トランプのトイレ改修を揶揄? 黄金の便器が鎮座する巨大彫刻《王にふさわしい玉座》がワシントンに出現

3月30日、ワシントンD.C.の中心部にあるナショナル・モールに、玉座を模した巨大な金のトイレ彫刻が出現した。折しもアメリカ各地では、28日にトランプ政権に抗議する大規模な「No Kings(王はいらない)」デモが行われている。

ワシントンD.C.のナショナル・モールに現れた《A Throne Fit for a King》。Photo: Courtesy The Secret Handshake

アメリカの首都ワシントンD.C.では昨年来、政治的なメッセージを込めたゲリラ彫刻がナショナル・モールに次々登場している。その最新作は、黄金の便器が置かれた巨大なトイレだった。

リンカーン記念堂近くに設置された彫刻の銘板には、《A Throne Fit for a King(王にふさわしい玉座)》というタイトルが記されている(throneには「便器」の意もある)。制作者は、「シークレット・ハンドシェイク」を名乗る匿名のアーティスト集団で、これまでも満面の笑みを浮かべるドナルド・トランプ大統領と性犯罪で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタインを題材にした彫刻《Best Friends Forever(ずっと親友)》や《The King Of The World(世界の王様)》などをアメリカの首都にゲリラ設置してきた。

「日々これほど多くの恐ろしい出来事が起きていると、この大統領が実際に成し遂げたことを忘れがちです。その一例にリンカーン・バスルームの改装があります」

US版ARTnewsに宛てたメールで、シークレット・ハンドシェイクはこう書いている。彼らが例に挙げたのは、ホワイトハウスのリンカーン・ベッドルームに隣接するバスルーム(トイレ)の改修だ。昨秋、大統領の命令でアールデコ調の淡いグリーンのタイルが全面大理石張りに変えられ、ネットではそれを嘲笑する声が上がった。一方のトランプは、自らが立ち上げたSNSのトゥルース・ソーシャルで、「これがエイブラハム・リンカーンの時代にふさわしいもので、実際、もともと使われていた大理石かもしれない」と主張している。

政府機関の閉鎖期間中に実施されたこの改修工事について、トランプは当時「予想以上に早く進んでいる。これは私の持ち味の1つだ」と自画自賛していた。改装後の写真を見ると、便器自体は磁器製のままのようだが、洗面所のゴミ入れや照明、蛇口の取っ手などは金色に変わっている。

《A Throne Fit for a King》の銘板。Photo: Courtesy The Secret Handshake

ナショナル・モールに置かれた彫刻の銘板には、次のように記されている。

「前例のない分断、激化する紛争、そして経済混乱の時代にあって、トランプ大統領は本当に重要なことに集中した。それはホワイトハウスのリンカーン・バスルームの改修だ。これは彼の最大の功績であり、大統領が単なるビジネスマンではなく、きちんと仕事をこなしていることを力強く示している。高いところから見下ろして問題点を見つけ、それを金色に塗り替えた、揺るぎない先見の明を持つ人物への賛辞としてこの碑は立っている」

制作者のシークレット・ハンドシェイクによると、高さ約3メートルの彫刻に組み込まれた金色のトイレには座ることができ、作品は数日間展示される予定だという。同グループはUS版ARTnews宛てのメールの中で、この彫刻を「記念碑」と呼んでいる。

金色のトイレは、アーティストたちも言及しているように、マウリツィオ・カテランが2016年に制作し、同年にグッゲンハイム美術館で大きな反響を呼んだ18金製のトイレ彫刻《America(アメリカ)》からも着想を得ていると思われる。同美術館によれば、カテランの作品は使用可能なトイレ空間で公開され、10万人以上が列を成した。

ちなみに、第1次政権が発足した2017年、トランプはグッゲンハイム美術館が所蔵するゴッホの絵画の貸し出しを要請。グッゲンハイム美術館のキュレーター、ナンシー・スペクターは「美術館の方針により、館外への移動はできない」として断り、代わりにカテランの《America》の貸し出しを提案するという出来事があった。(翻訳:石井佳子)

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