「バイユーのタペストリー」展で音声ガイドツアーを提供せず。全盲の男性が大英博物館を提訴
大英博物館で公開されている《バイユーのタペストリー》をめぐり、全盲の男性が同館を提訴した。展覧会で視覚障害者向けのガイドツアーが提供されていないことが、平等法に違反すると主張している。

大英博物館で展示中の《バイユーのタペストリー》をめぐり、新たな議論が巻き起こっている。テレグラフ紙によると、同展を訪れたユスフ・アリ・オスマンは、視覚障害者向けの音声による描写付きガイドツアーが提供されていなかったことを受け、同館に対し法的措置に踏み切ったという。
全盲であるオスマンの代理人を務める法律事務所リー・デイは、博物館の対応が2010年に制定された平等法に違反しているとして、9月24日に同館へ訴訟前通知書を送付した。これに対し、大英博物館の広報担当者は声明でこう述べた。
「当館は本展示をできる限りアクセシビリティの高いものにするよう努めており、鑑賞体験の向上のために専門のコンサルタントと連携してきました。来館前の準備に役立つセンサリー・マップ(感覚過敏などに配慮した案内図)を用意しているほか、会期中に実施する専用ツアーには、音声による描写付きガイドツアーも含める予定です。さらに、展覧会アプリによる音声ガイドの一環として、個別の描写付きツアーを導入することも検討中です」
オスマンは7月、大英博物館に音声による描写付きツアーを利用できるか問い合わせたものの、用意はないと回答されたという。リー・デイによれば、同館はタペストリーが光にさらされる時間に週単位の上限があるためギャラリーへの入場人数を制限しており、ツアーやイベントよりも来場者が自由に鑑賞できる時間を優先しているという。来場者には40分間の時間制限が設けられ、行列の滞留を防ぐため展示室内での写真撮影も禁止されている。
オスマンは大英博物館に対し、損害賠償に加え、運用方針の変更や障害への理解を深めるための職員研修の実施を求めている。今回の訴えについて、こう語った。
「私は《バイユーのタペストリー》を自分の力で鑑賞し、体験したいと思っています。タペストリーの展示方法に一定の制約があることは理解していますが、全盲の来場者に音声描写という鑑賞手段が提供されていないのは残念です。今回の法的措置をきっかけに、大規模な企画展を計画する際にも視覚障害者の存在がきちんと考慮され、誰もが国の文化機関を平等に楽しみ、関われるようになることを願っています」
(翻訳:編集部)
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