“Cultural Infrastructure Index 2021”(カルチュラル・インフラストラクチャー・インデックス2021年版)
AEAコンサルティングは、米・ニューヨークを拠点に、世界中の文化やクリエイティブ業界のコンサルティングをしている。本リポートは、世界の大規模文化施設(予算規模1000万ドル以上)のうち、その年に建設が発表された、または建設が完了したプロジェクトの一覧をまとめる。
2021年版は22年7月11日に公開された。それによると、新型コロナの影響で一時停止・遅延していた大規模文化施設の建設は21年、速やかに盛り返した。完成した施設は前年(104件)の2倍以上となる211件、建設計画の発表も前年(130件)を34%上回る174件。完成・計画発表ともに、本リポートが始まった2016年以来の最多件数を記録した。投下資本も、完成施設で計111億6100万ドルと、前年の57億4000万ドルの倍近くに。ただし、完全新規の案件は減り(前年102から今回91)、一方で、既存施設の拡張(同13から36)や大規模リフォーム(同15から29)は増えた。
特集では、一般公開している美術館の収蔵品保管庫を取り上げた。中でも「世界でいま最も洗練された公開収蔵施設」として、オランダ・ロッテルダムの展示型収蔵庫「デポ・ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン」を紹介。同所は、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館本館の隣に2021年11月に新設された。大規模改修のため25年まで閉館中の本館に代わり、保管している全収蔵作品15万1000点を一般に公開。年間15万~25万人の来館者を見込んでいる。