エリザベス女王生誕100周年展の必見作品14選──洗礼式ローブからウエディングドレスまで

エリザベス女王(1926〜2022)の生誕100周年を記念した展覧会が、バッキンガム宮殿でスタートした。在位70年にわたり、世界に向けて「装い」で語り続けた女王の軌跡を辿る。

1960年、マーガレット王女の結婚式でのエリザベス女王。Photo: © Cecil Beaton /Victoria and Albert Museum, London
1960年、マーガレット王女の結婚式でのエリザベス女王。Photo: © Cecil Beaton /Victoria and Albert Museum, London

2026年は、エリザベス女王(1926-2022)の生誕100周年にあたる。人々に愛されたこの女王のスタイルをファッションの観点から振り返る大規模な展覧会「エリザベス2世:スタイルに生きた人生(Queen Elizabeth II: Her Life in Style)」が、バッキンガム宮殿内のキングズ・ギャラリーで始まった(10月18日まで)。

Town & Country(T&C)誌によると、本展は女王のファッションの遺産を称える展覧会として過去最大規模を誇る。衣装やジュエリー、帽子、靴、アクセサリーに加え、未公開のデザインスケッチや生地見本、直筆の手紙など300点以上を展示し、女王が自身のワードローブに注いだ情熱を浮き彫りにする。なお、その半数以上が今回初公開となる。

なかでも注目は、1935年にノーマン・ハートネルがエリザベスのためにデザインしたブライズメイドドレスだ。これは彼女にとって初めてのオートクチュール作品となった。ハートネルはその後1947年の結婚式と1953年の戴冠式で着用したドレスも手掛けた。結婚式のドレスはボッティチェリの絵画《プリマヴェーラ》から着想を得ており、銀糸で刺繍された花輪や、クリスタル、1万個以上のシードパールで飾られている。また、戴冠式用ドレスは「ウエディングドレスと同じスタイルで、白のサテン生地であること」というエリザベスの注文のもと作られ、イギリスを構成するイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに敬意を表して、各国の花であるチューダーローズ、アザミ、リーキ、シャムロックの紋章があしらわれた。

1947年、エリザベス女王のウェディングドレス。ノーマン・ハートネルがデザインした。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
ノーマン・ハートネルがデザインしたドレス。1960年、マーガレット王女の結婚式でエリザベス女王が着用した。© Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
クロード・サン=シールがデザインした帽子。1960年、エリザベス女王がマーガレット王女の結婚式で着用した。Photo: © Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust. Photographer: Paul Bulley.
エリザベス女王が君主として初めて行った英連邦訪問の際に着用した、現存する数少ないイブニングドレス。1953年、ノーマン・ハートネルがデザインした。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
1956年、マリリン・モンローとの面会に着用されたイブニング・ガウン。ノーマン・ハートネルによるデザイン。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
ノーマン・ハートネルがデザインし、1957年のアイゼンハワー大統領との面会時に着用したイブニングドレス。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
イブニングドレスの側面。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
ダイヤモンド・フリンジ・ティアラ。Photo: Royal Collection Enterprises Limited | All Rights Reserved.
1938年頃、ジャンヌ・ランバンのイブニングドレス。Photo: © Royal Collection Enterprises Limited
2026 | Royal Collection Trust. Photographer: Jon
Stokes.
2012年、即位60周年記念式典で着用したアンジェラ・ケリーのドレス、コート、帽子。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
2002年、エリザベス女王が即位50周年記念式典で着用したハーディ・エイミスのドレス、コート、ストールとフレデリック・フォックスの帽子。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
1972年のフランス公式訪問の際に着用したシルバーのラメとビーズをあしらったシフトドレスのノーマン・ハートネルによるデザイン画。Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust
1937年、戴冠式用の衣装。ドレスはSmith & Co. LTD。ローブはイード & レーベンスクロフト。Photo: © Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust. Photographer: Jon Stokes
初公開の1841年、ジャネット・サザーランドがデザインした王室の洗礼式用ローブ。
Credit: © Royal Collection Enterprises Limited 2026 | Royal Collection Trust.
Photographer: Paul Bulley.

また、1956年にマリリン・モンローを迎えた際に着用した、象徴的な黒のイブニングガウンも展示される。当時、ハリウッドを代表する世界的スターとして大きな注目を集めていたモンローに対し、女王はあえて装飾を抑えたシンプルな黒のガウンを選択。過度に主張しないエレガンスによって、女王としての威厳と品格を際立たせたといわれている。

さらに今回は、これまで門外不出とされてきたクリスチャニング・ローブ(洗礼用ガウン)も初公開される。このローブは、ヴィクトリア女王(1819〜1901)の長女ヴィクトリア王女が、1841年の洗礼式で初めて着用したもの。以来、62人の王室の赤ちゃんたちに受け継がれ、エリザベス女王も生後1カ月だった1926年5月の洗礼式で着用している。

そのほか、エリザベスの妹マーガレット王女の結婚式で着用された衣装やプライベートの乗馬服に加え、エリザベス女王のスタイルに欠かせなかった帽子50点以上のコレクションも公開される。

これらの展示を通じて、エリザベス女王が色彩やモチーフを外交の手段としていかに巧みに用いていたかが浮かび上がる。展覧会のキュレーター、キャロライン・ド・ギトーはT&Cの取材に対し、「彼女は自分に似合うものを明確に理解し、どのように見られたいかを完全に把握していました。同時に、その時代の主流となるスタイルも積極的に取り入れていたのです」と語っている。

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