コム デ ギャルソンの重要アーカイブ265点がオークションへ──川久保玲の初期作品も出品
ヴィンテージファッション専門ディーラーが所蔵するコム デ ギャルソンのアーカイブオークションが9月15日に開催される。川久保玲の70年代の初期作やパリデビューを飾ったコレクションを含む265点が出品される。

ロンドンのオークションハウス、ケリー・テイラー・オークションズ(Kerry Taylor Auctions)が、ヴィンテージファッション専門ディーラー「dot COMME(ドットコム)」所蔵のコム デ ギャルソンのアーカイブを集めたオークションを9月15日に開催する。
出品されるのは265ロットで、1970年代の初期作品から1980年代のパリ・コレクション、1990〜2000年代を代表する実験的なデザイン、2010年代の作品まで、デザイナーの川久保玲が、半世紀近くにわたり問い続けてきた「服」の可能性を俯瞰する内容となる。dot COMMEのアーカイブから選ばれたこれら出品作は全て、これまで同店のウェブサイトでも販売されたことのない市場に初登場する作品だ。
なかでも注目されるのが、川久保が1981年にパリでデビューする以前、1970年代に制作した18ロット。1970年代のブラック・ポリウレタン製レインコートは、後にブランドを特徴づけるモノクローム、アシンメトリー、量感のあるシルエットをすでに予告する一着だ。さらに、パリで初めて発表した1981-82年秋冬「パイレーツ」コレクションの黒のウールアンサンブルなど、ブランドの形成期をたどる重要な作品が並ぶ。
1980年代を象徴する作品も充実している。1982-83年秋冬「ホールズ」コレクションからは、意図的にダメージを施したブラックウールのドレスが登場。穴や裂け目を欠損ではなく服を構成する要素へと転換した同コレクションは、西洋的な美や完成度の価値観を揺さぶり、コム デ ギャルソンを国際的なファッションの最前線へと押し上げた。落札予想価格は1000〜1500ポンド(約21万〜32万円)。また、1983-84年秋冬のグレーウールドレスは2000〜3000ポンド(約43万〜64万円)と予想されている。
1990年代以降からは、身体と衣服の関係を根本から問い直した1997年春夏「Body Meets Dress – Dress Meets Body」をはじめ、「Flowering Clothes」(1996-97年秋冬)、「Transformed Glamour」(1999-2000年秋冬)、「Broken Bride」(2005-06年秋冬)などの主要コレクションが登場する。表紙を飾る「Body Meets Dress – Dress Meets Body」のブラック・ポリエステルのアンサンブルは800〜1200ポンド(約17万〜26万円)の落札予想価格が付けられている。
さらに、川久保のもとでキャリアを築いた渡辺淳弥によるジュンヤ ワタナベ/コム デ ギャルソンの作品や、1983年から2013年までのメンズウェア16点も出品。ひとつのブランドのアーカイブでありながら、そこから派生したデザイナーやメンズウェアまで含め、コム デ ギャルソンをめぐる創造の系譜を立体的に見ることができる。
これらを17年以上にわたって収集してきたのは、dot COMME創設者のオクタヴィアス・ラ・ローザ。dot COMMEは日本のファッションに特化したヴィンテージディーラーで、ラ・ローザは18歳で訪れた東京の古着店でコム デ ギャルソンに出合って以来、収集を続けてきたという。今秋には約4000点に及ぶアーカイブをメルボルンからパリへ移転する予定で、今回の売却は新たな買い付けのためのスペース確保と、コレクションをさらに発展させることを目的としている。残るアーカイブについては記録を進め、将来的な展示も構想している。
ファッションのアーカイブが美術作品と同様に収集・研究・売買される現在、今回のオークションは川久保のデザイン史を振り返るだけでなく、衣服が文化的資料としていかに継承されていくのかを考える機会にもなりそうだ。
オークションは2026年9月15日午前10時(イギリス時間)から、ロンドンのケリー・テイラー・オークションズで開催。9月11日、13日、14日にはプレビューも行われる。

















































