ヴァシュロン・コンスタンタン、ルーヴルとの協働で古代文明を再解釈──石材彫刻による新作を発表

ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館がパートナーシップを結んで7年。今春、同館の至宝に着想を得た「メティエ・ダール ― 偉大な文明へ敬意を表して ―」シリーズに、時を超えた芸術と技が響き合う新章が加わった。

新シリーズ「メティエ・ダール ― 偉大な文明へ敬意を表して ―」の制作風景。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

1793年、王室コレクションを市民に開放するために開館した「芸術の殿堂」ルーヴル美術館。そして1755年に創業した、現存する最古の時計マニュファクチュールであるヴァシュロン・コンスタンタン。両者の関係は、2016年にヴェルサイユ・トリアノン宮殿国立博物館からルーヴルに寄託されていた18世紀の精密時計「天地創造」の修復支援に端を発し、2019年に正式なパートナーシップへと発展した。

以来、両者は芸術、文化、技術の保護と継承という同じ理念のもと、チャリティオークション「Bid for the Louvre」や国際工芸展「ホモ・ファーベル」への共同参加など、多彩な文化活動を展開してきた。2025年には創業270周年を記念し、2370個の部品と22の複雑機構を備えたオートマトン時計「ラ・ケットゥ・デュ・タン(時の探求)」をルーヴルで披露・展示している。

こうした活動と並行して、2022年に初めて発表された「メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して –」に象徴されるように、ヴァシュロン・コンスタンタンの高度な職人技と芸術性を結集して同館の所蔵作品をダイアル上に再現する特別な腕時計制作も進められてきた。そして今回、その第2章として新作が発表された。

所蔵作品と同じ石材を用いた浮彫彫刻

今回発表された「メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して –」では、ルーヴルの古代美術部門キュレーターとの3年にわたる密接な協働により、古代エジプト、アッシリア、ギリシャ、ローマという四つの文明を象徴する同館所蔵の傑作が選定された。

特筆すべき挑戦は、石材を用いたグリプティック(浮彫彫刻)の導入だ。前作がゴールド彫刻であったのに対し、今回は徹底した調査のもと、オリジナルと同じ産地の大理石や石灰質砂岩を採用。双眼顕微鏡を用いた手作業によって施される微細彫刻は、素材ごとの特性を熟知した限られた職人にしか実現し得ない高度な技だ。

彫像を取り巻くフリーズや装飾モチーフもまた、ルーヴル所蔵作品から着想を得たものであり、各文明の意匠が精緻に再構築されている。

イシス神殿のテベレ: グリプティック(石への彫刻)。オリジナルの像と同じイタリア産の石を使用。細部を際立たせるため彫刻とパティーナ仕上げを施し、写実的に描き出された川の神は、像が持つ穏やかな力強さを湛える。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
アクエンアテンの胸像: マルケトリー、クロワゾネ・マルケトリー。箔や木片を組み合わせてモチーフや情景を描き出すマルケトリーと金属細工と木工細工を組み合わせた独創的な手法クロワゾネ・マルケトリーが駆使され、複雑な美しさが生み出される。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
イシス神殿のテベレ: マイクロモザイク。極小のピースを組み合わせるマイクロモザイク。ピースの多くはガラスペースト、エナメル、石を素材とし、サイズが1ミリ以下の場合もある。双眼顕微鏡を用いて配置され、まるで鉱石の絵の具で描いたような、印象的で具象的な美しさを表現することができる。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
サルゴン2世のラマッス:エナメル。着色したガラス粉末をゴールドの表面に塗布したのち、高温で焼き付ける。シャンルヴェ・エナメル、フランケ・エナメル、ミニアチュール・エナメル・ペインティングなど、複数のエナメル技法が用いられている。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

さらに本シリーズでは、第1弾同様に自社製ムーブメント「キャリバー2460 G4/2」を採用。針を排した構造により、ダイヤル全面を芸術表現のためのキャンバスとして解放している。時刻表示は4つの小窓で行われ、視認性を確保しながらも装飾と見事に調和している。厚さわずか6.05ミリの自動巻きムーブメントは約40時間のパワーリザーブを備え、機能美と造形美を高次元で両立させた。

ヴァシュロン・コンスタンタンのプロダクトマーケティング&イノベーションディレクター、サンドリン・ドンガイは、ルーヴルが有する古代文明の比類なきコレクションには普遍的な共鳴を呼び起こす力があるとし、本作は、それぞれの文明の本質をより鮮明に浮かび上がらせる試みだと語る。

では、4つの作品とそこに込められた物語を紐解いていこう。

アクエンアテンの胸像 エジプト新王国(紀元前1500~1000年)

メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して – アクエンアテンの胸像。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

ツタンカーメンの父として知られるアクエンアテンは、太陽神アテンを唯一神とする宗教改革を推し進めた異端のファラオだ。本作では、19世紀にアマルナで発見された胸像をもとに、同じシナイ産の石灰質砂岩を用いて再現。やや見上げる角度から捉えた構図により、その神秘的かつ孤高の存在感が際立つ。外側のフリーズには第12王朝の神官の襟飾りから着想を得たターコイズのエングレービングを、内側にはレッドマザーオブパールやクリソプレーズなどを用いたシャンルヴェ装飾を施し、約150時間を費やして完成された。

サルゴン2世のラマッス(新アッシリア帝国・紀元前934〜609年)

メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して – サルゴン2世のラマッス。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

人面有翼の雄牛という神話的存在であるラマッスは、アッシリアの王・サルゴン2世の宮殿と都市を守護する威厳の象徴であった。ルーヴルに所蔵される高さ約5メートルの巨像をもとに、本作ではイタリア産の石灰質砂岩を用いてその迫力を凝縮。彫刻にパティーナ(古色仕上げ)を施すことで、半人半獣の存在が放つ力強さを際立たせている。

ヴェッレトリのアテナ(古代ギリシャ・紀元前480〜323年)

メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して – ヴェッレトリのアテナ。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

1797年に発見されたこの大理石像は、紀元前5世紀のギリシャ彫刻をローマ時代に模刻したもので、アテネの守護女神の賢さと力強さが表現されている。時計では、エーゲ海のパロス島産の純白の大理石を使用し、女神の均整の取れたプロポーションと静謐な威厳を感じさせる仕上がりとなっている。

イシス神殿のテベレ(ローマ帝国・紀元前27年〜西暦476年)

メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して – イシス神殿のテベレ。Photo: Courtesy of Vacheron Constantin
Photo: Courtesy of Vacheron Constantin

テベレ川を神格化したこの大理石像は、1512年にローマで発見されたもので、豊穣の象徴である角を手にし、傍らにはロムルスとレムスの神話を想起させる狼の姿が添えられている。本作ではオリジナルと同じイタリア産石材を用い、浮彫とパティーナによって穏やかな威厳と豊かさを繊細に表現した。

これら4つのタイムピースは、文明の記憶と精神を宿している。石という永遠性を持つ素材に刻まれた像と、精緻な時計製造技術とが融合することで、ヴァシュロン・コンスタンタンは「時」と「歴史」をひとつの芸術へと昇華させた。

「メティエ・ダール – 偉大な文明へ敬意を表して –
アクエンアテンの胸像、サルゴン2世のラマッス、ヴェッレトリのアテナ、イシス神殿のテベレ」

各15本限定、シリアルナンバー入り
ヴァシュロン・コンスタンタン ブティックにて取り扱い

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