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ブレット&ダニエル・S・サンドハイム(Brett and Daniel S. Sundheim)

拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:投資会社
収集分野:現代アート

サンドハイム夫妻のコレクションの詳細についてはほとんど知られていないが、入手可能な情報によれば、収集作品の中心は現代アートのようだ。2020年2月に米ブルームバーグは、夫妻が購入したウォーホル作品2800万ドル(約40億円)、バスキア作品3500万ドル(約51億円)、トゥオンブリー作品7000万ドル(約101億円)の支払いは全て借入金で行われたものだと報道。当時42歳のダニエルは、JPモルガン・チェースの融資枠を利用してコレクションを築き、さらに29の作品を担保に3億ドル(435億円)相当の融資を受けたとも伝えている。なお、ブルームバーグによると、サンドハイム側の広報担当者は、この件でのコメントを控えるとした。

サンドハイム夫妻は、長年にわたってペンシルバニア大学現代美術館に多額の支援を行っている。2018年には同美術館に300万ドル(約4億3500万円)を寄付し、同美術館にチーフ・キュレーターのポジションを創設。2014年にニューヨークのホイットニー美術館で開催されたジェフ・クーンズの回顧展や、2013年に同じくニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催されたクリストファー・ウールの回顧展など、注目度の高い展覧会にも出資しているほか、メトロポリタン美術館のパトロンとしても知られ、ダニエルはニューヨーク近代美術館の理事でもある。こうしてニューヨークを拠点に活動する夫妻は、2015年にマンハッタンのパーク・アベニュー778番地にあるロザリオ・カンデラ設計のアパートメントの15階ほぼ全フロアを2850万ドル(約41億円)で購入した。

ヘッジファンドのバイキング・グローバル・インベスターズ最高投資責任者だったダニエルは、320億ドル(約4兆6400億円)の預かり資産を運用していた。2002年にアナリストとして入社し、すぐにポートフォリオ・マネージャーに昇進したのちCIOに就任し、7年間その地位にあった。そして、40億ドル(約5800億円)のシードキャピタルを調達すると、ニューヨークを拠点とするD1キャピタル・パートナーズを設立し、食料品の即日配達サービスを行うインスタカートや、電子タバコメーカーのジュール(JUUL)などに投資。米ビジネスインサイダーによると、D1キャピタル・パートナーズは、半年ぶりの高値をつけたアディダス株に約2億4300万ドル(352億円)もの空売りを行ったことがあるという。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

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