今週末に見たいアートイベントTOP5:ロバート・ロンゴ30年ぶりの日本個展、シアスター・ゲイツが京都の織元と協働
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 佐内正史 雷写(岡本太郎記念館)
岡本太郎のエネルギーを直感的に写し取る「雷写」
1997年に写真集『生きている』でデビューし、2003年には写真集『MAP』で木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家・佐内正史。2008年には自身のレーベル「対照」を立ち上げ、独自の写真観に基づく出版活動を続けてきた。2025年夏から冬にかけて、佐内は毎週火曜日に岡本太郎記念館を訪れ、太郎の絵画作品を撮影し続けた。
なかでも太郎の絶筆《雷人》に強く惹かれた佐内は、自身の撮影原理を「雷写」と名づけ、TAROとの対話を試みるように写真を重ねていく。「雷写」とは、「なにを撮ろうか、どう撮ろうか」と考えるより先に、対象から放射される波を直観しシャッターを切るという撮影行為だ。太郎作品の放つ力を正面から受け止めた写真群は、350頁におよぶ写真集としても結実している。本展では、太郎の作品と佐内の写真を響き合わせる構成によって、異なる時代に生きた2人の表現者が交差し、独特の緊張関係が浮かび上がる。写真と絵画という異なるメディアを通じて、岡本太郎の芸術と新たなかたちで向き合う試みだ。
佐内正史 雷写
会期:3月14日(土)〜7月12日(日)
場所:岡本太郎記念館 (東京都港区南青山6-1-19)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜(祝日を除く)
2. 小原一真写真展|KG+ Special Exhibition Unreel(ほどく)– Fragments of the Human Condition(立命館大学国際平和ミュージアム)
「出来事の裏側」を記録してきた15年の軌跡
1985年岩手県生まれ、大阪府在住の写真家・ジャーナリスト、小原一真の大規模個展。ロンドン芸術大学フォトジャーナリズム修士課程を修了後、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故を契機にフリーランスのフォトジャーナリストとして活動を開始した小原は、取材を通じて出会った原発作業員との交流をきっかけに、社会のなかで可視化されにくい人々の記録へと関心を深めてきた。以来、戦争や核災害、感染症などの出来事の只中で生きる人々を撮影し続け、世界報道写真賞の受賞や米TIME誌の年間ベスト写真集への選出など国際的な評価を得ている。
本展では、東日本大震災と福島第一原発事故、チェルノブイリ原発事故の被害者や原発作業員、ビキニ水爆実験で被ばくした漁師、第2次世界大戦下を生き延びた子どもたち、ウクライナ戦争下の少数民族ロマ、新型コロナウイルス感染症患者とスタッフ、ハンセン病回復者とその家族などを題材にした、15年にわたるプロジェクトを一堂に紹介する。展覧会タイトルの「Unreel(ほどく)」は、幾重にも巻きついた糸が解きほぐされていく様を意味し、小原の写真は出来事の背後にある見えにくい風景と、そこに生きる人々の生の断片を浮かび上がらせる。写真集『RESET』『Exposure』など長期的なプロジェクトを通じて展開してきた活動の全体像を、一つの場所でたどることのできる機会となる。
小原一真写真展|KG+ Special Exhibition Unreel(ほどく)– Fragments of the Human Condition
会期:4月3日(金)〜7月11日(土)
場所:立命館大学国際平和ミュージアム1階 中野記念ホール(京都市北区等持院北町56-1)
時間:9:30〜16:30(入場は30分前まで)
休館日:日曜、祝日の翌日(5月31日を除く)
3. 櫃田伸也-通り過ぎた風景(豊田市美術館)
風景を組み替える、櫃田伸也の大規模回顧展
1941年東京生まれの画家、櫃田伸也は、戦後の焼け野原から復興する東京の街並みや、1975年に赴任した愛知県立芸術大学周辺の郊外風景を出発点に、独自の絵画世界を築いてきた。西洋絵画の技法を基盤としながら、やまと絵や山水画といった東洋絵画の視点も取り入れたその作品を、櫃田自身は「通り過ぎた風景」と呼んできた。長年にわたり教育者としても活動してきた櫃田の姿勢は、多くの現代美術家にも影響を与えてきた。
