ナポレオンの「栄光の時代」を物語る剣がフランスのオークションに。予想落札価格は約1億6000万円
フランスの英雄ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)が1802年に作らせた豪華なサーベルが5月22日にパリで行われるオークションに出品されると発表された。予想落札価格は70万から100万ユーロ(約1億1500万円~1億6000万円)。

ナポレオン・ボナパルトが愛用したサーベル(剣)が、5月22日にパリのギケロ競売会社が開催するオークションに出品されることが分かった。
ナポレオンは、1800年に起こったマレンゴの戦いでオーストリア軍に勝利し、1802年にはイギリスとの間にアミアン条約を締結。その直後に、元老院から終身執政に任命されて権力が強化され、後の皇帝宣言への舞台が整えられた。アートネットが報じたところによると、同年ナポレオンはそれらの成功を記念して、ヴェルサイユの国立兵器工場を指揮した名工ニコラ=ノエル・ブーテにサーベルを作らせたという。
全長81センチのサーベルは、ナポレオンの自負と、当時ヨーロッパでナポレオンが及ぼしていた影響力を反映したものとなっている。護拳からは石のような表情のメドゥーサが見つめ、柄の先端には、ヘラクレスがネメアの獅子を倒す様子が描かれている。また、剣の裏側にはヘラクレスが筋肉隆々とした姿で棍棒を肩に担いでいる。その下方には獅子の皮を敷いた地球儀の描写を通じて、ナポレオンがいずれ地球を我が物にすることが示唆されている。その素材も贅を凝らしたもので、柄には白蝶貝がふんだんに使われ、刀身は強靭なダマスカス鋼、純銀製の剣装具は金メッキが施されており、灰色のエイ皮で包まれた鞘には金糸が織り込まれている。
ナポレオンはこのサーベルを気に入って傍に置いていたが、1815年のワーテルローの戦いの前夜に、フランス革命時代からの腹心だった軍司令官エマニュエル・ド・グルーシーに譲り、それ以来ずっとド・グルーシー家で保管されてきた。
サーベルは、5月22日にパリ9区の伝説的な競売会場、オテル・ドルーオで開催されるギケロ競売会社のオークションに出品される。全20点のオークションの目玉であり、予想落札価格は70万から100万ユーロ(約1億1500万円~1億6000万円)だ。
ナポレオン関連の品々は、フランスのオークション市場で高値を維持し続けている。2007年には、マレンゴの戦いで携帯した金の装飾が施された剣が650万ドル(現在の為替で約9億円)で落札され、ナポレオンの最高額を記録。2023年には、象徴的な双角帽子が190万ユーロ(同・約3億円)で競り落とされている。