著名な考古学者が逮捕──イラク政府機関の「汚職疑惑」告発への報復か

イラクで著名な考古学者2人が相次いで逮捕された。2人はいずれも政府機関による汚職疑惑や遺跡開発を公然と批判しており、逮捕はその報復ではないかとの見方が出ている。

サーマッラー近郊にある古代アブ・ドゥラフ・モスクの螺旋状のミナレット。Photo: AHMAD AL-RUBAYE / AFP via Getty Images
サーマッラー近郊にある古代アブ・ドゥラフ・モスクの螺旋状のミナレット。Photo: AHMAD AL-RUBAYE / AFP via Getty Images

イラクの著名な考古学者2人が逮捕されたと、アート・ニュースペーパーが報じた。2人はいずれもイラク国家遺跡・遺産庁(SBAH)の汚職疑惑を公に批判しており、今回の逮捕を報復措置ではないかと見る声が上がっている。

逮捕された考古学者の1人であるアリ・タバールは、9月17日に恐喝の容疑で逮捕された。タバールは、発掘前後の遺跡を空撮で記録するイラク屈指のドローン測量専門家であり、最近までSBAHに雇用されていた。また、ローマ・ラ・サピエンツァ大学やベルン大学など、イラクで活動する海外の考古学チームによる測量調査にも協力してきた。

US版ARTnewsは、この逮捕についてSBAHとサピエンツァ大学、ベルン大学に事実確認を求めたが、いずれからも返答は得られなかった。

SBAHは、タバールが政府の許可を得ずに海外の考古学チームの調査に協力し、違法に報酬を受け取っていたと主張している。タバールの逮捕後、SBAHのFacebook公式ページには次のような声明が投稿された。

「古物・遺産総局は、国の名誉を傷つけるいかなる行為に対しても、こうした厳正な措置が必要だと考えています。また、考古学遺跡で活動する外国の調査団の安全を確保し、安定した研究環境を提供していきます。当委員会は、あらゆる財政的・行政的汚職と断固として闘う姿勢を改めて表明します。イラクの考古学機関の国際的な評判を傷つけたり、測量や発掘に携わる海外のパートナーとの関係を損なったりするいかなる行為も容認しません」

アート・ニュースペーパーによると、タバールは聴取でSBAH側の主張を否定し、自身が同庁の汚職疑惑を批判してきたことが逮捕の背景にあるとの見方を示したという。同紙はまた、SBAHが過去10年にわたり、数百カ所の遺跡で不動産開発を認めてきたと報じている。

そうした開発の対象となった遺跡の一つが、9世紀にアッバース朝の首都が置かれたサーマッラーだ。タバールはこの地で測量調査を行い、モスクやカリフの宮殿が立ち並ぶ一帯に、多数のキリスト教会や修道院の痕跡があることを明らかにしていた。しかし今年初め、この一帯はブルドーザーで整地されたという。

タバールはこの問題をソーシャルメディアで公表する前に、政府内の汚職を調査する独立機関の廉政委員会(Integrity Commission)のほか、検察庁や警察にもサーマッラーでの開発について訴えていたとされる。

もう1人逮捕されたのは、モスル大学教授のアミール・アル=ジュマイリだ。地元メディアによると、アル=ジュマイリは新アッシリア帝国の首都だったニネヴェでSBAHが進める土地接収を公然と批判していたという。アル=ジュマイリがすでに釈放されたのか、現在も裁判を待つ状態にあるのかは明らかになっていない。(翻訳:編集部)

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