ナポレオンが自殺未遂時に使った拳銃2丁が約3億円で落札。仏政府は国宝に指定
フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)が自死を図った際に手にしていた2丁の拳銃が7月7日、フランスでオークションに出品され、169万ユーロ(約2億9430万円)で落札された。
ナポレオン・ボナパルトが自殺を図った際に使った拳銃はフランスのゴッセ社製で、金と銀で象嵌された豪華な装飾が施されており、威厳に満ちたナポレオンの姿も刻印されている。この拳銃は7月7日、パリの南、フォンテーヌブローにあるオークションハウス、オセナで競りにかけられた。その結果、予想落札額120万〜150万ユーロ(約2億円~約2億6000万円)を上回る169万ユーロ(約2億9430万円)で落札された。買い手は公表されていない。
「ナポレオンは、ナポレオン戦争と呼ばれる一連の戦いに敗れた後に意気消沈し、1814年4月12日から13日にかけての夜にフォンテーヌブロー城でこの拳銃で自らの命を絶とうとしましたが、従者が拳銃から火薬を取り除いたために事なきを得たのです」とオークションハウスのジャン=ピエール・オセナ社長は明かす。その後ナポレオンは服毒自殺を図ったが、嘔吐して一命を取り留めた。退位したナポレオンはイタリア沖のエルバ島に亡命。 1815年に復位し、ワーテルローの戦いでイギリス軍に挑んだが敗れ、6年後にセントヘレナ島で亡命中に死去した。
ナポレオンは、自身の命を救った従者にその忠誠への感謝の印として拳銃を贈り、従者の子孫が代々保管していた。オークション開催直前の7月6日、フランス文化省はこの拳銃を国宝に指定した。国宝に指定されるとフランス政府は30カ月間輸出を禁止することが出来、その間、所有者に購入を申し込める。また、その価値や年代が何であれ、国宝に指定された文化財は、一時的にしかフランスを離れることができない。国宝に指定されたことについて、オセナのジャン=ピエール・オセナ社長は、「その文化財に信じられないほどの価値を与えるのです」とコメントした。
ナポレオンの遺品は、コレクターの間で非常に人気がある。2023年11月には、ナポレオンの象徴的アイテムである二角帽子「バイコーン」がオセナに出品され、190万ユーロ(約3億3000万円)で落札された。(翻訳:編集部)
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