“Global Art Market Disruption”(グローバル・アート・マーケット・ディスラプション)
米金融機関大手シティグループの研究機関シティ・グローバル・パースペクティブ・ソリューションズによる、アート市場に関するリポート。2022年3月17日発表の2022年版は、新型コロナが流行した2020年初めから2021年半ばまでの1年半の市場の動向を調査した。それによると、アセットクラス(投資対象の資産分類)としての世界のアート市場は、先進国株式投資、新興国株式投資、商品先物投資に匹敵する、高リターンの投資分野だった。アート市場全体のリターンは28.2%、印象派・モダンアート指標は41%だった。
今回のリポートは、NFT(非代替性トークン)を、既存のアート市場を破壊しつつ、変革する触媒として注目。デジタル作品が流通し、業界全体がデジタルに移行する中、デジタル・ネイティブ世代の若い顧客にも後押しされて、NFTはアート市場で急速に主流になっている。アーティストとファンと潜在購入者とを直接つなげるというNFTの特性が、市場の持続的な拡大を可能にしており、デジタル移行の傾向は2022年も続くと予測している。さらに、米、英、EUのマネーロンダリング対策を紹介。違法古美術取引の禁止や、商標権侵害やセキュリティ規制問題など、コレクターが注意すべき法規制や手続きについても解説している。