韓国・光州ビエンナーレが賞金10万ドルのパク・ソボ賞を新設
アジアで最も重要なビエンナーレの一つである韓国の光州ビエンナーレは、1970年代に生まれた韓国単色画(Dansaekhwa)運動の代表的な作家、パク・ソボ(朴栖甫)の名を冠した10万ドルの芸術賞を新設する。これにより、光州ビエンナーレは影響力をさらに増すだろう。
「光州ビエンナーレ パク・ソボ芸術賞」は、ソウルに拠点を置くパクのGIZI財団から100万ドルの資金提供を受ける。同賞は、テート・モダン(ロンドン)のシニアキュレーター、イ・スキョンがアーティスティックディレクターを務める2023年の光州ビエンナーレを皮切りに、2042年まで毎回授与されるという。
パクは声明の中で次のように述べている。「絵画に生涯を捧げた長老として、また芸術界の仲間として、光州ビエンナーレに参加するアーティストを応援したい。たとえ困難に直面しても、芸術家としての使命感を持ち、社会に良い影響を与え、社会をより良くしていってほしいと思う」
先頃90歳を迎えたパクは、韓国単色画の第一人者だ。伝統的な素材を用いながら、削ぎ落とされた抽象表現を追求したこのムーブメントの作家たちは、モノクロームの作品を多く制作した。パクの財団は光州ビエンナーレの運営団体と共同で、この賞のために資金を拠出することになっている。
これ以前にも、光州ビエンナーレが芸術賞を設けていたことはあった。2010年から2016年にかけてはヌン芸術賞が授与されたが、現在は廃止されている。しかし、かつての賞金が1万ドルだったのに対し、パク・ソボ芸術賞は、ホイットニー・ビエンナーレやハマー美術館(ロサンゼルス)のメイド・イン・LA・ビエンナーレと同額の10万ドルとなっている。世界のアート界で着実に地歩を固めてきた光州ビエンナーレが、よりインパクトの高い賞を打ち出したというわけだ。
光州ビエンナーレ運営団体のパク・ヤンウ(朴良雨)代表理事は、この賞が「韓国の芸術界全体を活性化する」ことを期待していると声明で述べている。(翻訳:野澤朋代)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年2月7日に掲載されました。元記事はこちら。