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  • 2022.09.13

バンクシー「ブランコに乗った少女」付きビルがオークションへ。予想落札価格は40億円超

正体不明のストリートアーティスト、バンクシー。日本でも2019年にバンクシーらしきネズミの絵が港区の防潮扉で見つかったと小池東京都知事がツイートし、一般にも広く知られるようになった。そのバンクシーの絵が壁に描かれたビルが、米国で売りに出される。

落札価格3000万ドルの予想も出ているロサンゼルスのビル JohnDoeForty1 on Flickr

ロサンゼルスには、バンクシーがブランコに乗った少女を壁に描いたビルがある。以前から壁にペイントされていた赤い「PARKING(駐車場)」のINGの文字を塗料でぼかし、「PARK」のAの文字からブランコがぶら下がっているように見えるものだ。この7階建てのビルが10月に売りに出されると、ニューヨーク・タイムズ紙が9月1日に報じている。

ビルの所有者は、アクセサリーブランド、タリナ・タランティーノの共同オーナー、タリナ・タランティーノとアルフォンソ・カンポス。2007年に400万ドルで建物を購入し、本社ビル兼貸しビルとして使っていた。その建物側面の壁に、バンクシーがブランコに乗った少女を描いたのは10年だ。

しかし、コロナ禍によるロックダウンでテナントが相次いで撤退したことにより貸しビル経営が大打撃を受け、タランティーノらは米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請。事業整理の一環として、不動産会社のヒルコを通じてビル全体をオークションで売却することを決めた。

ヒルコのジェフ・アズーセ上級副社長は、ニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、こう話している。「評価額を出すのが非常に難しい物件。不動産評価額だけを見てもだめだし、美術品の鑑定評価だけでもだめで、両方を勘案しなければならない。オークションは、市場に価値を判断してもらうことになるので、不動産などの資産に価値をつけるのが難しい場合には良い方法だ」

バンクシーの作品が建物にもたらす付加価値を評価するのは難しいが、タランティーノとカンポスは、落札価格は3000万ドル(約43億円)に達する可能性があると見積もっている。

バンクシー自身は、グラフィティを誰もがお金を払わずに楽しめるパブリックアートという意図で制作している。一方で、英国ではバンクシーがグラフィティを描いた2軒の建物で、それぞれの所有者が巨額での売却を狙い、絵が描かれた壁を建物から剥がすという事態が起きた。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、切り取られた壁画の売却を打診されたサザビーズなどの大手オークションハウスはこれを拒否したものの、所有者はともに個人売買で作品を売却。その金額は数十万ポンドに達したとされている。(翻訳:清水玲奈)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年9月2日に掲載されました。元記事はこちら

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