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  • 2024.04.26

今週末に見たいアートイベントTOP5: 世界的注目を集めるシアスター・ゲイツの「アフロ民藝」、ディン・Q・レら海外4作家が滞在制作を発表

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

シアスター・ゲイツ 《へヴンリー・コード》 2022年 レスリースピーカー、ハモンドオルガン「B-3」、サウンド サイズ可変 撮影:ジム・プリンツ・フォトグラフィー

1. 共棲の間合い -「確かさ」と共に生きるには-(東京都渋谷公園通りギャラリー)

折元立身《パフォーマンス:パン人間電車の旅》1992 年 作家蔵 提供:アートママファウンデーション

「生活」を芸術として捉える3人と1組の作家の作品を展示

作家自身から切り離すことのできない「生活」を芸術として捉え、そこにある「確かさ」を展示することで、鑑賞者が自分自身の「確かさ」を考える展覧会。「住む」「暮らす」「生活する」「共に行う」ことをテーマにする3人と1組の作家の活動や作品を展示する。家族との関係を作品にする折元立身は、代表作の「パン人間」や「アート・ママ」シリーズのほか、新作オブジェを発表。インスタント袋麺「サッポロ一番しょうゆ味」に強い執着を持ち、1日1袋握り続ける酒井美穂子は、これまで握ってきた1000を超える袋麺を壁一面に並べたインスタレーション作品として披露する。

既存の仕事観や芸術観にとらわれない自由な仕事や表現活動を基軸とした事業を行う京都の福祉施設スウィングは、清掃活動「ゴミコロリ」の初期から現在までの記録写真などで活動を紹介するほか、自作の発泡スチロール製の家を持ち運びながら国内外で移動生活を行うプロジェクト「移住を生活する」を行い、既存の住居や生活様式を問い直す村上慧は、落ち葉の発酵熱を体感できるインスタレーションを展示する。また、5月12日(日)14:00~15:30同ギャラリーにて折元立身の大規模個展の企画やパフォーマンス実施などに関わってきたインディペンデント・キュレーターの深川雅文と本展担当学芸員による対談イベントが開催されるほか、同日の16:00~17:00、折元立身による「パン人間」パフォーマンスが行われる。

共棲の間合い -「確かさ」と共に生きるには-
会期:2月10日(土)~5月12日(日)
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー(東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館)
時間:11:00~19:00
休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)4月30日、5月7日

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2. ICHIHARA×ART×CONNECTIONSー交差する世界とわたし(市原湖畔美術館)

ディン・Q・レ《絆を結ぶ》 写真:田村融市郎

交差するアイデンティティがつなぐ「わたし」と世界

住民の50人に一人が在留外国人である千葉県市原市。「彼らが自国の文化や自らのルーツに誇りを持ってほしい」という願いから生まれた本展は、在留外国人の母国からアーティストを招き、市原市内で滞在制作してもらった作品を展示する。出品作家は、ベトナムを代表するアーティストで、4月6日に死去したディン・Q・レ、フィリピン独自の芸術表現を探求するリーロイ・ニュー。そして中国・韓国からはリュウ・イとチョ・ウンピル。

ディン・Q・レは、「絆を結ぶ」というタイトルのもと、ベトナムと市原で集めた古着を、日本人とベトナム人、さまざまなルーツを持つ外国人が協働して作り上げた、巨大なキルトとラグをインスタレーションとして展示する。交差するアイデンティティから生まれたアート作品は、「外国人」という固定化されたイメージを超えて、そこで出会ったひとりひとりの気配や文化を感じさせる。そして、多文化社会に生きる「わたし」と世界をつなげてくれるだろう。

ICHIHARA×ART×CONNECTIONSー交差する世界とわたし
会期:3月23日(土)~ 6月23日(日)
会場:市原湖畔美術館 (千葉県市原市不入 75-1)
時間:10:00~17:00(土曜・祝前日は9:30~19:00、日祝は9:30~18:00、入場は30分前まで)
休館日: 火曜(4月30日を除く)


3. 『ISSEY MIYAKE 三宅一生』刊行記念展(21_21 DESIGN SIGHT)

