今週末に見たいアートイベントTOP5:ナショナル・ポートレート・ギャラリーから60点が来日、山内祥太が「サウナ」を通して伝えるもの

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

Icons and Image Makers ナショナル ポートレート ギャラリー展(シャネル ネクサス ホール)より、シャーロット ランプリング by ルイス モーリー 1963 © Lewis Morley Archive / The Board of Trustees of the Science Museum, London / National Portrait Gallery, London

1. 高橋龍太郎コレクション連携企画 川端龍子プラスワン(前期)「川内理香子 LOVE, Wild Grape, Tiger, heart」(大田区立龍子記念館)

川内理香子《LOVE》2024年、高橋龍太郎コレクション ©︎Rikako Kawauchi, courtesy of the artist and WAITINGROOM Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
川端龍子《山葡萄》1933年、大田区立龍子記念館蔵
川内理香子《The tiger jumps over a dancing pretzel》2024年、高橋龍太郎コレク ション ©︎Rikako Kawauchi, courtesy of the artist and WAITINGROOM Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
川端龍子《秋縁》1947年、大田区立龍子記念館蔵

時代を超えて響き合う、2人の画家の表現

日本屈指のアートコレクターとして知られる精神科医・高橋龍太郎のコレクションと連携し、現代アーティストの作品を日本画家・川端龍子(1885–1966)の作品とともに紹介する企画。高橋は1990年代から作品の収集を始め、そのコレクションは現在3500点以上におよぶ。同館では、2021年の「川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション 会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃」を皮切りに、2023年、2025年と連携企画を重ねてきた。今回は前期に川内理香子、後期に近藤亜樹を迎え、それぞれの作品と龍子の作品との共鳴を探る。

川内によれば、龍子が描く虎やヤシの木、水牛、犬、果実、植物などには、自身が繰り返し取り上げてきたモチーフと共通するものが少なくない。また、対象を捉える龍子独自の解釈には軽やかさやポップな感覚があり、その描き方にも伝統の枠にとどまらない現代性と親しみやすさを感じるという。本展では両者の作品を並べ、日本画と油彩という技法の違いや時代の隔たり、モチーフの歴史的・文化的背景を超えて響き合う表現に目を向ける。作品同士の対話を通じて、それぞれの表現に潜んでいたものが新たなかたちで浮かび上がることを、川内は期待している。

高橋龍太郎コレクション連携企画 川端龍子プラスワン(前期)「川内理香子 LOVE, Wild Grape, Tiger, heart」
会期:9月12日(土)〜11月8日(日)
場所:大田区立龍子記念館(東京都大田区中央4-2-1)
時間:9:00〜16:30(11月6日は19:00まで、入館は30分前まで)
休館日:月曜(10月12日を除く)10月13日


2. 山内祥太「Twilight」(CON_)

サウナの熱と蒸気のなかで、身体の境目がほどけていく

彫刻と映像を組み合わせたインスタレーションを中心に、パフォーマンスや匂いなど多様なメディアを用いて、自己と世界の関係を探ってきた山内祥太の個展。近年は、KYOTO EXPERIMENT 2023で発表した、汗を蒸留して「匂いのジュース」へと変えるパフォーマンスや、体臭が失われた未来における匂いの保存と交換を描いたパフォーマンス/インスタレーション(YCAM、2025)などを通じて、身体から生じる汗や匂い、触覚といった感覚、そして他者とのあいだで交わされるものへの関心を深めている。

本展の出発点は、山内がここ数年通うようになったサウナでの体験だ。見知らぬ人々が閉ざされた空間に集まり、熱と蒸気に包まれながら汗を流し、呼吸を重ねる。その光景に山内は、日常に突然現れた儀礼のような奇妙さと、どこか滑稽でもあるスピリチュアルな感覚を見出したという。会場には、サウナストーブの形から着想した彫刻や、脇を強調するように腕を高く掲げた身体彫刻、新作映像《Twilight》を展示。彫刻から放出されるミストが、空間全体をサウナのような環境へと変えていく。展覧会タイトルの「Twilight」は、昼と夜のあいだにある薄明の時間を指す。光が失われるにつれて、ものの輪郭や距離感は曖昧になり、それまで見えていた境目も薄れていく。周囲が熱いのか、自分が熱いのか。皮膚を伝う汗は自分のものなのか、空間を満たす湿気の一部なのか。そうした区別が次第に意味を失うなかで、身体とその外側との境目がゆっくりとほどけていく風景を描き出す。

山内祥太「Twilight」
会期:9月25日(金)〜11月8日(日)
場所:CON_(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル4F)
時間:14:00〜19:00
休館日:月~水祝


3. Icons and Image Makers ナショナル ポートレート ギャラリー展(シャネル ネクサス ホール)

シャーロット ランプリング by ルイス モーリー
1963
© Lewis Morley Archive / The Board of Trustees of
the Science Museum, London / National Portrait Gallery, London
ジュード ロウ by パオロ ロヴェルシ
2006
© Paolo Roversi
ルース ネッガ by ジャック デイヴィソン
2016
© Jack Davison
スパイス ガールズ by ハリー ボーデン
1996
© Harry Borden

