「バーキン」のプロトタイプがオークションへ! ファッション史における唯一無二の「幻の逸品」
女優ジェーン・バーキンの名を冠した「バーキン」バッグの原型となったブラックレザーのプロトタイプが、サザビーズのオークションに7月10日に出品される。1980年代に彼女のために特別に作られた唯一無二のハンドバッグには、長年の愛用による使用感やイニシャルの刻印が残っているという。

女優やファッションアイコンとして活躍したジェーン・バーキンの名を冠したエルメスの「バーキン」バッグの原型である、ブラックレザーのプロトタイプがサザビーズのオークションに出品される。落札予想価格は発表されていない。サザビーズのハンドバッグおよびファッション部門のグローバル責任者であるモルガン・ハリミは、ニューヨーク・タイムズ紙に次のように語る。
「価格は入札者に個別にお伝えしています。このプロトタイプは唯一無二のアイテムで、他のどのハンドバッグ、あるいはどのバーキンとも比較することはできません。当社のオークションでバーキンが出品されると、最高落札価格を更新することがありますが、これはダイアナ妃が着用したセーターや、NBA選手が試合で使ったユニフォームと同等の価値があると考えています。今回出品されるバッグは、誕生の背景や、このバッグがファッション業界に起こした革命により、価値が高まるでしょう」
高級ハンドバッグを店頭で購入することが極めて困難になる40年前、オリジナルのバーキンは、ジェーン・バーキンのために、そして彼女とメゾンの協働により、当時エルメスのCEOを務めていたジャン・ルイ・デュマの手で特別に作られた。
ハリミはまた、出品されたハンドバッグのプロトタイプを「ファッション史における唯一無二の一品」であり、「ファッションとアクセサリーの世界における真の幻の逸品」だと評している。
サザビーズが発表した声明によれば、このプロトタイプは、ヨーロッパではサザビーズ・パリで初公開された。その後、香港の拠点でも展示されたところ、「圧倒的な反響」を呼んだという。
ジェーン・バーキンが所有していた5つのバッグのうち1つがボナムズ・ロンドンのオークションに2021年に出品された際、落札予想価格1万5000〜2万ポンド(現在の為替で約293〜390万円)に対し、手数料込みで11万9000ポンド(同約2326万円)で落札された。
今回出品されるプロトタイプにはJ.B.のイニシャルが刻印されており、通常のバーキンとは異なるハイブリッドサイズが採用されている(バーキン35の幅と高さにバーキン40の奥行きを組み合わせたもの)。また、金色の真鍮製金具、小さなボトムスタッズ、取り外し不可能なショルダーストラップ、バッグに貼られていたステッカーの跡、そして長年の愛用による使用感が見られるという。
このバッグは、フランスのオークションハウス、プーラン・ル・フュールが2000年5月に開催したオークションで落札されたのちに、フランスのコレクターによって保管されてきた。その後、2018年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の「Items: Is Fashion Modern?」展や、2020年にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催された「Bags Inside Out」展でも展示された。
バーキンのプロトタイプは、6月12日からサザビーズ・ニューヨークで展示され、その後7月3〜9日までパリで展示されたのちに、サザビーズのオンラインオークション「Fashion Icons」に目玉商品として7月10日に出品される。(翻訳:編集部)
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