ルーブル美術館、ルーベンス「マリー・ド・メディチ連作」を4年がかりで修復へ。「保存状態は危機的」

ルーブル美術館は3月24日、ピーター・パウル・ルーベンス(1577-1640)による「マリー・ド・メディチ連作」全24点の修復プロジェクトを発表した。修復は今秋に開始され、約4年にわたって実施される予定だ。

ルーブル美術館の「メディチ・ギャラリー」。Photo: Blanca Cruz/AFP via Getty Images

ルーブル美術館は3月24日、ピーター・パウル・ルーベンスによって描かれた「マリー・ド・メディチ連作」全24点を修復する大規模プロジェクトを発表した。

本作はリシュリュー翼2階の特別室「メディチ・ギャラリー」に展示されている。フランス国王アンリ4世の2番目の王妃であり、ルイ13世の母でもあるマリー・ド・メディチ(1575-1642)が1621年に発注したもので、24点の絵画を通して彼女の生涯が時系列に沿って描かれている。

これらの作品は、現在はパリのリュクサンブール公園内にあるリュクサンブール宮殿のために制作された。メディチは実の息子ルイ13世との対立により亡命を余儀なくされたが、その後1621年に一時的に復帰を果たした。彼女はルネサンス期にヨーロッパ美術の発展に大きく寄与したイタリアの名門メディチ家の出身であり、これを機に幼少期を過ごしたフィレンツェの豪奢な宮殿をリュクサンブールに再現しようと試みた。

ルーベンスは、この連作をわずか4年で完成させた。総面積288平方メートルに及ぶ作品群は典型的なバロック様式で描かれており、実際の出来事を誇張し、たなびく布や肉感的な裸体表現によって劇的に演出されている。

本連作は、《モナ・リザ》や《ミロのヴィーナス》といったルーブル美術館の代表作ほどの知名度はないものの、重要な作品群の一つとなる。だが同館によれば、現在これらの絵画は保存状態に問題を抱えているという。

2016年に実施された初期調査では、ニス層(ワニス)の劣化や汚れの蓄積など、深刻な保存上の懸念が確認された。

作品の状態について、ルーブル美術館絵画部門長のセバスチャン・アラールはFrance 24の取材に対し、次のように説明している。

「本来は青であるべき空が緑がかった色に変色しています。赤の色合いも完全に失われています。つまり、ルーベンスの絵画の本質を損なう問題が生じているのです。さらに、下地から絵の具層が剥離しており、作品の保存状態は危機的です」

ルーブル美術館はこの問題に対処するため、今秋に同ギャラリーを「修復スタジオ」へと改装し、約4年にわたる修復作業に入る予定だ。その一部は来館者にも公開される。また、この機会にギャラリーの照明やセキュリティ(カメラや観客との距離を保つ柵)も再設計されるという。

このプロジェクトを主導するのは、セバスチャン・アラールに加え、同館の17~18世紀オランダ・フランドル絵画担当主任学芸員のブレーズ・デュコス、そして16世紀のフランス・フランドル・オランダ絵画担当学芸員のオリアン・ラヴィットの3人。プロジェクトの総費用は明らかにされていないが、同館によると、ルーブル美術館友の会が464万ドル(約7億3700万円)を寄付したという。(翻訳:編集部)

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