書籍『ISSEY MIYAKE 三宅一生』

三宅一生の集大成となる書籍の刊行記念展

ファッションデザイナー、三宅一生(1938-2022)が1960年から2022年までに携わった仕事を一冊にまとめた書籍「ISSEY MIYAKE 三宅一生」の刊行を記念して展覧会が開催される。同名書籍の増補改訂版である本著は三宅の片腕として50年にわたりその創造を支えてきた北村みどりが責任編集を務めている。

三宅が創立者となっている21_21 DESIGN SIGHTで開催される本展は、刊行にあたり一新された表紙を飾る「リズム・プリーツ」がメインとなっている。楕円、丸、四角の形をしたプリーツのドレスがダイナミックに変容するさまは、デザインを通して驚きと喜びを伝えつづけた三宅の仕事を象徴する。このドレスをアーヴィング・ペンが撮影し、田中一光がグラフィックデザインを担当したポスターも並ぶ。会場に置かれた書籍とあわせて三宅の革新的な仕事の一端に触れることができる絶好の機会だ。

『ISSEY MIYAKE 三宅一生』刊行記念展
会期:4月22日(月)~4月29日(月・祝)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3(東京都港区赤坂9-7-6)
時間:10:00~19:00(入場は30分前まで)
休館日:会期中無休


4. シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝(森美術館)

シアスター・ゲイツ 《ドリス様式神殿》 2022年 高火度炻器、釉薬 サイズ可変 展示風景:「シアスター・ゲイツ展:ヤング・ローズと彼らの軌跡」ニュー・ミュージアム(ニューヨーク)、2022-2023年 撮影:クリス・ストロング

シアスター・ゲイツの日本初個展。日本文化との関係性にフォーカス

アメリカ・シカゴのサウス・サイド地区を拠点とし、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で国際的に知られているシアスター・ゲイツの日本初、そしてアジア最大規模となる個展。

彫刻と都市計画を学んだゲイツは2004年に陶芸を学ぶために愛知県常滑市を訪れ、以来20年以上にわたり、陶芸をはじめとする日本文化の影響を受けてきた。そして、アーティストとして文化的ハイブリディティ(混合性)を探求してきたゲイツは、アメリカの公民権運動の一翼を担ったスローガン「ブラック・イズ・ビューティフル」と日本の「民藝運動」の哲学とを融合させ、独自の美学を表す「アフロ民藝」という言葉を生み出した。本展では「神聖な空間」「ブラック・ライブラリー&ブラック・スペース」「ブラックネス」「年表」「アフロ民藝」のセクションに分けて、これまでの代表作のみならず、本展のための新作を含む日本文化と関係の深い作品などを展示する。

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝
会期:4月24日(水)~ 9月1日(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53F)
時間:10:00~22:00(火曜は17:00、4月30日・8月13日は22:00まで、入場は30分前まで)
休館日:会期中無休


5. 感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで –(WHAT MUSEUM)

「エバーフィールド木材加工場」 建築設計:小川次郎+小林靖+池田聖太 構造設計:山田憲明構造設計事務所 写真:藤塚光政

構造デザインから考える未来の建築

建築の仕事を支える構造家の存在は、日本であまり知られていない。本展では構造家の手掛ける「構造デザイン」に焦点を当て、わかりやすく紹介する。後期展となる今回は、前期展から大幅にスケールアップし、100点以上の構造模型を取り上げる 。

会場には、法隆寺五重塔の1/10 巨大模型(約3. 6 m)や松本城天守木組模型、実際にさわれる模型など、構造のスケール感と仕組みをフィジカルで体感することができる模型をはじめ、全国各地から集められた貴重な名建築の構造模型が並ぶ。また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と佐藤淳らが開発した、月に人間が滞在するための「月面構造物」の最新実寸大模型も初公開される。

展示エリアは、木造の特質を見て、触れて知ることで未来の木造建築の可能性を考察する「伝統建築と木造の未来」、構造化の思想と哲学に迫り、若手構造家の作品から構造デザインの展開を示す「次世代を担う構造家たち」、構造デザインを生かした横断的な取り組みを展示する「構造デザインの展開」、宇宙空間の建築構造に触れ、月面構造物の原寸大模型が展示される「宇宙空間へ」という4つのテーマで構成されている。

感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで –
会期:4月26日(金)~ 8月25日(日)
会場:WHAT MUSEUM(東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号)
時間:11:00 ~18:00(入場は1時間前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜)

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