本展は、1960年代から2026年の最新作まで約120点の資料を交えて構成される、過去最大規模の回顧展となる。都市や郊外の風景は、パズルのように途切れ、組み合わさって描かれ、曖昧な遠近感のなかに異なる視点が交錯する。記憶や時間の断片が層をなすように抽象化されたその風景は、ひとつの場所に重なり合うさまざまな気配を浮かび上がらせる。櫃田が半世紀以上にわたり描き続けてきた「通り過ぎた風景」は、あらためて現在の視点から見直されつつある。本展は、その絵画が私たちの風景の見方をどのように揺さぶるのかを考える機会となる。
櫃田伸也-通り過ぎた風景
会期:4月4日(土)〜6月21日(日)
場所:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1)
時間:10:00〜17:30(入場は30分前まで)
休館日:月曜(5月4日を除く)
4. シアスター・ゲイツ:Glorious Robe(HOSOO GALLERY)
文化を織り合わせるシアスター・ゲイツの新作
コンセプチュアル・フォーマリズム、彫刻、空間理論、ランドアート、パフォーマンスなど多様な領域を横断する実践で知られるアーティスト、シアスター・ゲイツと、京都の織元HOSOOによる協働展覧会。織物や衣服を芸術的実践として捉え直す対話を重ねてきた両者の協働から生まれた新作群を紹介する。
展示の中心となるのは、西アフリカの伝統衣装「ダシキ」と日本の着物の系譜を融合させた衣服《Dashikimono(ダシキモノ)》だ。1960年代のアメリカでブラック・パワー運動の象徴として広まったダシキと、日本の工芸文化を象徴する着物という異なる文化的背景をもつ衣服を重ね合わせることで、アフリカと日本それぞれの服飾文化への敬意と、工芸を通じた社会変革の可能性を提示する。さらに本展では、ジャーナリスト長田衛と石谷春日によるマルコムX関連のアーカイブを起点に制作された「Obi」シリーズも紹介。1960年代に暗殺された黒人解放運動の指導者たちを追悼する帯作品で、象徴的なフィストマークと没年が織り込まれている。
シアスター・ゲイツ:Glorious Robe
会期:4月11日(土)〜8月30日(日)
場所:HOSOO GALLERY(京都市中京区柿本町412 HOSOO FLAGSHIP STORE 2F)
時間:10:30〜18:00(入場は15分前まで)
休館日:祝日
5. ロバート・ロンゴ:Angels of the Maelstrom(Pace ギャラリー)
大谷翔平からクレーの天使まで──30年ぶりの日本個展
1953年ニューヨーク・ブルックリン生まれのアーティスト、ロバート・ロンゴは、1980年代に台頭した「ピクチャーズ・ジェネレーション」を代表する一人。1981年の初個展で発表した《Men in the Cities》シリーズで広く知られ、シンディ・シャーマンやリチャード・プリンスらとともに、メディア画像と現代社会の関係を批評的に扱う作品を展開してきた。近年はニュース写真やインターネット上の映像をもとに、木炭とグラファイトによる超リアリスティックな白黒ドローイングを制作。米国議会議事堂襲撃事件やブラック・ライブズ・マター運動など現代の政治的出来事を題材に、権力や暴力、国家神話の形成を問い直している。
本展は、日本では1995年の伊勢丹美術館での回顧展以来、約30年ぶりの個展となる。タイトルは、パウル・クレーの水彩モノプリント《アンゲルス・ノヴス》(1920)に着想を得たもの。この作品はかつて哲学者ヴァルター・ベンヤミンが所有し、論考「歴史の概念について」のなかで「歴史の天使」として言及したことで知られる。過去を見つめながら未来へと押し流される天使のイメージを手がかりに、ロンゴは日米の文化的象徴を横断する図像を探求する。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平を描いた《Untitled(American Samurai)》をはじめ、葛飾北斎を想起させる大波や虎、山、花々、さらにジョン・F・ケネディやエルビス・プレスリーといった20世紀アメリカの象徴的人物を描いた新作が並ぶ。
ロバート・ロンゴ:Angels of the Maelstrom
会期:4月16日(木)~6月17日(水)
場所:Pace ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズガーデンプラザA 1-2F)
時間:11:00~20:00(日曜は18:00〜20:00、それ以外の曜日は19:00〜20:00はアポイントメント制)
休館日:月曜






























