オーランド・ブラボー(Orland Bravo)
拠点:アメリカ・フロリダ州マイアミ
職業:投資ファンド(トーマ・ブラボー)
収集分野:現代アート
オーランド・ブラボーは、2019年にプエルトリコ人として初めて米フォーブス誌のビリオネア・リストにランクイン。それ以来、このリストの常連として資産を増やし続けている。プライベート・エクイティ分野の投資で頭角を現したブラボーのビジネスセンスの高さは折り紙付きだが、そこに至るまでの経歴は金融の世界とはかけ離れたものだった。
プエルトリコのマヤグエスに生まれたブラボーは、10代でフロリダのテニスアカデミーに入学。一時は全米ジュニア・ランキングのトップ40にまで上り詰めたが、ブラウン大学在学中にテニス選手としてのキャリアを諦めた。しかし彼は、テニスに打ち込んだことで努力を続ける粘り強さが身に付き、その後の人生に役立ったと話している。
1997年、US版ARTnewsのTOP 200 COLLECTORSの1人であるカール・トーマが、自らの投資ファンドにブラボーを雇い入れた。これが運命的な出会いとなり、2人は2008年にそこを離れ、トーマ・ブラボーを設立。他の有名ファンドを凌駕する運用成績を残し続けている。2023年には優良テクノロジー企業のクーパ・ソフトウェアを61億5000万ドル(約9000億円)で買収・非公開化する実績を上げたが、同年に暗号資産交換業FTXトレーディングの破綻をめぐり、同社の正当性を宣伝したとして集団訴訟の対象となった。トーマ・ブラボー自体もFTXに1億3000万ドル(約190億円)を投資していたとされる。
ブラボーがアートを買い始めたのにはトーマの影響があるだろう。ただし、デジタルアートやラテンアメリカ系アートなどのコレクションで有名なトーマとは異なり、ブラボーは自分が何を収集しているのかをほとんど公表していない、
一方、ブラボーの慈善活動については広く知られている。たとえば、2017年のハリケーン・マリアによる壊滅的な被害を受けたプエルトリコには、ブラボー・ファミリー財団を通じて1000万ドル(約14億6000万円)を寄付。その数年前にも、プエルトリコの経済開発を支援するために1億ドル(約146億円)の資金を財団に注入している。さらに2019年には、ブラボーの母校であるブラウン大学に財団から2500万ドル(約36億5000万円)が寄付された。現在、同大学にはブラボーの名を冠した経済研究センターがある。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。