ザハ・ハディド「幻のパビリオン」がオークションへ。世界で2点のみ、予想落札価格は2億円

建築家ザハ・ハディド(1950-2016)が手掛けたパビリオン(東屋)《ヴォル・ダイニング・パビリオン(Volu Dining Pavilion)》が4月8日、モナコのエルミタージュ・ファイン・アート主催のオークションに出品される。現存は2点のみとされる希少作で、予想落札価格は90万〜110万ユーロ(約1億6600万円〜2億円)。

ザハ・ハディド《ヴォル・ダイニング・パビリオン》Photo: courtesy of Hermitage Fine Art

建築家ザハ・ハディドが手掛けたパビリオン(東屋)《ヴォル・ダイニング・パビリオン(Volu Dining Pavilion)》が4月8日、モナコのエルミタージュ・ファイン・アートが主催するオークション「DESIGN & JEWELLERY」に出品される。地元メディアのMonaco Lifeが報じた。

このパビリオンは、2015年のデザイン・マイアミで発表された、先端的な設計・製造技術を用いて効率的な居住環境を探る取り組み「レボリューション・プロジェクト」の一環として制作されたもの。設計はザハ・ハディドと、彼女の長年の協働者で現在ザハ・ハディド・アーキテクツを率いるパトリック・シューマッハが手がけた。

スチールとアメリカンオークでできたパビリオンの面積は約20平方メートルで、土台の複数の流線が中央の軸へと収束しながら屋根として立ち上がる構造だ。設計事務所が「動的かつ没入的な空間体験」と表現する構造物は、一見すると一体の塊のように見えるが、実際にはレーザーカットされた多角形パーツを複雑に組み合わせ、鋼製の骨組みに統合したもの。中には、テーブルと3脚のベンチが備えられている。各要素はザハの事務所が推進した設計思想「パラメトリックデザイン」によって数値的に最適化されており、製造上の制約を満たしながら使用材料を最小限に抑えるよう設計されている。

ザハ・ハディド《ヴォル・ダイニング・パビリオン》部分。Photo: courtesy of Hermitage Fine Art
ザハ・ハディド《ヴォル・ダイニング・パビリオン》部分。Photo: courtesy of Hermitage Fine Art

エルミタージュ・ファイン・アートが把握する限り、現存する《ヴォル・ダイニング・パビリオン》は世界で2点のみとされる。今回出品されるのは、2016年にエイズ研究を支援する非営利団体、amfAR(American Foundation for AIDS Research)のために制作され、同年カンヌでのチャリティ・オークションに出品された個体だ。もう1点はメタリックな単色仕上げであるのに対し、本作は明るいトロピカルカラーが特徴。予想落札価格は90万〜110万ユーロ(約1億6600万円〜2億円)。

2004年に女性として初めてプリツカー賞を受賞したハディドは、生前、「アクア・テーブル(Aqua Table)」(2005)や「Zチェア(Z-Chair)」(2011)などの家具のほか、テーブルウェアやシューズといったプロダクトも手がけている。これらはいずれも本作と同様、「カーブの女王」特有の曲線的で連続性のあるフォルムが特徴だ。

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