KAWSのレアな初期作品がオークションへ。出品者はストリートファッション界の大物!?
4月5日にサザビーズ香港が開催するイブニング・オークション「The Now」に、KAWS初期の平面作品が出品される。予想落札価格は300万~500万香港ドル(約5700万~9500万円)。
KAWS作品の出品者と見られるのは、ファッションデザイナーで起業家のマーク・エコー。自身もグラフィティアーティストだったエコーは、1993年にファッション企業エコー・アンリミテッドをわずか5000ドル(当時の為替レートで約55万円)の資金で創業し、チーフ・クリエイティブ・オフィサーとして同社を巨大企業に育て上げた。また、2002年にはカルチャー誌のコンプレックスを創刊している。
今回、サザビーズのオークションに出品される《無題 (Calvin Klein)》(2000)はKAWSのキャリア初期のもので、既存のファッション広告の上に絵を描いた作品。彼が早くから商業的でキッチュなものを巧みに取り入れていたことがよく示されており、のちに大人気アーティストとなる資質の片りんが窺える。
実はこの作品、2011年にニューヨークにあるコンプレックス誌のオフィスから盗まれた。その後回収され、エコーに返却されたときには、KAWS本人が自分の作品かどうかを確認している。サザビーズの出品リストにある「現オーナーがアーティストから直接入手」という記載は、この作品の出品者がエコーであることの裏付けと考えられる。
この2月には、ライブコマース企業のNTWRKが、オンラインメディアのBuzzFeedから1億860万ドル(約280億円)でコンプレックス誌を買収。エコーは取締役として同誌に復帰した。
彼は現在、ニュージャージー州のバーナーズビルにある2000平方メートル近い豪邸も、1370万ドル(約20億円)で売りに出している。この物件は1886年に建てられたもので、2005年の購入後にエコーは屋敷全体のリノベーションを行った。(翻訳:石井佳子)
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