レナード・A・ローダー(Leonard A. Lauder)

拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:化粧品製造販売(エスティローダー カンパニーズ)
収集分野:キュビスム

レナード・ローダーは、6歳のときに手にしたエンパイア・ステート・ビルディングの絵葉書がきっかけで、現在では12万5000枚を超える絵葉書のコレクションを所有している。しかし、それより有名なのは、2013年にメトロポリタン美術館(MET)に寄贈したキュビスムの絵画、彫刻、コラージュのコレクションだろう。ピカソ、ブラック、レジェ、グリスなどの作品81点からなるレナード・A・ローダー・コレクションの価値は、10億ドル(約1450億円)以上と見られている。40年の歳月をかけて収集された、キュビスムという特定のスタイルの一流作品が寄贈されるのは、そうあることではない。ローダーがニューヨーク・タイムズ紙に語ったように、「集中力と自制心、粘り強さ、そして自分が買える額以上のお金を払うことを厭わない人でなければ、良いコレクションを作ることはできない」のだ。

この寄贈の後も、ローダーはMETの支援を続けている。2018年秋にはMETによるフアン・グリスの《The Musician's Table》(1914)の取得を援助。この絵は、同じ年のクリスティーズ・ニューヨークで、ニューヨークのペギー&デビッド・ロックフェラー夫妻のコレクションから出品されたもので、ローダーの落札価格は3180万ドル(約46億円)だった。METのマックス・ホライン館長は声明で、同美術館の所蔵品に対するローダーの貢献を称え、「レナード・A・ローダーほど、METの成長を支え、市民に価値をもたらす寄付の精神を体現する人物はいない」と述べた。これに対しローダーは、「METのコレクションを世界一のものにしようと貢献してきた歴代の支援者が、私に刺激を与えてくれた」と述べている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。