ギザの大ピラミッドの「耐震構造」が明らかに。最新研究が示す、4600年前の高度な工学知識

エジプト・カイロ近郊のギザにある三大ピラミッドの1つ、クフ王のピラミッドは、なぜ約4600年もの間、複数の大地震に耐えることができたのか。その理由が、新たな研究で示された。

エジプト・ギザのクフ王のピラミッド(2026年1月14日撮影)。Photo: Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

エジプト・ギザの大ピラミッドは、古代エジプト古王国時代のファラオ、クフ王(在位:紀元前26世紀)のピラミッドとして知られる。その高さは現在138.5メートルで、建造時の147メートルから10メートル弱しか失われていない。

しかし約4600年の間に、大ピラミッドは何度も大地震に見舞われてきた。たとえば、1847年にカイロの南にあるファイユームで発生した地震の推定マグニチュードは6.8。1992年にカイロ南西で発生し、多数の犠牲者を出したマグニチュード5.9の地震では、最上部の石の一部が地面に落下している。

エジプト国立天文地球物理学研究などの研究チームは、これまでなぜ深刻な損傷が発生しなかったのか調査を続けてきたが、5月21日、新たな分析結果を学術誌のサイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)で発表した。ピラミッドの構造全体にわたる振動を調べたその研究によると、「王の間」の上方に位置し、「重量軽減の間」と呼ばれる一連の空間が地震の揺れを緩和していることが示唆されている。

同研究所の地球科学者で、論文の共著者であるアセム・サラマは、ライブサイエンスの取材に対し、「何世紀にもわたる試行錯誤と改良を通じて、極めて効果的な建築手法を確立した古代エジプトの建築家たちの高度な実践的工学知識が浮き彫りになった」と述べている。

研究チームはクフ王のピラミッドの内部および周辺の37カ所に地震計を設置し、ピラミッド内に見学者がいない時間帯の振動を測定。工事や交通などで生じる「常時微動」を記録・分析した。その結果、ピラミッドはこれらの振動に対して驚くほど均質で安定した構造的反応を示したという。

測定では、ピラミッド各所の振動が約2.0~2.6ヘルツの範囲で一定していることが分かった。これは、通常0.6ヘルツ前後である近隣の地上の振動とは大きく異なる。この差は、地震発生時にピラミッドが地中を伝わる振動とは切り離された状態にあることを意味し、耐震性に寄与していると研究チームは見ている。

また、構造物の上部に向かうにつれて増大する振動が、ピラミッド内部の高さ約61メートルにある「重量軽減の間」によって抑制されていることが考えられるという。「王の間」の上に位置するこの5層の空間は、従来ファラオの眠る場所にかかる巨大な荷重を軽減し、天井の崩落を防ぐものとされてきた。

このほかピラミッドの安定性を保つ要素には、一辺が約230メートルある巨大な基部や対称的な形状、強固な石灰岩の岩盤の上に築かれていることなどが挙げられる

研究チームは大ピラミッドでさらに測定を続ける予定で、エジプトにある他の重要な遺跡でも同様の手法を活用したいと考えている。

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