金色の「裸のトランプ像」が欧州議会に登場──「大統領に対する自衛策への議論喚起を」

欧州議会の本会議場に、裸のドナルド・トランプ大統領をかたどった高さ約2.6メートルの彫像が登場した。23金の金箔で覆われたトランプ像は、自分よりずっと小柄な男性の肩にまたがっている。制作したのは、天安門事件の犠牲者を追悼する代表作《Pillar of Shame(恥の柱)》(2021)で広く知られるデンマークの作家だ。

今年2月の第62回ミュンヘン安全保障会議に展示された際のトランプ裸体像(2026年2月13日撮影)。Photo: Johannes Simon/Getty Images

10月6日、トランプ大統領の金色の裸体像が、フランス・ストラスブールの欧州議会本会議場で公開された。《Orange Plague(オレンジ色の厄災)》(*1)、別名《不正の王(The King of Injustice)》と題されたこの彫像の作者は、デンマークのアーティスト、イェンス・ガルシオット(Jens Galschiøt)だ。

*1 トランプ大統領は、肌がオレンジ色に見えることでしばしば話題になる。

彫像は左手にゴルフクラブ、右手に正義の天秤を持ち、台座には「私は男の背中にまたがっていて、彼はその重荷に押しつぶされそうになっている。彼を助けるためなら何でもしよう。背中から降りる以外は」という碑文が刻まれている。報道によると、設置場所は議会の2つの棟を結び、多くの関係者が行き来する通路で、10月8日まで展示されていたという。

ハンス・クリスチャン・アンデルセンの名作『裸の王様』に着想を得たこの作品は、気候変動対策を後退させ、国際秩序を揺るがそうとする大統領への反論を表すものだ。CNNの取材に応じたガルシオットはこう述べている。

「トランプは、私が信じているもの全てを破壊しています」

《Orange Plague(オレンジ色の厄災)》と作者のイェンス・ガルシオット。@gallerigalschiot

裸のトランプ像は、2025年にブラジルのベレンで開催されたCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)などでも展示されている。今回ガルシオットは、デンマークの左派系欧州議会議員ペア・クラウセンの要請に応じ、この彫像をストラスブールの議会に登場させた。

欧州議会議員は、正式な承認を得れば議会内で展示を行うことが認められている。許可は必ずしも支持を意味するものではないが、ガルシオットはCNNに対し、今回の件については議会による暗黙の承認だと感じたと述べ、次のように付け加えた。

「多くのアメリカ人は、『確かに彼は我われの大統領だが、ある意味、とんでもない人物でもある』と感じていると思います。大半のヨーロッパ人も、彼をそう見ているのではないでしょうか」

また、クラウセン議員は「トランプ大統領の振る舞いは、欧州の人々にとって極めて大きな問題です」とし、「それに対してどのような自衛を図るか、そして彼に依存しない政治をどう築き上げるかについて、欧州での議論を喚起したいと考えています」と語った。

トランプ大統領は今年5月、金箔仕上げの自らのブロンズ像をマイアミに所有する高級ゴルフ場に設置。8月には約510万ドル(約8億円)を投じて、ワシントンD.C.のリンカーン記念堂近くにある4基のブロンズ像の修復と金箔貼り直しを行った。一方、玉座を模した巨大な金のトイレなど、第2次政権発足以来、大統領の振る舞いを揶揄する複数のゲリラ彫像がワシントンD.C.に出現している。

あわせて読みたい