ジュリー&エドワード・J・ミンスコフ(Julie and Edward J. Minskoff)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:不動産業
収集分野:欧米の近現代アート、ポップアート、戦後美術
ニューヨークの不動産デベロッパーとして長年活躍してきたエドワード・J・ミンスコフとその妻ジュリーは、パブロ・ピカソの作品19点を含む700点ものコレクションを築いている。その中で夫妻が最も大切にしているのは、ピカソが猿の母子を描いた彫刻《La guenon et son petit》(1951年)だという。また、ウィレム・デ・クーニング、ジャクソン・ポロック、ジャスパー・ジョーンズ、ジャン=ミシェル・バスキア、ロイ・リキテンスタインなど20世紀のアーティストのほか、ダミアン・ハーストやジェフ・クーンズといった現代アート作品も所有している。
特にクーンズのコレクションは世界最大級で、136キロもあるクーンズの吊り下げ彫刻《Titi(Tire)》を設置するために自宅の天井を鉄骨で補強したほどだ。また、クーンズの巨大な《バルーン・ラビット(赤)》は、エドワード・J・ミンスコフ・エクイティーズが開発したマンハッタンの複合施設、51アスタープレイスのロビーを飾っている。さらに、最近入手した作品には、クーンズの《Elephant》(2003)のほか、マーク・グロッチャンの《Untitled(Free Capri 50.42)》(2018)、KAWSの《THE BLUFF》(2019)、ジェニファー・グイディの《Navigating Through the Unseen(Root)》(2019-20)などがある。
エドワードは、そのキャリアを通じて約370万平方メートルもの商業用・住宅用不動産の開発・取得を行ってきた。2006年にニューヨーク・サン紙は、その業績を「エドワード・ミンスコフがデベロッパーだと言うのは、ピカソが画家だと言うようなものだ」と評している。エドワードは同紙に、アートに興味を抱いたのは母親のおかげだと語った。「幼い頃からアートに触れていたのは母親の影響が大きい。石や粘土を扱う彫刻家であると同時に、彼女はコレクターでもあった。そのせいか、建築物にも芸術的な感性を与えたいと考えてしまう」