ザハ・ハディドの旧事務所が公共アートスペースに。建築、デザイン、アートの膨大なアーカイブを公開

斬新な曲線的デザインで知られ、プリツカー賞や高松宮殿下記念世界文化賞などを受賞したザハ・ハディドの旧事務所が、アートスペースとして新たに一般公開される。ハディドの没後10年を記念してオープンする同スペースでは、彼女が残したアーカイブを活用した展示や各種プログラムが実施される。

ザハ・ハディド Photo: Courtesy of Mary McCartney/Zaha Hadid Foundation

イラク・バグダッド出身の世界的建築家、ザハ・ハディドの没後10周年にあたる今年、ザハ・ハディド財団はかつて建築事務所の拠点が置かれていた場所を再オープンし、11月から一般公開する。ロンドン中心部のクラーケンウェル地区、ボーリング・グリーン・レーン10番地に位置する建物は、ヴィクトリア朝時代に学校として使われていたもので、今後は建築やデザインとそれに関連するアートのための公共文化スペースとして活用されることになる。

改修で生まれ変わった建物には、ギャラリー、学習スペース、講堂、そしてコレクション展示エリアが設けられ、展覧会やトークイベント、ワークショップ、クリエイティブ・レジデンスに活用される。その意義についてザハ・ハディド財団の理事長ラナ・ハディドは、声明で次のように述べている。

「ザハの願いは、この財団が教育の推進、次世代の支援、そして建築という分野全体への貢献といった彼女の理念を継承しつつ、その功績を後世に残すことでした。その中心となるのが、彼女が残した膨大なアーカイブです。それは、ザハの作品やイマジネーション、そして知的活動の軌跡を物語る奥深い記録と言えます。今回、新たな一歩を踏み出す私たちは、このアーカイブを保全し、より多くの人々に公開するとともに、学習や学術研究、創造的な発見の新たな機会を創出します。そうした活動によって、ザハの発想は確実に次世代への刺激を与え続けることでしょう」

改修を手がけたのは、ロンドンを拠点とする建築事務所、スタジオKAのキャサリン・ノーランとアレックス・バターワースだ。1870年代初頭に建設された歴史的建造物(保護対象に指定されている)のリノベーションにあたり、2人は建築当時の意匠の一部を復元しつつ新たな床材を導入し、仕上げにはハディドの絵画から着想を得た要素を取り入れた。また、Z字型のレバーハンドルや鋭い破片を組み合わせたような床材など、ハディドの作品に取り入れられている繊細なディテールを通じて、彼女の記憶を今に伝えている。

ザハ・ハディド財団のディレクター、アリック・チェンは声明で、この場所の「次の進化」を目にできることを「大変嬉しく思っている」とし、次のように述べている。

「ザハのアーカイブを基にした各種のプログラムや展覧会を通じ、また、現代の建築文化と積極的に関わりながら彼女の先見性あふれる精神を受け継ぐことで、ここはザハの遺産が生き続ける場所となるでしょう」

新しいスペースは、10月29日の報道関係者・招待客向けの内覧会後、11月3日から一般公開される。オープニングを飾るのは、キャサリン・ハウとリビー・セラーズがキュレーションを手がける展覧会、「Zaha Hadid: Architecture of Performance(ザハ・ハディド:パフォーマンスの建築)」だ。同展では、コンテンポラリーダンス、クラシックオペラ、ポップミュージックのためにハディドが構想した舞台美術やセットデザインを中心とした展示が行われる。(翻訳:石井佳子)

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