若き日のポロックのアトリエ兼住居が3億1400万円で売りに。現所有者は「何かをつくりたくなる部屋」

ジャクソン・ポロックが20歳の頃に兄夫婦と暮らし、制作に励んだニューヨークのロフトが売りに出されている。販売価格は199万ドル(約3億1400万円)。

かつてジャクソン・ポロックが暮らしたロフトの物件画像。Photo: Courtesy Compass

アメリカの抽象表現主義を代表する画家、ジャクソン・ポロック(1912–1956)が暮らしたニューヨークのロフトが売りに出されている。価格は199万ドル(約3億1400万円)だ。

不動産会社コンパスのシェーン・ボイルが販売を担当するこの物件は、ウエスト・ヴィレッジのカーマイン・ストリート46番地にある、1827年築のタウンハウスの最上階の一室。建物はフェデラル様式(アメリカ独立後に広まった建築様式)で、かつてアメリカの第3代副大統領アーロン・バーが所有していた土地に建つ。1850年代には帽子職人が暮らし、階下で帽子やボンネットを販売していたという。ポロックは1932年、兄のチャールズ、義姉のエリザベスとともにここに移り住んだ。

ポロック兄弟はともに、美術学校アート・スチューデンツ・リーグで、アメリカ各地の生活や風景を描くリージョナリズムの画家、トマス・ハート・ベントンに師事した。住まいはアトリエも兼ねており、チャールズは手前の部屋、ジャクソンは奥の部屋で制作していた。当時のジャクソンは、画家を志す20歳の青年だった。まだ作品から収入を得られず、大恐慌のさなか、さまざまな雑仕事と家族の支援で生計を立てていた。

かつてジャクソン・ポロックが暮らしたロフトの物件画像。Photo: Courtesy Compass
物件内部。Photo: Courtesy Compass
物件内部。Photo: Courtesy Compass
物件の外観。Photo: Courtesy Compass

建物は2010年、グリニッジ・ヴィレッジ歴史地区の拡張に伴い、保護対象となった。売りに出されている部屋の室内面積は約64平方メートル。ここ数十年で改修が重ねられ、現在は高さ約4.3メートルの天井と4つの天窓、大型のウォークインクローゼットを備えた寝室、ロフトスペース、改修済みのバスルーム、開放的なキッチン、装飾用の暖炉を備える。屋外には共用の庭もある。

現在の所有者ファーガス・ハーリーは、2020年にアイルランドからニューヨークに移住し、翌2021年、一般には公開されていない取引でこの部屋を127万5000ドル(現在の為替で約2億130万円 )で購入した。ここで暮らす経験について、アートネットにこう語っている。

「以前からポロックの作品が好きで、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で見た作品のスケールには深く感銘を受けました。でも、その歴史に繋がる場所に暮らすことで、彼の作品をより身近に感じるようになったのです。この部屋には、何かをつくりたくなる雰囲気があります」

物件紹介の写真に写っているポロックを思わせる大きな絵画は、ハーリーがコロナ禍のロックダウン中に制作したものだ。絵画は物件の売り出し価格には含まれていないが、購入については交渉できるという。

今回の売り出しと時を同じくして、ニューヨークのメトロポリタン美術館では、ポロックと妻で画家のリー・クラズナーの大規模展「Krasner and Pollock: Past Continuous」が開催されている(2027年1月31日まで)。120点を超える作品を通じて、2人の人生と制作の軌跡をたどる。同館が両者を取り上げる初の大規模展だ。(翻訳:編集部)

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