ヘレン&チャールズ・シュワブ(Helen and Charles Schwab)
拠点:アメリカ・カリフォルニア州ウッドサイド
職業:金融業
収集分野:近現代アート
大手金融企業チャールズ・シュワブ・コーポレーションを創設したチャールズ・シュワブと妻のヘレンは、ジャクソン・ポロックやフランシス・ベーコンなど、近現代アートの重要作品を長年にわたり収集している。
夫妻はサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)のパトロンで、同美術館の理事会ではヘレンが副理事長、チャールズが理事長を務めている。また、ポロックの《Square Pouring》や《Black and White (number 6)》、ベーコンの《Figure with Two Owls》、デイヴィッド・スミスの彫刻《Voltri XII》など、複数の重要作品を同美術館に寄贈することを約束している。
SFMOMAが現代美術のコレクションを大幅に拡充できたのは、シュワブ夫妻が結んだ契約のおかげでもある。2009年、長い間がんを患っていた衣料品チェーンGapの創業者、ドナルド・フィッシャーは、アンディ・ウォーホル、エルズワース・ケリー、リチャード・セラといった作家の優れた作品を遺す場所を探していた。貴重な作品をサンフランシスコから流出させたくないと考えたシュワブは、フィッシャーのコレクションをSFMOMAに寄託する契約を結ぶよう勧め、彼が亡くなるわずか数カ月前に2人は合意に至った。
SFMOMAのニール・ベネズラ館長は、「ドンはチャックを信頼していました」と米フォーブス誌に語っている。「チャックが美術館の発展と所蔵品の充実のために尽力していることを知っていたからこそ、ドンは自分のコレクションをSFMOMAに任せられるという確信を、人生の最後に持つことができたのだと思います」
実際、シュワブ夫妻はSFMOMA が1995年に大規模改修を終え、移転先で再び開館して間もなく、美術館のために作品を購入し始めている。シュワブは、「現代アートへの情熱を共有することが、フィッシャーとの関係で重要な位置を占めていた」と語っている。