003年から継続して行われているラオディケアの発掘調査では、これまでに細密なフレスコ画が描かれた大理石、ローマ帝国五賢帝の1人とされるトラヤヌス帝の約3メートルの彫像、トラヤヌスの泉、神官像の頭部、そしてホメロスの『オデュッセイア』に登場する海の怪物スキュラを題材にした群像彫刻などが見つかっている。その中での議場の発見は、行政と司法の拠点として繁栄した古代都市の姿を明らかにする上で重要な節目となるものだ。

ラオディケアは、セレウコス朝シリアのアンティオコス2世テオスによって、約2300年前の第二次シリア戦争の頃に建設された。肥沃な土地にあるこの都市は、アナトリアにおける織物生産と貿易の重要拠点となったが、7世紀の大地震で廃墟と化し、アナトリア君侯国時代(11〜13世紀)には牧草地になっていた。現在この遺跡は、ユネスコの世界遺産暫定リストに含まれている。(翻訳:石井佳子)

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