幻の銘酒「ザ・マッカラン 1926」が4億円超!? 「世界で最も高価なウィスキー」がオークションへ

サザビーズが10月9日、「ザ・マッカラン 1926」の蒸留100周年を記念するオークションを、スコットランドのザ・マッカラン エステートで開催する。1926年に蒸留された希少な1本をはじめ、アーティストとのコラボレーションによる特別なセットなどが出品される。

オークションに出品される「ザ・マッカラン ロマンティカ・コレクション(The Macallan’s Romantica Collection)」。サザビーズのために特別に用意された原酒とパッケージが用いられている。Photo: Courtesy of Sotheby's
オークションに出品される「ザ・マッカラン ロマンティカ・コレクション(The Macallan’s Romantica Collection)」。サザビーズのために特別に用意された原酒とパッケージが用いられている。Photo: Courtesy of Sotheby's

10月9日、サザビーズはスコットランドのスペイサイドにあるザ・マッカラン エステートで、同社として初めてウイスキー蒸溜所を会場とするオークションを開催する。目玉となるのが、「ザ・マッカラン ファイン&レア 1926 60年(The Macallan Fine & Rare 60 Year Old 1926)」だ。予想最高落札価格は220万ポンド(約4億6000万円)で、今回のオークションで最高額となる。

世界中のコレクターが熱望

このウイスキーは1926年に蒸留され、ザ・マッカラン蒸溜所のシェリー樽「カスクNo.263」で60年間熟成されたのち、1986年に瓶詰めされた。この樽から生まれたのはわずか40本。そのうち14本には「ファイン&レア」のラベルが貼られ、12本にはイギリスのアーティスト、ピーター・ブレイク卿、別の12本にはイタリアのアーティスト、ヴァレリオ・アダミがデザインしたラベルが用いられた。残る2本にはラベルが貼られず、そのうち1本には後にアイルランドのアーティスト、マイケル・ディロンが手描きで装飾を施している。

今回出品される「ファイン&レア」ボトルは、3年前にサザビーズ・ロンドンで220万ポンド(約4億6000万円)で落札された、アダミのラベル付きボトルに並ぶ可能性がある。サザビーズのウイスキー・スピリッツ部門でグローバルヘッドを務めるジョニー・ファウルは、声明で次のように語っている。

「『ザ・マッカラン 1926』は、最も広く知られた蒸留酒のひとつで、世界中のコレクターが熱望する幻の銘酒です。スコッチウイスキーの蒸溜所で開催される史上初のオークションでその100周年を祝うことは、ウイスキー収集の世界において歴史的な瞬間となります」

オークション会場となる、ザ・マッカラン・エステート。Photo: Courtesy the Macallan Estate
オークション会場となる、ザ・マッカラン エステート。Photo: Courtesy the Macallan Estate

希少ウイスキー市場に起きる変化

今回のオークションは、急成長を続けてきた希少ウイスキー市場が冷え込むなかで開催される。ウイスキーの価格データベース「Rare Whisky 101」を用いたナイト・フランクのラグジュアリー投資指数によると、希少ウイスキーボトルの価値は2025年半ばまでの1年間で13.6%下落した。5年間で見ると、その下落率は25.3%に達する。一方、超高価格帯では、希少性が高く、来歴の際立つボトルは依然として高値で取引されている。

ファウルはUS版ARTnewsの取材に対し、ウイスキー購入者の層にも変化が起きていると指摘する。ファウルがサザビーズに入社した2019年当時、同社のウイスキー購入者の約80%はアジアに拠点を置いていたという。だが、「その中心地は急速に西へと移動した」といい、現在では、アメリカが最も多くの購入者を抱える市場となっている。

ファウルによれば、飲むために買うボトルと、収集品として買うボトルの境目は、価格にも表れるという。「5000ポンド(約104万円)あたりに自然な境界線があります。その価格帯を超えると、購入者はボトルを開ける前にはるかに慎重に考える傾向があります」と語り、こう続けた。

「一種の『富と熱量の比率』のようなものがあります。実際、裕福な人ほど、資産規模の割には酒にそれほどお金をかけない傾向があります。毎日1万ポンド(約209万円)のボトルを飲めるほどの余裕があっても、実際にはそうしないことが多い。一方、非常に熱心な愛好家は、自分の懐事情を超えてでも酒にお金をつぎ込む傾向があります」

ザ・マッカランの特別コレクションが集結

スコットランドでのオークションに合わせて制作された「ザ・マッカラン ロマンティカ・コレクション(The Macallan’s Romantica Collection)」も注目ロットの一つだ。ブレイク、アダミ、ディロンによる3種類のラベルをあしらったボトルで構成され、いずれもアルコール度数42.6%で瓶詰めされている。各ラベルのボトルは2本ずつ、計6本のみが制作され、それぞれ1本を組み合わせた3本セットが2組存在する。そのうち1組が今回サザビーズに出品され、もう1組はザ・マッカランが永久保存する。予想落札価格は6万〜10万ポンド(約1250万〜2100万円)で、アーティストの作品に関連するオリジナル素材を収めた特注のオーク材キャビネットも付属する。

このほか、予想落札価格9万〜14万ポンド(約1880万〜2925万円)の「ザ・マッカラン ザ・リーチ 81年(The Macallan The Reach 81 Year Old)」や、予想落札価格26万〜35万ポンド(約5430万〜7310万円)の全6点が揃った「ザ・マッカラン イン ラリック シックス・ピラーズ・コレクション(The Macallan in Lalique Six Pillars Collection)」なども出品される。このコレクションは、フランスのクリスタルメーカーであるラリックとのコラボレーションにより、2005年から2016年にかけて発表されたものだ。

ファウルは、ザ・マッカランが早くからウイスキーを「収集品」として捉えていたことも、現在のコレクター市場での地位につながっていると見る。「他の人々がコレクター市場にまださほど関心を寄せていなかった時期から、人々がウイスキーを集めるという楽しみ方に目を向けていました」とUS版ARTnewsに語り、「いわば時代を先取りしていた」と評価した。(翻訳:編集部)

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