英国カルチャーのアイコンと写真家、2つの創造力が交わる瞬間

1856年にロンドンで創設された肖像専門の美術館、ナショナル ポートレート ギャラリー。本展では、同館が所蔵する25万点以上の写真コレクションから、英国のファッション、音楽、映画界を象徴する人物のポートレート約60点を厳選して紹介する。デヴィッド・ボウイ、ティルダ・スウィントン、ケイト・モスら、1950年代から現代までの英国カルチャーを彩った人物たちの姿が、国際的に評価される写真家の作品を通じて並ぶ。被写体と写真家という2つの創造的な力が出会う瞬間として、一枚一枚のポートレートを捉える展覧会だ。

なかには、時代を象徴するイメージとして広く知られる作品もある。ルイス・モーリーが1963年に撮影した、巨大な的の前でポーズをとるシャーロット・ランプリングの写真は、1960年代のスタイルを体現する一枚だ。一方、公のイメージの背後にある、一人の人間としての姿に迫る作品も紹介される。エマ・ハーディによるダニエル・ラドクリフのポートレートは、若きスターが名声と向き合う姿を繊細に映し出す。また、マーティン・パーが撮影した海辺でくつろぐハリー・スタイルズのスナップショットや、コリーヌ・デイとの会話に没頭するケイト・モスのモンタージュには、スターとしての顔がふとほどけ、飾らない素顔がのぞく瞬間が収められている。

Icons and Image Makers ナショナル ポートレート ギャラリー展
会期:10月2日(金)〜11月29日(日)
場所:シャネル ネクサス ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F)
時間:11:00〜19:00(11月6日〜8日は10:00〜19:00、入場は30分前まで)
休館日:なし


4. MEET YOUR ART FESTIVAL 2026(東京・天王洲運河一帯)

2025年開催の様子。
2025年開催の様子。
2025年開催の様子。

展示、フェア、パフォーマンスが交差する4日間

東京・天王洲運河一帯で、アートエキシビション、アートフェア、ライブパフォーマンス、トークセッション、マーケットなどを展開するアートフェスティバル。寺田倉庫G1-5Fでは、森山未來がアーティスティック・ディレクターを務めるアートエキシビション「REFLUX たちのぼる兆し」を開催する。Ideal Copy、磯村暖、evala、津田道子、手塚治虫、山内祥太、Ryu Ikaらが参加。逆流や環流を意味する「REFLUX」を手がかりに、加速し続ける時代のなかで生じる揺り戻しや、複数の流れの交差に着目する。「発展」「進歩」「未来」といった言葉だけでは捉えきれない変化の兆しを、作品を通じて探る。

寺田倉庫B&C HALLで開かれるアートフェア「MEET YOUR ARTISTS」には、「アーティストとの対話を通してアートと出会う」をコンセプトに、MEET YOUR ARTが推薦する40組以上のアーティストが集結する。寺田倉庫D HALLの「CO-CROSSOVER -Romantic beyond us (earth)-」は、Marco Galleryの菰田寿允を共同ディレクターに迎え、身体やテクノロジー、自然環境などのテーマを横断する15の展示企画を展開。T-LOTUS Mでは、国内外のミュージシャンやDJによるパフォーマンスが連日行われる。なかでも、小室哲哉の音楽と布施琳太郎の映像が交差する公演(10月9日19:00〜)に注目したい。

MEET YOUR ART FESTIVAL 2026
会期:10月9日(金)〜10月12日(月祝)
場所:寺田倉庫 G1-5F、寺田倉庫 B&C HALL、寺田倉庫 D HALLほか(東京・天王洲運河一帯)
時間:9日 16:00〜21:30(マーケット、ライブのみ開催。アートエリアは終日内覧会)、10日・11日 11:00〜20:00、12日 11:00〜18:00
休館日:なし


5. シンシナティ美術館展~アメリカに渡ったヨーロッパの至宝~(上野の森美術館)

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ポプラ林の中の二人》 1890年 シンシナティ美術館
フェルディナント・ホドラー 《聖なる時間》 1907–1911年頃 シンシナティ美術館
ポール・セザンヌ 《パンと卵のある静物》 1865年 シンシナティ美術館
ジェームズ・ティソ 《日本の工芸品を眺める娘たち》 1869年 シンシナティ美術館

市民が育てた美術館から、ヨーロッパ近代美術の名品84点が来日

1881年に創立された、アメリカ・オハイオ州のシンシナティ美術館。同国で最も長い歴史を持つ美術館の一つであり、富裕層の寄付に加え、街を愛する市民が少しずつ資金を持ち寄ることで築かれてきた。そのコレクションは7万3000点を超える。本展では、145年にわたって収集されてきた作品から選りすぐりの84点を紹介。そのうち81点が日本初公開となる。

目玉は、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890)の《ポプラ林の中の二人》(1890)。同年7月に亡くなったゴッホが、最晩年に完成させた作品の一つとされる。また、2022年に絵の下から肖像画が発見されて話題となった、ポール・セザンヌの《パンと卵のある静物》(1865)も出品される。隠された肖像画を見つけたのは、当時同館の保存修復部門の責任者を務めていたジュリー・リビッツだ。このほか、モディリアーニ、モネ、ドガ、シスレーらの作品も並び、印象派からキュビスム、表現主義まで、ヨーロッパ近代美術の移り変わりをたどることができる。

シンシナティ美術館展~アメリカに渡ったヨーロッパの至宝~
会期:10月10日(土)〜2027年1月10日(日)
場所:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:なし

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