性犯罪者とトランプの「絆」を揶揄した像がワシントンD.C.に出現。風刺像を手がけた作者も判明

ワシントンD.C.に新たなトランプ像が出現した。性犯罪で起訴され勾留中に死亡したジェフリー・エプスタインと手を取り合い踊る姿を描いた《The Secret Handshake》は、両者の関係性が再び注目されるなか設置されたもので、匿名アーティスト集団「シークレット・ハンドシェイク」によって制作されている。

トランプ大統領とジェフリー・エプスタインが手を取り踊っている像。Photo: Courtesy the Secret Handshake
トランプ大統領とジェフリー・エプスタインが手を取り踊っている像。Photo: Courtesy the Secret Handshake

ドナルド・トランプ大統領の像が、ワシントンD.C.にまたもや出現した。今回の作品は、未成年者の性的人身取引で起訴され、勾留中に死亡したジェフリー・エプスタインとトランプ大統領が踊っている姿を描いたもので、エプスタインとトランプ大統領の関係性が注目されるなかで設置された。

木材と発泡スチロール、樹脂で作られたこの作品は、米国会議事堂周辺に金色のテレビの上にワシを載せた像などを設置したアーティストが手がけたものだ。台座には3つのプレートがつけられており、そのうちの一つには次のように書かれている。

「アメリカでは、いわゆる『アート』を展示する自由がある。それはどんなに醜いものであっても構わない──2025年6月トランプ政権関係者 ホワイトハウスにて」

《The Secret Handshake》と題されたトランプ大統領とエプスタインの像は、記念碑のような見た目をしており、二人が笑顔で手を取り合い、回転しながら踊っている姿を描いている。匿名を条件にUS版ARTnewsの取材に応じたアーティストたちは、彼らのことを「シークレット・ハンドシェイク」と呼ぶよう語った上でこう続けた。

「9月は『友だち月間』と呼ばれているらしいんです。トランプ大統領には多くの友人がいたようなので、その一人であるジェフリー・エプスタインとの絆を彫刻作品で祝おうと思いました」

また、作品の意味について尋ねると「シークレット・ハンドシェイク」を代表し、パトリックと名乗るアーティストはこう語った。

「左派も右派もエプスタイン文書の公開を求めていますが、私たちはそのことについて言及するつもりはありません。すでに公になっている二人の関係性が多くを物語っていますから。二人は心が通じ合っていたようですし、手段は違えど、女性を性的に虐待することを好んでいたという点も共通しています。この行為によって二人は絆を深めていったのかもしれませんが、それは私たちの邪推にすぎません。ただ、トランプ大統領とエプスタインが似たようなことで告発されているのは事実です」

高さおよそ3.6メートルに及ぶこの作品には、「友とは素晴らしいものだ。お誕生日おめでとう。新たな秘密に満ちた素晴らしい毎日が送れますように」と書かれている。これは、かつてトランプ大統領がエプスタインの50歳の誕生日に寄せたメッセージを引用したもので、文章が記された紙には女性の体の輪郭の絵と、トランプ大統領の署名がある。

Photo: Courtesy the Secret Handshake
Photo: Courtesy the Secret Handshake

誕生日を祝うメッセージを書いたことをトランプ大統領は否定しているが、ニューヨーク・タイムズ紙は、大統領の署名とメモに記された筆跡が酷似していると指摘した。トランプ大統領はこれを否定し同紙を提訴したが、訴えはすぐに棄却された。ホワイトハウスもまた、大統領が絵を描き署名したことを否定している。

「シークレット・ハンドシェイク」の代表パトリックに対して、記念碑的な作品を作った意図を尋ねたところ「ドナルド・トランプほど今のアメリカを象徴するものはない」と答えた。

《The Secret Handshake》が設置される前の週には、ビットコインを掲げた金色のトランプ像も現れた。この像は「暗号資産や通貨政策の未来に関する議論の喚起」を目的とする暗号資産の投資家グループによって設置されたもので、《The Secret Handshake》の作者たちは投資家グループとの関係性を否定している。(翻訳:編集部)

from ARTnews

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