ARTnewsJAPAN

イヴ・サンローランが描いた官能的な男性ヌード画がオークションに。「解剖学的探求と淫靡な詩の融合」

世界的ファッションブランド 、サンローランの創業者であるイヴ・サンローラン(1936-2008)とパートナーのピエール・ベルジェ(1930-2017)のコレクションが、1月24日からサザビーズで開催されるオンラインオークションに出品される。目玉となるのは、サンローランが描いた官能的なドローイング約20点だ。

パリのスタジオのイヴ・サンローラン。1982年撮影。Photo: John Downing/Getty Images

ファッションデザイナーのイヴ・サンローランと、彼の生涯のパートナーで資産家のピエール・ベルジェは1961年に「イヴ・サンローラン」を設立。世界的なファッションブランドに育て上げた。そんな2人がプライベートで何十年にも渡って蒐集したコレクションの一部がオークションに出品されるとWWDが伝えた。

オークションは1月24日から30日まで、サザビーズのオンラインで開催される。タイトルは「イヴ・サンローラン-ピエール・ベルジェ:親密なコレクション」。

2人のコレクションに特化したオークションは、過去にも何度か行われている。最初は、サンローランが脳腫瘍で亡くなったわずか数ヵ月後の2009年、ベルジェがノルマンディーやパリの邸宅にあった美術品や家具1200点をクリスティーズに出品。落札総額は3億4240万ユーロ(現在の為替で約553億円)と、個人コレクションの史上最高額を記録した。その後、ベルジェが死去した翌年の2018年にピエール・ベルジェ&アソシエはサザビーズにパリ、ノルマンディー、プロヴァンス、モロッコにある邸宅の美術品約1000点を出品したが、前回ほどの売上には至らなかった。

今回は、2人と親交のあったフランス人のコレクションから40点余りが出品される。サザビーズの会長でデザイン部門の共同責任者であるフローラン・ジャニアールは、「ロット数で言えば小規模ですが、イヴ・サンローランとピエール・ベルジェの所有品がオークションに出品されることは今では珍しく、重要なことです。素晴らしい来歴を持つ品々ですから、大きな需要が見込めるでしょう」と期待を込める。

イヴ・サンローランのドローイング。予想落札価格は4000ユーロから6000ユーロ(約64万円~96万円)。Photo: Courtesy of Sotheby’s
イヴ・サンローランのドローイング。予想落札価格は4000ユーロから6000ユーロ(約64万円~96万円)。Photo: Courtesy of Sotheby’s
アンディ・ウォーホルが撮影した2人のポラロイド写真。2枚1組で予想落札価格は4000ユーロから6000ユーロ(約64万円~96万円)。アンディ・ウォーホルPhoto: Courtesy of Sotheby’s
19世紀製のローマ兵士を描いたカメオスタイルの磁器メダル。予想落札価格は1500ユーロから2000ユーロ(約24万円~32万円)。Photo: Courtesy of Sotheby’s

オークションの目玉は、サンローランが描いた官能的なドローイング約20点だ。鉛筆やマーカーが使われており、中には男性の裸や、男性器を模したモチーフが描かれたものもある。これらについてサザビーズはプレスリリースで、「理想化されたものであれ空想的なものであれ、男性の身体の表現に魅了されていたサンローランは、『正確な解剖学的ディテール』とある種の『淫靡な詩』を組み合わせたイラストレーションを数多く描きました」と説明する。全てのドローイングは、イヴ・サンローランのグラフィック作品の真正性を検証するために設立された認証委員会から認められたものだという。予想落札価格は4000ユーロから6000ユーロ(約64万円~96万円)。

そのほか、アンディ・ウォーホル、ヘルムート・ニュートン、アリス・スプリングス、マルティーヌ・バラといった、ベルジェと親交が深かった写真家たちの作品もいくつか出品される。ウォーホルがベルジェとサンローランを撮影した2枚1組のポラロイド写真の予想落札価格は4000ユーロから6000ユーロ(約64万円~96万円)だ。また、パリの著名なギャラリー・クーゲルで2人が集めた希少品も含まれており、19世紀製のローマ兵士を描いたカメオスタイルの磁器メダルの予想落札価格は1500ユーロから2000ユーロ(約24万円~32万円)。

ジャニアールは、「著名な人物が選んだ品々には、特別な何かがあるのです。イヴ・サンローランとピエール・ベルジェの所蔵品についても然り。こうした品々がオークションで世に出るのは素晴らしいことだと思います」と語った。

今回の出品作品は、1月21日から30日までパリ中心部のサントノーレ通りにあるサザビーズ本社で展示される。この時期パリでは2025-26年秋冬パリ メンズファッションウィーク(1月21日〜1月26日)が開催される。同じくサザビーズでは、1月21日から31日までカール・ラガーフェルド遺品セールも行われるので、ファッションラバーはオークションにも注目の忙しい週間となりそうだ。

あわせて読みたい