ARTnewsJAPAN

ヤスミン&ササン・ガンデハリ(Yassmin and Sasan Ghandehari)

拠点:イギリス・ロンドン
職業:投資家(産業・不動産)
収集分野:現代アート、戦後美術、印象派

ササン・ガンデハリの母、フーリエ・ペラマムは、17歳のときに生まれ故郷のカザフスタンを離れ、徒歩でイランの難民キャンプにたどり着いた。彼女はイラン人医師(ササンの父)と結婚すると隣の家を購入して不動産業を始め、のちに一大不動産企業を築き上げた。ササンは、その不動産コングロマリットでベンチャーキャピタル部門を率いている。

テヘラン出身のササンの妻、インテリアデザイナーのヤスミン・ガンデハリは、義母が所有する数多くの不動産物件を管理するかたわら、ロンドン芸術大学の理事や世界的オークションハウス、サザビーズの国際評議員を務めている。また、ブリティッシュ・ファッション・カウンシルのファッショントラストの創設メンバーでもあり、2018年にはヴァニティ・フェア誌が毎年発表するベストドレッサーにランクインした。

2010年、ガンデハリ夫妻は、ペラマムがロンドンで最も高価な不動産物件の1つ(総床面積約2800平方メートルでロイヤルマンションと改名された)を購入したことを祝うパーティを開いたが、このパーティにはミハイル・ゴルバチョフも出席していたという。さらに、ロンドンのテート(美術館)に年間1万ポンド(約170万円)以上を寄付する富裕層のリストには、毎年ヤスミンの名前が載っている。

ガンデハリ夫妻のコレクションは、印象派、戦後美術と現代アートに重点を置いたものだ。2019年のフリーズ・ロンドンは、夫妻とUS版ARTnewsが共催したイベントで幕を開けたが、ここには数々の著名なコレクターやアーティストが出席。アーティスト兼デザイナーのロン・アラッド、スイスの実業家でトップ200コレクターズの1人であるウリ・シグのほか、ギャラリー・タデウス・ロパックのシニアグローバルディレクター、ジュリア・ペイトン=ジョーンズ、イギリス有数の公的美術館、ヘイワード・ギャラリー館長で2019年ヴェネツィア・ビエンナーレのアーティスティックディレクターを務めたラルフ・ルゴフ、そして香港を拠点とする宝石デザイナーのウォレス・チャンなど、そうそうたるゲストが顔を揃えていた。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい